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学園創立70周年記念シンポジウム・式典・祝賀会を開催

レポート
2024年07月03日

2024年6月22日(土)名古屋観光ホテルにおいて、学園創立70周年記念シンポジウム・式典・祝賀会を開催いたしました。ご来賓をはじめとし、本学を支えてくださっている、大学、企業、団体、同窓生、旧教職員を中心に、多くの皆様にご出席いただき開催することができました。ご出席をいただいた皆様に改めて深く感謝申し上げますとともに、ご祝電、生花を多数賜りましたことを、厚く御礼申し上げます。

記念シンポジウム “ Well‐being for All”の実現に向けて

14時30分より那古の間において、学園創立70周年宣言“ Well‐being for All”をテーマに掲げ、シンポジウムが開催されました。(出席者910名)

冒頭、原田正樹学長より、1953年、中部社会事業短期大学として誕生し、その後もふくしを中核に据え、来年には9学部となる本学のこれまでのあゆみと、40年前に知多半島に移転以降は、知多半島全体がキャンパスと考え教育・研究を展開し、学産官のネットワークを築いてきたことを紹介しました。

70周年宣言「Well‐being for All」は、学園創立者鈴木修学先生が定められた「如我等無異」の建学の精神、教育標語『万人の福祉のために、真実と慈愛と献身を』、60周年で掲げた「ふくしの総合大学(ふつうのくらしのしあわせ)」を継承したものであるとの説明の後、本日のテーマと3名の登壇者についてご紹介し、シンポジウムが始まりました。

3名のシンポジストの皆様より、各テーマに沿ってお話いただきました。

『共に生きる社会~これまでの福祉を越えて~』
全国社会福祉協議会会長 元厚生労働事務次官 村木 厚子氏

ご自身の過去の困難の経験をふまえ『人はだれでも一夜にして“支えられる存在”になる。プロの支援や身近な関係者の支援とあわせて、自分が誰かのためにと思うことの大切さや世間の人々の温かい支えも大事だと実感した。」と語られました。「支え手」「受け手」という関係性を超えて、ともに創っていく地域共生社会がめざす社会のあり方や、たくさんの繋がりをもった自立の捉え方についても、お話いただきました。最後に、「プロの支援とは何か」ということに対し、科学的根拠を持った支援や知識・技術の体系化、チーム支援や連携のあり方、個々の生活に係わり地域を耕していく力の重要性などをあげられました。

『真の豊かさを求めて~誰一人取り残さない社会~』
関西電力株式会社取締役会長 日本経済団体連合会名誉会長 (日本福祉大学顧問) 榊原 定征氏

各国のGDP・幸福度ランキングの推移やSDGs目標における日本の現状について、データに基づき説明をされ、社会の幸福度を上げて、多くの社会課題の解決を図っていくためには「今後はESGを重視する企業経営が当たり前であり、社会的にサポートが必要なケアは重要」と強調されました。また、鈴渓義塾(常滑市)が輩出した著名な卒業生や、明治時代に榊原弱者救済所(半田市)の活動など、知多半島には古くから共生の精神・気風が息づいていることも紹介され、真の豊かさを実現するためには、関係者一同の団結した取り組みとあわせて、「社会福祉関係者の役割は極めて大きい」とエールを送られました。

『健康寿命延伸とWell‐beingの向上へ~これからの健康長寿社会のあり方』
国立長寿医療研究センター理事長 荒井 秀典氏

最初にAGING(加齢・高齢化)を科学する老年学(ジェロントロジー)や、昔より体力的には若くなっていると言われている高齢者も、Well‐being観点からは多くの課題があることが説明がされました。続いて健康寿命の延伸も兼ねた効果的な介護予防の実践が求められている現状と、認知症予防のため展開されている研究、社会実装に向けた実証事業について紹介がされました。医学もパラダイムシフトが求められていることに触れられ、今後、国立長寿医療研究センターの社会科学・疫学、看護、リハビリテーション医学、ロボット工学等の多領域と、本学の大学院各研究科が持つ機能を連携させ、高齢者の自立・Well‐beingに向けた老年学の拠点形成を目指していく必要性について語られました。

3人のご報告を受けて、原田正樹学長のコーディネートにより、パネルディスカッションに移りました。
「支える」ことばかりに目が向きがちな福祉関係者にとって、支え・支えられる関係性に注意を向け、日常のちょっとしたおしゃべりから支援に繋げていくことの必要性や、企業が本格的にSDGsやESGを経営の基本に据えていくようになった時代の大きな変化、多職種連携で医療だけでなく、介護、福祉領域のエビデンスを増やしていくことの課題などが挙げられました。

また、新しい福祉の形として、予防という観点から取り組みをすすめていくことや、定年や高齢者の定義などについても、これまでと違った形での捉え方の必要性など、Well‐beingの実現に向けてさまざまな角度からの問題提起がされました。福祉の必要性や福祉人材の不足に対応していくためには、学産官の連携の中で、学=大学からのエビデンスや課題発信がより重要だということにも話が及びました。

最後に、原田学長が「本日、Well‐being for Allの実現に向けて、たくさんのヒントと本学が今後取り組むべきたくさんの宿題をいただきました。そして多くの皆様と共に考える時間を共有できたことに心から感謝いたします。」と締めくくりました。

記念式典

会場を曙の間に移して、記念式典を執り行いました。(出席者524名)

オープニング映像として、70周年記念事業の概要についての動画が上映されました。

続いて、丸山悟理事長が式辞を述べました。

まず、本学園の70年の歩みを通して、多くの皆さまからいただいたご厚情に厚く御礼を申し上げ「今日の社会課題、広義の福祉課題の複雑化・深刻化の度合いは、ひとつのディシプリン(学問流派)の深堀だけでは到底対応できるものではなく、しっかりとした土台を持ちながら、先端・複合の領域にチャレンジする気概が必要」「大学に入るまでと、大学を卒業して実社会に出た後での学び直しまでを、一貫的な教育システムとして、国内に限定せず、整えていくことが課題となっている」と述べた上で、「リカレント事業を突破口として、産官学民連携及び公私協力方式で、Well-being for Allを目的とした、全世代・全対象型の教育・ふくし事業を、本学キャンパス及びサテライトにおいて様々に展開していく。」と決意を述べました。

続いて、ご来賓の5名の皆様方より、ご祝辞を賜りました。

文部科学大臣 盛山 正仁様
代理 文部科学省高等教育局私学部私学行政課長 神山 弘様
愛知県知事 大村 秀章様
日本私立大学協会 常務理事兼事務局長 小出 秀文様
全国社会福祉協議会副会長(本学客員教授) 古都 賢一様
ベトナム・ハノイ大学日本語学部 副学部長 グエン・ソン・ラン・アイン様
 

エンディングには、「あなたにとっての幸せとは?」の問いに答えた本学付属高校生、専門学校生大学生のメッセージ映像が流れ、原田正樹学長による謝辞で式典は終了しました。

記念祝賀会

17時20分からは 3F那古の間において、学園創立70周年事業顧問にご就任いただいている自治体、医療・福祉分野、産業界の皆様方にご出席いただき、記念祝賀会が開催されました(出席者150名)。

冒頭 鈴木正修学園長より、「戦後日本は福祉国家の道を歩み始めたが、福祉に携わる専門的な人材が圧倒的に不足しており、東京・大阪に次いで名古屋にも福祉人材を養成する大学設立を望む声が高まりました。国も地方自治体も極度の財政難の中、「私がやりましょう」とトーチを高々と掲げたのが、私の祖父、創立者鈴木修学でした」と本学誕生の経緯を紹介され、「永続する企業・団体には、創業の理念を大事にして、全員が情熱を共有しているという2つの共通する特徴があります。日本福祉大学も建学の精神『如我等無異』を大事に、教職員が一丸となって邁進してきました。本学の発展が万人の幸福の実現に寄与することを確信し、皆様に変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。」とご挨拶をいただきました。

続いて、ご来賓より本学への期待と激励のお言葉を賜りました。

衆議院議員 伊藤 忠彦様
中部国際空港株式会社代表取締役社長
日本福祉大学顧問 犬塚 力様

奈良修三日本福祉大学同窓会会長に乾杯のご発声をいただき、会場は賑やかに懇談が始まりました。

歓談の中、日本を代表するJAZZトランぺッター原朋直氏と若手JAZZピアニストとして脚光を浴びている平倉初音さんによる演奏が、会場に響きました。

原さんは本学卒業生(1989年社会福祉学部卒)。在学中は本学の音楽サークルJAZZ研究会に所属。これまでに海外のトップアーチストとも多数の共演を果たし、また洗足学園音楽大学教授として後進指導にもあたり、多方面で活躍中です。学生時代の思い出話も交え、JAZZのスタンダードナンバー5曲を演奏いただきました。

海外からのご来賓、フィリピンのシライ・インスティテュート理事長 リリアンサラフランカ・レベンダー様から、本学付属高校とシライ高校のこの間の交流の取り組みをご紹介いただき、お祝いのメッセージを賜りました。 

プロデュースいただいた原田啓之氏から、記念品の紙袋をご紹介いただきました。
原田氏は2000年本学社会福祉学部卒業。現在、障害福祉サービス事業所PICFA施設長として、障害者のアート活動の新しい形を模索し、さまざまな企業ともコラボした活動を展開しています。

最後は、日本福祉大学後援会会長安川彰𠮷様による一本締で、閉会いたしました。