日本福祉大学の「多職種連携教育×地域連携教育」

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本学ならではの「多職種連携教育×地域連携教育」を推進 

日本福祉大学では、「ふ・く・し(ふつうの、くらしの、しあわせ)」の実現にむけて各学部で養成する人材像に基づいた多分野の専門職間連携、および地域社会との連携を一体化した、多職種連携・地域連携教育を、各学部において実践しています。そして2021年度からは、全学的な取り組みとして「多職種連携教育プログラム」を導入し、修了者に修了証を授与し認証しています。

 

専門職と地域社会の人々が協働する「多職種連携」

人々の暮らしや「ふ・く・し」を取りまく環境は、複雑化・多様化しており、「多職種連携」が一層着目されるようになりました。2010年には、世界保健機関WHOが『専門職連携教育および連携医療のための「行動の枠組み』を発表しており、連携医療推進の行動参加者として、医療施設の管理者や施設長・医療従事者のみならず、国会議員や政策決定者・資本計画担当者・建築技師・空間設計者・法律担当者・労働監督当局などを挙げています。

このように考えると、多職種連携とは、医療分野の専門職や、保健師・社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネージャー)などの保健・福祉分野の専門職、さらには行政機関やNPO職員や民生委員・市民ボランティアなどを含む地域社会の人々が連携・協力することを意味します。

多職種連携力を育む「多職種連携教育」

多職種連携の場は拡大しています。医療的ケアを必要としている人々だけでなく、いじめや虐待を受けている子ども、一人親世帯、社会的孤立の状態にある人やその家族、不況のあおりを受けて仕事を失った人、認知症のある単身高齢者など、実に多様です。さらに、世代や傷病・障害の有無に関係なく、お母さんのおなかにいるときから死に至るすべての世代、すべての人が多職種連携の対象者となり得ます。

このような多職種連携を展開するためには、多職種連携力を備えた人材育成が必要です。そこで、「多職種連携教育(IPE※)」を展開しています。

※IPE:Interprofessional Education

多職種を養成する「ふくしの総合大学」

日本福祉大学は1953年に中部社会事業短期大学としてスタートし、2023年には学園創立70周年を迎えました。1957年に日本で初めて4年制の社会福祉学部を開設し、現在では8学部10学科6研究科を備える「ふくしの総合大学」へと成長しています。

各学部では、保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・保育士といった保健・医療・福祉分野の専門職養成を行っており、学部学科独自の多職種連携教育にも力を入れてきました。さらには行政・教育・心理・福祉工学・医療福祉経営・地域経済・国際福祉開発、スポーツ科学といった幅広い領域で活躍できる人材養成にも力を入れています。

地域に根ざした研究教育を推進

本学は、名古屋市と知多半島に4つのキャンパスを開設するとともに、数多くの自治体や地域の企業・NPO法人の協力のもと、地域社会をフィールドとした教育にも努めています。中でも美浜・半田・東海の3キャンパスが位置する知多半島地域は、地域福祉活動に取り組むNPO法人や市民団体が多く存在し、各市町の社会福祉協議会もその活動を積極的に支援するモデル地域として全国から注目されています。

この恵まれた環境を活かして構築された全学的教育事業《持続可能な「ふくし社会」を担う「ふくし・マイスター」の養成 ~「知多半島モデル」の構築を目指して~》は、文部科学省の助成事業2014年度「地(知)の拠点整備事業」(略称:COC)にも採択されています。

多職種連携と地域連携を融合した科目の一例

ヒューマンケアのための多職種連携

全学部1年次を対象とした、多職種・地域連携の入門科目。ヒューマンケア(対人援助)について所属学部を越えて理解を促し、多職種連携と地域連携の理念や知識を学びます。具体的な暮らしの場面(子育て、病気と介護、生活困難、学校に通う、障害、まちづくり、災害)を想定し、そこに関連する多職種や地域の人々がどのように連携するのかを、外部の実践者も講師に招いて学びます。

知多半島のふくし

地域の人材・活動・連携を学ぶ、全学部2年次のための科目。知多半島のふくしに関わる人々(自分たちのまちを暮らしやすくしていくために働きかけている人たち)の具体的な活動について学部別の切り口で学び、その重要性を理解します。あわせて所属学部の以外の学部における多職種・地域連携の視点についても理解します。終盤には、地域の方々を招いた公開講義を2週連続で開講します。

ふくしフィールドワーク実践

全学部3年次を対象とした集中演習。専門分野の異なる複数学部の学生がグループを作り、知多半島をフィールドとした学外学習を通して、この地域に求められる多職種・地域連携のあり方を体感します。例えば、社会福祉・建築・介護を学ぶ学生が、障害のある人と一緒にまちを歩いて調査し、それぞれの観点から障害者への支援を考察してとりまとめ、プレゼンテーションを行います。

日本福祉大学だから可能な「多職種連携教育×地域連携教育」教育プログラム

これまで見てきたように、日本福祉大学の多職種連携教育は、地域連携教育と一体になったものです。「多職種連携のみ」「地域連携のみ」の教育プログラムに取り組む大学は全国に存在しますが、両者を一体のものとして学ぶことができるのは、「地域に根ざし世界を目ざすふくしの総合大学」を標榜する日本福祉大学の大きな強みです。ここでは、多職種連携・地域連携に関わる本学の全学的プログラムをご紹介します。

ふくし・マイスター養成プログラム(COC)

文部科学省の助成事業2014年度「地(知)の拠点整備事業」に採択された養成プログラム。市民力(地域を理解するとともに、生涯を通して地域と関わりながら暮らしていく市民としての基礎力)、発見力(ふくしの視点で、地域課題を見据える力、率先力(ボランティア精神とリーダーシップを発揮する力)、解決力(地域課題の解決に"身をもって当たる"ことができる力)の4つの力を育み、「未来を切り開く力」を高めるプログラムです。
指定科目を履修して一定の条件を満たした学生には、卒業時に「ふくし・マイスター」認定証が授与されます。

多職種連携教育プログラム(IPE)

2021年度より新たに導入された体系的プログラム。他学部他学科の学生や学外の方々と交流しながら、さまざまな課題に応じた多職種連携や地域連携を体験的・実践的に学び、課題に対応する資質・能力を高めます。
 プログラムは各学部および全学教育センターが指定する「多職種連携教育科目」で構成されており、各学部が設定したテーマに沿って科目を選択し、学年ごとのステップを踏みながら学びを深めます。一定の条件を満たした学生には、卒業時「多職種連携教育プログラム修了証」が授与されます。

日本福祉大学の多職種連携・地域連携一体教育のイメージ

図:日本福祉大学の多職種連携・地域連携一体教育のイメージ