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第34回日本福祉大学社会福祉セミナーin石川を開催しました

レポート
2022年12月27日

11月27日、石川県の地域同窓会が中心となり、金沢市で『ダイバーシティ×ふくし~当事者の「働く」から学ぶソーシャル・インクルージョンの実現~』というテーマで「第34回日本福祉大学社会福祉セミナー」を開催し、対面・オンライン含め200名を超える方々にご参加いただきました。

※ダイバーシティとは?

多様性や相違点という意味で、集団において年齢、性別、人種、宗教、趣味嗜好などさまざまな属性の人が集まった状態のこと。現在では多様な人材を登用し活用することで、組織の生産性や競争力を高めるという、労働市場の中でも使われる言葉になっています。

学長メッセージ

冒頭、創立者である鈴木修学先生の思いについて触れ、「命や平和が脅かされている現在の社会に、人々のしあわせを支える人を養成し輩出することが“ふくしの総合大学の使命”」と強いメッセージをいただきました。
その後、国家資格合格率や就職率、SDGsの目標に対して取り組んでいる事業等について説明しました。
最後に「しあわせに貢献する人を養成する上で重視するポイント」として、地域課題に実践的に取り組むプログラムを充実させ、様々な人と関わる中で主体性や判断力・行動力を身に付けてもらい、地域・社会からますます求められるような大学にしていきたいと締めくくられました。

写真:登壇する児玉善朗氏

記念講演

「疾病や障がいのある人々が活躍する職場のつくり方」と題し、福島県立医科大学の八木 亜紀子先生にご登壇いただきました。
冒頭ではSW(ソーシャルワーカー)として働きはじめた米国サンフランシスコやメディアにおける障がい者対応など、様々な話に触れながら、「パターナリズム※」についてご説明いただきました。
続いて障がい者の就労について、事例性(客観的事実)と疾病性(症状・病名)を分けて考えることで、問題発生時の対応や業務実績が分かりやすくなり、結果として効率的な人員配置を行うことができると話されました。
最後に、障がい者をスペシャリストとして雇用し、誰もが等しく社会の構成員であるという当事者意識を持つことがソーシャル・インクルージョンにつながるのではないかと締めくくられました。

※パターナリズムとは?

一方が相手の利益のためだとし、本人の意思を勘案せずに支援・干渉すること

講演中の八木先生

当事者参加型リアルコメント

ご参加いただいた皆さんに、多様な人々とともに生きやすい社会の仕組みを作るためのヒントを得ていただきたいと願い、石川県内で障がい者雇用に取り組んでいる法人や社会進出を支えている4団体5名から実際の就労内容や工夫、事業所としての考え方、今後の 展望など実践報告をいただきました。

スペシャル対談

「質的転換期を迎えたソーシャル・インクルージョンの実現課題」と題し、金沢大学の森山先生と本学社会福祉学部の山田先生に対談していただきました。
冒頭、セミナー全体のテーマでもある『ダイバーシティ』と『インクルージョン』という概念について、国によって考え方は異なるが、日本では『多様性』と『社会の中での受け入れ』として捉えられているのではないか、とご説明いただきました。
続いて、当事者動画に関連して「就労上での障がいのある人との人間関係構築」について、障害特性だけでなく、個性を理解した上で適切な働き方を検討していくべきだと話されました。『インクルージョン』は当事者を変えて社会に適合させるのではなく、社会が当事者に合わせるという考え方をすべきではないかとお話されました。
最後に、森山先生より「健常者だけでなく障がい者も日々価値観が変わっていく。障害者がしたいと思う仕事ができるようにするには事業所や企業間の連携等の問題があり、簡単なことではないが、意識し続けることが大切」だと話され、盛会の内に終了しました。

対談中の山田先生(写真左)と森山先生(写真右)

参加者からは、「ビデオ報告で、障がい者の就労に関わる当事者のリアルなコメントや、就労に取り組む団体の実体験が聞けてとても良かった。これらの動画を、国内の多くの事業所の方々に見ていただきたいと切実に感じました。」「支援者側は生活に困難がある方に対してなにかしらの支援を求めているということや手を差し伸べることが当然という一方的な想いがあると思う。必ずそうとは限らないため本人の内なる思いを引き出すことや、何を求めているかを慎重に考えて関わりを持っていくことが必要なのだと改めて学んだ。」といった声が聞かれました。

時間 内容
13:00~13:10 オープニング動画(日本福祉大学付属高等学校 和太鼓部 演舞)
13:10~13:30 学長メッセージ
13:30~14:30 記念講演
「疾病や障がいのある人々が活躍する職場のつくり方」
【講師】
八木 亜紀子 氏(福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 特任准教授)
14:30~15:05

特別プロジェクト映像配信「当事者参加型リアルコメント」

15:15~16:20 スペシャル対談
「質的転換期を迎えたソーシャル・インクルージョンの実現課題」
【対談者】
森山 治 氏(金沢大学 人間社会環境研究科・地域創造学類 教授)
山田 壮志郎(本学学長補佐・社会福祉学部 教授)