堀田丸正株式会社 代表取締役社長 三好 秀樹さん 堀田丸正株式会社 代表取締役社長 三好 秀樹さん

堀田丸正株式会社 代表取締役社長

三好 秀樹さん

HIDEKI MIYOSHI

経済学部 1996年卒業
香川県/髙松北高等学校

経営者だからこそできる、
幸せづくり。
その向こうに未来は開かれる。

日本福祉大学経済学部を卒業後、株式会社ファーストリテイリングで15年間、
柳井正会長兼社長を間近に見て、経営者視点を獲得した三好秀樹さん。
その後、ベンチャー企業や新規事業の立ち上げ、複数企業の経営を経験し、
現在は堀田丸正株式会社で、
より競争力のある企業への再生に手腕を振るっている。
今、三好さんが社員に投げかけるのは「この会社は何者であり、
どんな価値を社会に提供したいのか」という問いである。
会社の志(こころざし)が明確となり、人がついてくれば、企業は何度でも息を吹き返すことができる。
健全な経営は社会に価値をもたらし、日本の経済を回し、
ひいては多くの人々の幸せを創造できる。
経営者だからこそできる「幸せづくり」の向こうにこそ、
三好さんは、未来を切り開くヒントが見えてくるはずだと言う。

企業は人。だから、いつでも懸命に。

堀田丸正は、創業159年の歴史を持つ企業ですが、これまでで40代の人間がトップに立ったのは、私が初めてです。最初はみんな驚いたようです。ただ、私は、さまざまな経験とキャリアを積んできました。また、経営者としての視点や考え方も社内の誰にも負けない自信があります。よって多くの人が私より年上ですが、関係ありません。「変わろう」と言い続けています。そうでないと、会社は存続できませんから。現状維持は衰退を意味します。「企業再生」の意味は、そういうところにあると思っています。

「企業再生」という言葉だけを聞くと、ドライで冷徹なイメージを持つ方が多いかもしれません。「経費削減」とか「人員整理」などのイメージがドラマや小説で流布されてしまったせいでしょうか。しかし、私は思います。企業再生は決してドライで冷徹なだけではできません。企業は人です。人を動かさなければ、企業は決して動かない。だから、情熱を持って、人の心に訴え続けることが大切です。とはいえ、人を「変えよう」とするのは簡単ではないと思います。ファーストリテイリング時代に2年ほど一緒に働いた上司から「アウトオブコントロール」という言葉を教わりました。直訳すると「手が付けられない」。つまり、「自分の力で解決できないことについて悩むより、自分ができることに力を注ごう」ということ。「人」も自分の力では解決できないことの一つです。そもそも人それぞれ、さまざまな価値観や考え方を持っています。それを自分の色に染めて、自分の思い通りに変えよう、とするのはおかしな話です。私は言葉遣いは、誰に対しても丁寧であることを心がけています。決して感情的にならないようにしています。新入社員に対しても、です。これは柳井さんから学んだんですが。社長だから、と偉そうにするのは、結局壁をつくってしまって、人を遠ざけてしまうと思います。だから、一生懸命説明して、理解してもらって、志を共有して、一緒に会社を変えていく。「自分にできること」は、「志を持って、目の前のことに懸命に力を注ぐ」ということ。その姿勢を持って走り続けることが、未来を創る方法であるように思えるのです。

毎日を、
精一杯学生らしく生きていた。

四国の出身ですが、なぜか中日ドラゴンズファンで、愛知県の日本福祉大学を選びました。「福祉」にそれほど思い入れがあったわけではなく、そもそも私は、「経済」を学ぶということしか考えていませんでした。「経済」という学問は抽象度が高いと思ったんです。それだけ幅広くいろいろなことが学べるんじゃないか、と。

そんな私の学生時代はアルバイトに明け暮れる毎日でした。何より働くことが楽しかったのです。その理由の一つが、仲間の存在です。アルバイト先には、さまざまな大学や専門学校に通う学生が集まっていました。彼らは一人ひとり、年齢も違えば、価値観も生活環境も違う。そんな仲間と、共に働き、共に遊び、時間を共有することで視野が広がり、人間的に大きく成長できました。この経験は、私の人生においてとても重要なものだったと今でも感じています。

大学の授業で印象に残っているのは、ゼミナールで中小企業について学んだこと。ゼミの教授から「日本は99.7%が中小企業だ」と教わり、おぼろげに「日本の経済は中小企業が頑張って回しているんだ」と、日本の産業構造に思いを巡らせました。その後、中小企業に興味を持ち、そこで働こうと考えるようになったきっかけになったのかもしれません。私が就職した当時、ファーストリテイリングも、まだほとんどの人が名前も知らない小さな会社でしたから。両親にも「あまり聞いたことがない会社だけど大丈夫?」と心配されたほど。しかし私は、小さな会社の方が、自分の存在感を発揮できる、とも考えていました。

もっとも、その時から「経営者になるんだ!」と考えていたわけでは決してありません。ただただ働くことが楽しく、仲間たちとの時間が魅力的だった、だけだと思います。

余談ですが、明確な夢を持っている若者ってどのくらいいると思いますか。「今の若者は……」と不安を感じる大人の方も多いかもしれません。しかし、大学時代は大いに遊び、懸命に学ぶ。そうやって学生らしく精一杯毎日を過ごすこと、それだけでいいと私は思います。その懸命な毎日の積み重ねが、未来へつながる一歩になると、私は信じています。

学んだのは、
ビジネスに必要なすべて。

ファーストリテイリングでは、充実した社員教育のもと、経営者として、ビジネスマンとして大切な価値観を教えられました。また、「お客さまからお金をいただいているのだから、頑張るのは当たり前。結果がすべてであること」、「評価するのは自分ではなく、相手。だからこそ、最大級の努力をしなくてはならないこと」、そして何より、「会社が大事にしていることや志」を徹底的に叩き込まれました。株式会社ファーストリテイリングのすごさは、徹底的に人の力を信じ、人を成長させるところにあると思います。会社の理念を正しく理解し、それにのっとって、最善の選択をしていく。これはつまり、一人ひとりが経営者意識を持つことなんです。そんな環境で働くことができたからこそ、今の私があると思っています。今思えばファーストリテイリングに入社したことは私にとって、「人生最大級のラッキー」だったのです。

変化に対応する、その先にある未来。

最近、コロナウィルス感染症が話題に上らない日は、ありません。しかし、私はコロナウィルスの流行は、ある一つの「社会の真実」を浮き彫りにしたに過ぎないのでは、と感じています。それは、「変化に順応できないと淘汰されてしまう」ということ。たとえばSDGsに対して多くの企業が競って参加を表明しているのも、これからは環境や経済、社会の課題の解決に力を尽くせない企業は淘汰されてしまうという事実でしょう。弊社は繊維や服飾を取り扱う企業ですが、リサイクルや素材の検討など、できることから始めています。

「みんなが幸せに暮らせる地球であるために企業として何ができるのか」というSDGsの問いに答えることは、すでに、企業として存続するうえでの絶対条件です。社会は限りなく変化し続けます。その変化に対応して、社会から求められることも、人々の想いも日々変わり続けます。企業は、社会の公器として、その答えを提示し続けなくてはいけないのです。

これからの社会をこんなふうに変えたい、こんな価値を与えたい、人々にこんな夢や幸せを与えたい。企業は、そんな夢や希望、志があってこそ、成長し続け、未来を築くことができるのだと思います。

Editor’s Note

三好さんは大学時代、経済学部であり、「ふくし」をそんなに真面目に学んでこなかった、と自嘲的に言う。しかし、「ふくし」から思い浮かぶキーワードは、「思いやり」や「支援」、それだけではないはずだ、とも。
「ふくし」は弱者だけのためのものではなく、社会全体、あるいはすべての人々のためのものであるべきだ。そう考えたとき、経営者にできることは、しっかりと利益を出し、社会に求められる企業であり続け、健全な経営をしていくこと。そこに働く人や家族の喜びがあり、社会に貢献できる会社を通して、社会とつながること。言い換えれば、「経営」には、人々を幸せにする力がある。
「幸せ」を想うこと。その時点で、三好さんは、「経営」を通じて、「ふくし」を実践しているのかもしれない。

※掲載内容は2020年12月取材時のものです。

仕事が一番好き、と公言してはばからない私の、LOVEは家族へのLOVEは当然として「読書」と「トレーニング」LOVEがあります。
「読書」は中学生の頃から小説を読むのが好きで、推理小説や歴史小説など、たくさんの本を読んできました。社会人になってからは小説に加え、主にビジネス関連の書籍を浴びるように読んでいます。「インプットのため」というのもありますが、活字中毒といってもいいかもしれません。本を読むことが習慣になっており、落ち着きます。
「トレーニング」は20年ほど続けており、最初は体重や体脂肪の減など数値結果に直結することが楽しくて始め、継続してきました。またストレスの解消にもつながり、かつ活力の向上も実現できています。現在は歳も重ねておりますので健康を意識する目的も含まれますが、やはり結果に直結することはビジネスとも同義と感じて続けています。
よって、私のLOVEは「活字LOVE」「トレーニングLOVE」です。

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