大学の自治と学生生活

大学の自治と学生生活

 憲法第23 条には「学問の自由は、これを保障する」とあります。学問の自由は、憲法第19 条の思想信条の自由と結びついており、真理探求のために、何の束縛もなく研究し、教育をし、教育を受ける権利を意味します。そして、学問の自由を保障するための自立的自主的な大学内部の自己規律が、大学の自治と呼ばれるものです。
 大学の自治の歴史をふりかえると、不幸なことに、外部からの干渉を受けたり、内部から自治を破壊する危機にさらされた過去を持っています。そのため、この文章に続くページで示すような、自治破壊からの防衛と、大学内部の秩序維持のための確認が、なされなければならないような事態を招きました。今日では、かつてのような事態はなくなっています。しかし、そのとき確認された内容は、今後もわたしたちの戒めとして十分留意しておく必要があると思います。この冊子に、その確認の内容を掲げるのはそのためです。
 ところで、学問、研究、教育の自由は、社会から遊離した、ひとりよがりのものであってはなりません。常に、人類の進歩と発展をみすえて、平和で幸福な社会を築いていくことを目的としなくてはなりません。他大学及び大学以外の組織や個人と協力し、あるいは相互に批判しあいながら、社会に貢献する姿勢が求められているのです。
 学生の立場でいえば、これまでの学問研究の成果に学びつつ、ゆたかな人格と教養を培うと同時に、大学の一員として、大学の自治を担う必要があると思います。
 ユネスコの学習権宣言(1985.3)は、「学習活動は、あらゆる教育活動の中心に位置づけられ、人々の成り行きに左右される客体から、自らの歴史をつくり出す主体にかえていくものである。」と述べ、学ぶことは基本的人権の一つだと言います。学生は、学ぶ中身や方法にも関心を持ち、その改善に積極的でなければなりません。受け身で講義や演習に不満を述べるのではなく、よりよい学びのために、責任を持って主張していくことが求められます。既存のカリキュラム改善だけでなく、自主的な学びの場を広げていくことも重要なことでしょう。  また、学習活動だけではなく、サークル活動その他自主的な取り組みを盛んにして、個人的、集団的力量を高め、学術、文化、スポーツ全般の発展に寄与していくことが期待されています。ボランティア、海外協力などを通じて社会参加を強めることも重要です。
 学生の多様なニーズは、学生自身の手によってまとめられ、発展させられなければなりません。学生の自治組織である自治会(美浜キャンパス)、三者会議(現半田キャンパスHSC)、サークル協議会、体育会、大学祭実行委員会などが、クラス、ゼミやサークルのニーズを基礎として、学生の総意を大切にして運営されるべきものです。その運営が円滑にいくための不断の努力と組織刷新が、学生の自治をゆるぎないものにすることでしょう。
 こうした学生の営みこそが、大学の自治の担い手として、教授会など学内の他の組織との関係のなかで各組織固有の権限と責任において対等平等に、学生組織を位置づけていくことになります。生き生きとした自主的組織活動の展開を心から期待しています。

※上記文章は1999年2月24日の教学委員会にて確認された内容をそのまま掲載しています。一部組織は現在存在しません。

大学と学生生活の諸原則に関する主要事項

1.全学協議会

2.大学を構成する団体・機関の相互関係について

  1. 各団体・機関は各々の任務・規則に基づいて運営されているが、組織内及び組織間で諸問題が発生した際には、協議の上で連携してその解決にあたる。
  2. 団体相互の意志決定が異なった場合、一方が他方を実力的に拘束することはない。
  3. 確認された事項については相互に遵守する義務を持つ。

3.諸活動に関する主要確認事項

(1)教育、研究の保護について

  1. 講義時間中のマイク宣伝活動、学内放送は行わない。ただし緊急災害時を除く。
  2. 講義時間中の集会・デモ・楽器演奏など、喧噪におよぶものは行わない。

(2)学外者の学内立ち入りについて

  1. 無用なものの本学内立ち入りは認めない。
  2. 学外者がかってに学内に立ち入り、宣伝、集会、デモ、写真撮影、物品販売、勧誘、討論などの諸活動を行うことはできない。

(3)学内での暴力行為について

学内でのあらゆる暴力行為は禁止とする。

(4)その他

地域住民に迷惑をかけないように注意する。とくに午後10 時以降は静粛にする。