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日本福祉大学・延世大学 第6回日韓定期シンポジウム
「日本と韓国の医療・福祉政策研究の最新動向」が開催されました

2011年11月15日

 日本福祉大学は、2003年(創立50周年)に韓国・延世大学と締結した交流協定に基づく「日韓定期シンポジウム」を、両国交互に開催しています。第6回目となるシンポジウムは11月12日(土)、本学の名古屋キャンパスを会場に「日本と韓国の医療・福祉政策研究の最新動向」を統一テーマとして開催されました。シンポジウムは第一部を医療政策、第二部は福祉政策に焦点を絞って日韓両国から報告がなされ、コメンテータや参加者の意見や質問に対して答えながら掘り下げる方法で進められました。

 第一部の前半は「医療政策と医療市場におけるイノベーション」のテーマで始められ、本学の二木立副学長が「民主党政権の『新成長戦略』・『ライフイノベーションによる健康大国戦略』の批判的検討」で口火を切りました。前政権が打ち出した成長戦略から続く健康関連サービスやライフサイエンス分野の振興と産業化には期待しつつ、経済成長を牽引するほどではないことを強調しました。続いて、延世大学保健行政学科の秦基南教授が「韓国の医療市場におけるイノベーション」と題して登壇。医療技術に加えサービス面の付加価値でも拡張が続き、それを後押しする顧客・消費者的な患者の様子や、海外からの患者受け入れが増加し、医療システムの輸出も進む医療現場の近況について報告しました。

◆第一部報告者(左から)二木教授、基教授、伏見教授

◆第一部報告者の丁教授(左側)とコメンテータの李教授

 第一部の後半では「ケースミックス(支払い)方式の医療政策・マネジメントへの応用」がテーマとなり、東京医科歯科大学大学院の伏見清秀教授(医療政策情報学分野)が「DPCを用いた地域医療提供体制の評価」、延世大学保健行政学科の丁炯先教授が「韓国国民医療保険における新しい包括払い方式の探求」と題した報告を行いました。伏見教授は、DPC(病名と診療内容に応じた患者分類法)を用いて地域医療の実態を定量的に把握することで、地域の医療体制の可視化と客観的な評価や指標の設定、医療の効率化と充実に寄与することを説明しました。一方、丁教授は医療サービス提供量の適正化を図って韓国で導入されたDRG(医療費包括支払い制度)を改善するためにモデル事業として進められている、行為別報酬制を混合した新たな包括支払い制度について報告しました。

 午後から始まった第二部「福祉政策」も、前半「公的介護保険とその改革」と後半「家族・地域社会の変貌と社会福祉政策」に分けて進められました。まず、本学の平野隆之学長補佐が「地域包括ケア指向の介護保険制度と福祉政策課題」について、韓国での福祉デリバリー論議を視野に入れながら報告しました。1989年に策定されたゴールドプラン以降の福祉デリバリーシステムの展開を段階ごとに解説し、今後の課題として地域ベースのケア推進における住民参加(担い手、運営主体)のアクセスのシステム化を指摘しました。延世大学保健行政学科の徐栄浚教授は「老人長期療養保険における3年間の成果と制度改善の課題」を、実態の分析と今後の韓国型給付モデル提示、発展方向と克服すべき課題などを柱に話しました。

◆第二部報告者(左から)平野教授、徐教授、後藤教授

◆第二部(左から)曺教授、野口教授、近藤克則教授(司会)

 家族・地域社会に焦点をあてた後半、本学の後藤澄江教授は「変貌する日本の家族とコミュニティケア政策」と題し、家族介護に依存しない社会的介護システム構築に向け、家族介護者支援や地域コミュニティの活性化による政策の強化を訴えました。続いてソウル大学社会福祉学科の曺興植教授が「韓国の家族と地域社会変化に伴う社会福祉政策の課題」について報告。伝統的な家族のあり方が多様化を遂げつつある韓国が地方自治の時代を迎え、地域社会の福祉サービスも活性化が求められている状況を多面的に論考しました。
 第一部の報告に対しては延世大学保健行政学科の李奎植教授が、第二部では本学の野口定久教授がコメンテータを務め、内容を総括しながら論評を加えました。また、各地から出席いただいた参加者からは、それぞれの地域の現状や課題などを述べつつ、報告者に意見や助言を求めるなど、有意義なディスカッションも行われました。

◆日韓の逐次通訳がつき、活発な討論がありました