日本福祉大学知多半島総合研究所
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~歴史、生活、地域共生、産業~
知多半島総合研究所の概要
知多半島総合研究所(歴史民俗部、地域産業部、地域包括ケア部)では、知多半島全体の歴史・文化・産業・生活・ふくしなどを総合的に調査・分析・研究し、その地域の特色や、発展の経過を明らかにし、同時に半島の将来展望を研究しています。また、出版活動やシンポジウムの開催、自治体や各種団体から受託した調査など、多様な活動を行っています。
設立年月:1988年5月1日
研究所事業
- 調査・研究の実施
- 研究集会および研究会の開催
- 研究発表および調査報告などの印刷・出版
- 講演会および公開講座などの開催
- 資料の収集・整理ならびに公開に関する事業
- 学外からの調査、研究および講演会などの受託
- その他
研究所組織
歴史・民俗部
地域・産業部
地域包括ケア部
歴史・民俗部について
経済学部 教授
曲田 浩和
研究分野:日本近世史
知多半島の持つ海に囲まれた地域の特性を、知多半島ではなく、環伊勢湾という広い視点から考えることが必要です。ここ数年、名古屋市や三重県津市で「環伊勢湾」をテーマとしたシンポジウムを開催してきました。
その一方で、地域に暮らす人々の視点も大切です。村や字のまとまりは、それぞれ固有の文化を形成しています。各区に残された古文書には、これまで知られていなかった歴史的事実が記されています。日本福祉大学生涯学習センターの古文書講座・地域連携講座では、地域に伝えられた身近な歴史の紹介を行っています。古文書は、数百年前のことであっても、リアルタイムの臨場感を伝えてくれます。それに触発されてか、地域の人々が地域に残された話をされることもあります。地域には地域の人々にしか知らない歴史があります。それを検証することも、歴史・民俗部の仕事です。
広い地域と狭い地域といった両方の視点を持つことで、豊かな歴史像が描けるのではないでしょうか。毎年秋に開催する歴史・民俗部研究集会では、最新の研究を報告しています。地域の歴史を地域のなかで埋没させるのではなく、その時代の社会のなかで位置づけることを心掛けています。堅いものから比較的柔らかいテーマまで、様々な歴史を扱っています。
近年、歴史・民俗部では、愛知県史編さん室や財団法人招鶴亭文庫などとの共同研究を進めています。知多半島に残された膨大な史料は、容易に調査が済むものではありません。また、調査の成果を地域に住む多くの人々に知ってもらうことも必要です。他団体と協力し合い、多方面に発信することで、地域史への理解がよりいっそう深まるのではないでしょうか。
地域・産業部について
経済学部 准教授
鈴木 健司
研究分野:財政学・地方財政
名古屋大都市に近接した地域であると同時に、半島部に位置するわが国唯一の国際空港である中部国際空港を有し、鉄鋼業やエネルギー産業を中心とした製造業と、畜産業をはじめとした農業、伊勢湾の豊かな水産資源を生かした漁業などが日本有数の規模で営まれています。また、1200年にわたるものづくりの伝統や、海を舞台とした祭り、歴史的な風景や風土が地域の厚みを生み出しています。
このような多様な資源と活動に恵まれた半島ですが、同時にいくつかの弱点も垣間みることができます。豊かさゆえに地域の問題点が顕在化しにくく、課題が共有されていないこと、地域づくりの明確なビジョンが弱いことなどがあげられます。かつては、「知多はひとつ」を合言葉に広域的な視点に立った連携が模索されてきました。現在でも、福祉・ごみ・消防・公共施設の相互利用などいくつかの分野では広域的な連携に基づく行政が進められています。また、観光分野ではようやく広域的なネットワークが機能するようになってきました。しかし、半島全体の地域ビジョンを誰がどのように打ち出し、21世紀の来るべき地域社会構造の変化にどう主体的に取り組んでいくかについては、残念ながら、行政・市民レベルでの議論はまだまだ十分とはいえません。
21世紀の地域社会を考える時、地球的規模で持続可能な社会をどう創っていくかが求められています。財団法人総合研究開発機構の助成をいただいて、2004年度に実施した「知多半島における持続可能な社会に向けた政策課題に関する研究」の中で、これからの地域づくりを捉える視点として、経済( Economy )、環境(Environment)、教育(Education)、公正(Equity)の4つのEを打ち出しました。
この4つのEを意識しながら、地域に根ざした研究所として、今後とも調査研究を続けたいと思います。その際、私たちがこれから果たすべき役割としては、地域のシンクタンクとして地域づくりの方向性を提言していく機能、市民・事業者・行政など様々なステークホルダーをつなぐコーディネーターとしての機能も重要です。今後とも、地域との連携・協働による実証型研究や社会実験の推進、研究成果の地域への還元などを常に意識していきたいと思います。
地域包括ケア部について
川島ゆり子
研究分野:社会福祉学
「知多は1つ」という言葉があるように、知多半島に所在する自治体は、横のつながりが深いということがよく言われます。その一方で、地域特性はそれぞれの市町ごとに異なり、地域包括ケアのしくみづくりに向けて取り組む歩みのプロセスや速度、しくみづくりを必要とする地域課題の様相、しくみづくりに必要な人材や資源の配置状況も多様性に満ちています。地域で「ふくし(ふつうのくらしのしあわせ)」を実現するという大きな理念的な目標は共通であったとしても、5市5町の取り組みはそれぞれ固有のものとなり、ともすると「うちはうちのやり方、よそはよそのやり方」ということになりがちです。
地域に根ざした日本福祉大学の1機関としての知多半島総合研究所地域包括ケア部は、1つ1つの市町の地域包括ケアのしくみづくりのプロセスに寄り添うと共に、知多半島を1つの大きな地域として捉え、その地域に蓄積されている「知多の知」を5市5町の社協・NPOをはじめとする実践者の方々、行政の方々と共に、共有できる形に紡いでいくことを目指しています。先進的な事例を取り上げるだけでなく、取り組みの中でなかなかうまくいかないという悩みや不安、一歩ずつ進めるためのコツや実践知を丁寧に抽出し、協働研究のメンバーである知多の実践者の方々と共有し、協議するということを大切にしていきたいと考えています。
地域包括ケア部は、この「知多の知」を紡ぐネットワークのコーディネーター役割として機能することを目指しますが、それは「研究者のための研究」であってはならないと考えています。知多という地域の中で暮らす0から100歳のすべての人々の「ふくし」を実現することが、目指すべきゴールです。そのために「知多の知」を紡ぐこと、その「知」を紡ぐことをめざす協働のパートナーは、5市5町の地域包括ケアを担う実践者であるということが、地域包括ケア部の根幹となります。
また知多で紡いだ「知」は、もちろん知多の地域づくりに還元されていきますが、同時に全国に向けても発信され、「知多の知」がそれぞれの地域で参考にされ、それぞれの地域固有の「知」に発展的に継承されていくということも、また地域包括ケア部の目指すもう一つの方向性です。「知」は開かれ、現場で実装されてこそその価値が高まると考えるからです。
知多半島から全国へ、そして知多半島からそれぞれの5市5町へという往還のハブ機能として、今後も地域包括ケア部の歩みを進めていきたいと思います。
知多半島総合研究所のあゆみ
- 1988年
日本福祉大学知多半島総合研究所設立
研究所設立記念講演会「日本の文化と地域の文化」開催 - 1991年
シンポジウム「高度移動社会と知多半島」開催 - 1994年
歴史シンポジウム「よみがえる名古屋城下のくらしと商い
~肥料問屋商人の目から見た江戸時代~」(名古屋朝日ホール)開催
全国シンポジウム「中世常滑焼をおって」(常滑市民文化会館)開催(常滑市と共催) - 1995年
河野村歴史フォーラム「北前船と日本海の時代 物流・情報・文化」
(福井県河野村役場)開催( 福井県河野村と共催) - 1998年
研究所設立10周年記念シンポジウム「いまつくる知多半島の未来像」開催 - 1999年
シンポジウム「ものづくりの歴史と人々のくらし~知多半島の醸造業から~」
(名古屋市中区役所ホール)開催 - 2003年
日本福祉大学創立50周年記念シンポジウム
「みんなでつくる2005年以降の知多半島」開催 - 2004年
財団法人総合研究開発機構(NIRA)特定助成
「知多半島における持続可能な社会に向けた政策課題に関する研究」実施 - 2005年
シンポジウム「環伊勢湾産業観光のルーツをたずねて」
(東海テレビテレピアホール)開催(知多ソフィアネットワークと共催) - 2006年
シンポジウム「環伊勢湾産業観光のルーツをたずねて」
(津市センターパレス)開催(津市・津市教育委員会と共催) - 2007年
NIRA 特定助成研究成果公開シンポジウム
「地域力を次代で拓こう」開催(本学経済学部と共催) - 2009年
研究所設立20周年記念シンポジウム
「地域をとらえよう~住みたい、訪れたい、知多魅力半島をめざして~」開催 - 2012年
全国シンポジウム「中世渥美・常滑焼をおって」(常滑市民文化会館)開催
(常滑市、愛知県県史編さん室と共催) - 2017年
研究所設立30周年記念シンポジウム
「これまでと、これからの知多半島」開催 - 2025年
地域包括ケア部を新設
研究所員
| 役員名 | 氏名 | 所属・役職・その他兼務 |
|---|---|---|
| 所長 歴史・民俗部長 |
曲田浩和 | 経済学部 教授 |
| 副所長 地域・産業部長 |
鈴木健司 | 経済学部 准教授 |
| 地域包括ケア部長 | 川島ゆり子 | 社会福祉学部 教授 |
| 上席所員 | 千頭聡 | 国際学部 教授 |
| 幹事 | 髙部淑子 | 研究所教授(主任研究員) |
| 氏名 | 所属・役職・その他兼務 |
|---|---|
| 原田正樹 | 学長 |
| 遠藤秀紀 | 経済学部長補佐、教授 |
| 大場和久 | 工学部 教授 |
| 加茂浩靖 | 経済学部 教授 |
| 菊池遼 | 社会福祉学部 講師 |
| 岸佑太 | 社会福祉学部 助教 |
| 児玉善郎 | 工学部 教授 |
| 齋藤一晴 | 教育・心理学部 准教授 |
| 中野諭 | 経済学部 教授 |
| 原田忠直 | 学長補佐、経済学部 教授 |
| 福田秀志 | 工学部長、教授 |
| 谷地宣亮 | 経済学部長、教授 |
| 吉田直美 | 経済学部 准教授 |
| 吉村輝彦 | 国際学部 教授 |
| 氏名 | 所属・役職・その他兼務 | |
|---|---|---|
| 髙部淑子 | 主任研究員 | |
| 岡本一美 | 客員研究所員A | |
| 加藤昭宏 | 客員研究所員A | |
| 鈴木えりも | 客員研究所員A | |
| 藤井敏夫 | 客員研究所員A | |
| 丸山美季 | 客員研究所員A | |
| 氏名 | 所属・役職・その他兼務 |
|---|---|
| 福岡猛志 | 日本福祉大学 名誉教授 |
| 山本勝子 | 元 知多半島総合研究所 副所長 |
所員コラム
知多半島研究所の所員を中心に、知多半島に関するコラムをご紹介します。
| 回数 | タイトル | 執筆者 | 所属 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 地名のこと | 福岡 猛志 | 日本福祉大学名誉教授 日本福祉大学知多半島総合研究所 所長 |
| 第2回 | タコ | 髙部 淑子 | 日本福祉大学知多半島総合研究所 歴史・民俗部 准教授 |
| 第3回 | 知多半島の海と魚食 | 磯部 作 | 日本福祉大学知多半島総合研究所 地域・産業部 日本福祉大学子ども発達学部 教授 |
| 第4回 | 古島敏雄『子供たちの大正時代』より | 曲田 浩和 | 日本福祉大学知多半島総合研究所 歴史・民俗部 部長 日本福祉大学経済学部 教授 |
| 第5回 | 学びと交流の懸け橋 | 川部 竜士 | 日本福祉大学知多半島総合研究所 事務担当者 |
| 第6回 | 秋の風景 | 加茂 浩靖 | 日本福祉大学知多半島総合研究所 地域・産業部 日本福祉大学経済学部 准教授 |
| 第7回 | 数字で見る知多半島の 『少子高齢化』のゆくえ |
三輪 憲次 | 日本福祉大学知多半島総合研究所 地域・産業部 日本福祉大学通信教育部福祉経営学部 教授 |
| 第8回 | 日の出 | 鈴木 えりも | 日本福祉大学知多半島総合研究所 歴史・民俗部 研究員 |
機関紙・出版物
1989年創刊の研究所機関誌。毎号多彩な研究者が知多半島を様々な角度からとらえます。
・16号より電子公開となりました。
掲載内容がpdf形式でご覧いただけます。
・17号~は無償配布を行っております。
※無償配布をご希望の方は、住所/氏名/電話番号を明記の上、
下記宛てに郵送・FAXにてお申し込みください。原則、1冊の配布とさせていただきます。
※16号は在庫切れのため、配布を終了いたしました。
申込先
〒475-0012 愛知県半田市東生見町26-2
日本福祉大学 知多半島総合研究所 書籍注文係宛
TEL (0569)20-0112 FAX (0569)20-0128


