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半田キャンパス開設30周年記念事業 知多半島総合研究所記念シンポジウム「歴史的建造物の見方・活かし方」を開催しました

レポート
2025年07月01日

 半田キャンパス開設30周年を記念したシンポジウムを6月21日(土)に半田キャンパスにて開催しました。

 シンポジウムに先立ち、健康科学部長 山中武彦教授(半田キャンパス開設30周年事業実行委員長)より「1995年の半田キャンパスの開校と情報社会科学部、知多半島総合研究所の開設から、30年が経過しました。現在は名称変更や改組を行い、健康科学部と今年度開設した工学部の2学部制で教育を行っています。」と半田キャンパスの歩みと記念シンポジウムの概要について挨拶がなされました。

健康科学部長 山中武彦教授

 次に、知多半島総合研究所長 曲田浩和教授より船主内田佐七家の当主の変遷と事業拡大についての説明がなされました。初代佐七が内田権三郎新吉 前野小平治の力を借りて廻船主になったことや幕末期には屋敷を建築して廻船主としての風格を誇示したことなどについて話題提供がなされました。また、2回に分けて文書調査を行ったところ、2025年6月時点で約68,000の文書が見つかったということや、この調査から「取引状況の詳細や経営状況、流通の変化が読み取れ、高校の日本史教科書に研究成果が反映された」という話がなされました。

知多半島総合研究所所長 曲田浩和教授
1998年3月の調査で発見された内田家文書

 続いて、内田佐七家住宅の修復に携わった名古屋工業大学名誉教授の麓和善先生から、貴重な写真を元にして、内田家住宅の廻船主の屋敷としての建築的特徴と、文化財としての保存修理の考え方や実際の修復手順を詳しく解説いただきました。当時の様相を将来に末永く伝えるため、可能な限り健全な部分は保存し、破損した部分の補修や改造された部分の復原には、元々の材木や瓦と同じものを使用することにこだわったそうです。

名古屋工業大学 名誉教授 麓和善先生
内海船船主内田佐七家屋敷

 パネルディスカッションに先立ち、工学部 坂口大史准教授より「地域に根付く歴史的な建築やまちなみの活用」と題して、ゼミ等で行う半田市内でのまちづくり活動の経過や成果について説明がなされました。また、地域の固有性や課題、持続可能なまちづくりの仕組みづくりについて「大学だけでも自治体だけでもなく、互いにできる範囲で協力することによる持続可能な仕組みづくりに意味がある」と説明がなされました。

工学部 坂口大史 准教授
街かどサロンかめとも

 パネルディスカッションでは、歴史的な建築物を修復するときに心がけていることや活用方法について意見交換を行いました。麓 名古屋工業大学名誉教授からは、「修復で最も重要だと考えているのは、建物の価値を正確に見極めること。現在は使い勝手のよい素材も開発されているが、可能な限り古い部材を活かしながら適宜補強することで、長期にわたって歴史的価値を継承できる」と話されました。坂口准教授は、「歴史的な建物に直接手を加えることはせず、今の状態を如何に活かすか、ソフト面を重視している。逆に、古民家は積極的に改修し、そこに集う人のニーズに応えるようにしている。」と建物ごとの役割を理解し、関わることが重要だと話がなされました。

登壇者 坂口准教授、名古屋工業大学名誉教授 麓先生、曲田所長(左から)

 地域の皆さま約160名の方にご参加いただき盛大にシンポジウムを開催することができました。これからも地域を大切に地域の皆さまとともに活動を進めてまいります。

参考リンク