スポーツ科学部 お知らせ
美浜町教育委員会と連携し、「命を守る水泳の授業」
7月29日、スポーツ科学部 伊藤嘉人准教授が美浜町教育委員会と連携し、「命を守る水泳の授業」をテーマとした研修会を開催しました。会場には、美浜町内の小学校教員に加え、教員を目ざすスポーツ科学部の学生や教育・心理学部の学生も参加し、講義と実技を通して、水泳授業の新たな在り方について学びました。
近年、学校プールの老朽化や維持管理費の増加、授業時間の減少などを背景に、学校水泳を取り巻く環境は大きく変化しています。美浜町内の小学生も、現在は水泳の授業を本学SALTO内の屋内プールを使用しており、こうした中、小学校の教員を対象にした「命を守る水泳の授業」を実施しています。
研修会の冒頭では、布土小学校の髙橋校長が「これからの水泳授業は、泳ぐ技術だけを教えるのではなく、生涯にわたって役立つ『命を守るスキル』として捉えることが大切です」と挨拶しました。また、教員採用試験から水泳実技がなくなりつつあることや、中学校で水泳授業そのものが実施されなくなる地域が増えている現状にも触れ、「限られた授業時間だからこそ、浮くことや呼吸、水中で慌てないことなど、自分の命を守るために必要な力を育てる授業が求められている」と、その意義を語りました。
続いて、伊藤准教授が、美浜町で取り組む「命を守る水泳授業」のカリキュラムについて紹介しました。学校水泳を取り巻く全国的な状況や、スポーツ庁でも水難事故防止を目的とした授業の重要性が示されていることを踏まえ、「泳法を教えることだけではなく、命を守るために必要な知識や技能を身に付けることが学校水泳の大きな役割になっている」と説明しました。また、美浜町で実践している授業は全国的にも先進的な取り組みであり、地域と大学が連携しながらより良い水泳授業をつくり上げていくことの意義を参加者と共有しました。
講師を務めた元奈良県小学校教員で、元日本福祉大学非常勤講師の牧野満氏は、「命を守る水泳とは何か」をテーマに講義を行いました。牧野氏は、クロールや平泳ぎなどの近代泳法は本来、速く泳ぐために発展してきた泳法であり、水難事故から身を守ることとは目的が異なると説明。「学校水泳では、まず浮くことや呼吸を確保すること、慌てずに体力を消耗しないことを学ぶことが重要である」と述べ、水難事故の事例も紹介しながら、学校水泳の目的を改めて考える必要性を伝えました。
後半は、SALTO屋内プールに会場を移し、実技研修を実施しました。現職教員と学生が一緒になり、牧野氏の指導のもと、「浮く」「呼吸する」「背浮き」「エレメンタリーバックストローク」のほか、着衣したままでの泳ぎ方、ビニール袋やポットボトルを使って浮く技術など、命を守るために必要な基本動作を実際に体験しました。参加者は、ペアを組んで互いの動きを確認し合いながら、安全に配慮した指導方法や子どもへの声掛けを学び、水中での体の使い方や指導のポイントを実践的に身に付けていました。
今回参加した学生にとっても、将来、教員として学校現場に立つことを見据えた貴重な経験となりました。現職教員とともに研修を受けることで、教科書だけでは学ぶことのできない実践的な指導法や、安全を最優先に考える授業づくりの考え方に触れ、学校教育の現場で求められる教師の役割を深く考える機会となりました。


