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日本福祉大学共同研究発表会を開催しました

レポート
2023年03月13日
写真:副理事長の冨田正美による開会挨拶

  2月23日、中区役所ホールにおいて「日本福祉大学共同研究発表会」が開催され、140名(オンライン参加者含む)が参加しました。
 この企画はNPO法人陽和(ひより、以下陽和)が主催したもので、第1部「非行少年の立ち直りのための支援の実態と特徴」に、本学のソーシャルインクルージョン研究センター長の湯原悦子 社会福祉学部教授、同センター客員研究員の佐脇幸恵 氏が登壇しました。

湯原悦子社会福祉学部教授(ソーシャルインクルージョン研究センター センター長)

 湯原教授らは、陽和で支援を受けた若者たちが生き生きとしていることや、どんどん成長している様子に着目。陽和が非行少年等の立ち直りに向けてどのような支援をしているのか、また他団体の組織との違いは何かについて、陽和の支援記録の分析をもとに研究を進めてきました。
 湯原教授の発表では支援者の就労・交際相手との人間関係など具体的なエピソードを紹介するとともに、陽和の支援の特徴として、仕事や学校、人間関係、家族関係など多岐に渡る支援を行っていること、そして常に少年の立場に立ち、柔軟な対応をしていることを示しました。また「必要とあらば対象者のみならず、対象者を取り巻く人間関係にも踏み込んだアプローチをしている点が陽和ならではの特徴」と話しました。

 それから陽和の支援方針について、テキストマイニングによる分析を行った結果、最も多く登場する言葉が「寄り添う」であったことが示されました。その他、「支える」「進む」「乗り越える」「整える」などの言葉も見られ、すべてポジティブな言葉になっていることが指摘されました。

ユーザーローカルAIテキストマイニング
による支援方針の分析結果

 最後に今後の課題として、既存の社会資源とのネットワークを強固にすることが必要との言及がありました。支援者個々が技量を上げていくとともに、地域の様々な社会資源との結びつきを深めていくことにより、さらに質の高い支援を行うことが可能になると語りました。

写真:佐脇幸恵氏による発表の様子1
写真:佐脇幸恵氏による発表の様子2
写真:佐脇幸恵氏による発表の様子3

 続く佐脇幸恵 氏の発表では「対象者が陽和の支援を受けてどう変化したのか」について、陽和による支援によって犯罪・非行から立ち直った少年(若者)を対象としたインタビュー調査の結果について話しました。
 佐脇氏はインタビュー調査から得られた知見として、陽和のスタッフが非行少年等を否定せずに受け入れて寄り添い、支援(住まい・就労・進学に関することなど)することで良好な関係を構築できていることについて触れ、「陽和での取り組みをモデル化し、地域社会の中で広げる、ソーシャルインクルージョンのまちづくりをしていくことが重要」だと語りました。

【NPO法人陽和について】
NPO法人陽和は、「どの子も大切に」という言葉を柱に、非行、引きこもり、年齢や発達障がいの有無などの壁をなくし、自立に向けた太く長いサポートを行っている組織です。
非行を未然に防ぐ入り口支援や、再犯防止の為の出口支援を軸に、大人の事情ではなく、子どもの事情を大切にし、生きづらさを抱えた子どもたちが、過去の失敗を価値に変えていけるように、よりそう事を大切にしながら、時に子ども本人のみでなく保護者などの周りの人も含めた包括的な支援を行っています。
また、学生のうちから、支援の現場を知り、教科書では学べない体験をしてもらう為、学生が主となる青年部もあり、将来行政職や子ども関係の仕事を目指す若者の育成も行っています。