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第17回福祉教育研究フォーラムを開催しました
2024年2月10日(土)「福祉の魅力を再発見 ー多種多様な福祉教育のかたちー」をテーマに、第17回福祉教育研究フォーラムを開催し、福祉系高校教員や学生など118名がご参加いただきました。
開会


第1部
対談「福祉の魅力を再発見」
「福祉の魅力を再発見」と題し、辻本 智加子 文部科学省初等中等教育局参事官(高校学校担当)付産業教育振興室教科調査官にご登壇いただき、福祉科教員時代に感じておられた福祉教育の課題や調査官として感じる課題などについてお話いただきました。
冒頭、商業科から福祉科の教員に異動した背景から、校内実習、施設実習やボランティアでの他者との関わりを通じて、相手の気持ちになって考える心を養う福祉教育の魅力についてお話いただきました。
将来の予測が困難な時代ですが、教育こそが社会をけん引する駆動力の中核を担う営みであり、教科調査官になってから、政府はウェルビーイングの視点を重要視するようになっているように感じるそうです。教科調査官として、高校福祉教育は生徒がこれまでの学習を活かして、地域(高校・専門分野・地域住民)の架け橋になるための土台づくりをすることができる点に魅力がある。一方で、保護者世代の福祉に対するイメージが植え付けられ、福祉現場の最新のICT導入状況や労働環境といった改善が伝わらないため、直近10年間で福祉を学ぶ高校生が3,000名も減っている現状がある。また、労働生産力や人への投資がOECD加盟国の中でも下位にあるため、これまで以上に教育への投資を行う必要があると課題を提起しました。
最後に、高校福祉教育に携わる先生方へのメッセージとして、①全国の熱意ある福祉教育・施設関係者とのネットワーク構築 ②他教科・業種の専門家との交流を通した情報感度の向上 ③一般教養としての福祉教育の重要性を発信することの3つを大切にし、明日の福祉人材の教育にご尽力いただきたいと締めくくられました。

第2部シンポジウム
第1分科会「経験を重ねることによる心の視野の拡大~あなたと繋ぐ、地域と繋がる~」
はじめに、河西 博貴 氏(菊華高等学校教諭・一般社団法人地域福祉活動協会代表理事)より、一般社団法人設立の趣旨と経緯についてご紹介いただきました。コロナ禍で、地域の方にできることを生徒と一緒に考え、高校生の発想を大切にしながら健康サロンや企業と連携した詐欺被害防止啓発の取り組みなどについて報告されました。
続いて、生徒の気づきを広げる「心の視野」の考え方や、自治活動を通して実践しているリーダーの育成などについてご紹介されました。
その後、「各自が実践している内容に、さらに〇〇を掛け合わせて何ができるか」というテーマでグループワークを行い、「サークル×地域×SNS」「介護技術コンテスト×イオンモール×介護福祉士会」「大学生×高校生×授業」など多くの新たなアイデアが発表されました。
最後に、「一人ひとりのユニークな特徴さえ認識できれば、そこに特別な価値を生む可能性がある。生徒が協動したことによる「気づき」を大切にし、一歩踏み出すサポートを通して、生徒のカッコいい姿を発信していきたい」と締めくくられました。

第2分科会「主役はあなた!みんなでつくる観点別評価!」
最初に観点別評価が求められる背景として、テクノロジーの進化や社会の変化があり、時代の変化にも対応できるよう、生徒は学習改善を、教員は授業改善のための観点別評価が必要であるということを共有しました。
その後、現在行っている観点別評価とそれによって育まれる能力や資質を改めて考えて、グループで話し合い、グループごとのオリジナル観点別評価を作成しました。
最後に辻本調査官から、ご自身の授業における評価の方法として、『生徒とともに評価をつくる』という実践例の話があり、学びを深めました。

第3分科会「福祉の魅力発見~次世代につなげていく価値を探る~」
はじめに、講師を務めた立松 知美 氏と前田 拓 氏(名古屋市立西陵高等学校教諭)より、福祉を身近なものだと意識するようになったきっかけや授業を組み立てる上で大切にしている要素、福祉を教えられる『生徒側』として感じていたこと、『教える』側になってから考えていることなど、多岐にわたる内容についてご紹介いただきました。
その後、「あなたの好きなもの×福祉」について、グループワークを行いました。コメンテーターを務めた本学社会福祉学部の小林 洋司 准教授は、「学校には労働と仕事、活動の3つの要素が複雑に絡んでいる。この複雑な関係性こそが永遠の課題であり、追い求めるに値する悩み。本日の学びがそれぞれの価値を考え、整理する時間になればありがたい」と締めくくられました。

閉会

(愛知県高等学校福祉教育研究会 会長・愛知県立古知野高等学校 校長)

(三重県高等学校福祉教育研究会会長・三重県立伊賀白鳳高等学校 校長)