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学園創立70周年記念事業 第35回 日本福祉大学 社会福祉セミナーin東京 を開催しました

レポート
2023年10月14日

 10月14日(土)、『学園創立70周年記念事業 第35回日本福祉大学社会福祉セミナーin東京』が東京商工会議所内『渋沢ホール』にて、大学・後援会・同窓会の共催で開催されました。会場にお越しいただいた方、そして、本学公式YouTubeチャンネルからのライブ配信の視聴者を合わせ、約1,300名の方にご参加いただきました。

 

 セミナーの詳細は、以下、各プログラムの開催レポートをご覧ください。

学長メッセージ:原田 正樹 氏(日本福祉大学 学長)

 セミナーの冒頭、司会の岩佐まり氏(本学通信教育課程卒業生、フリーアナウンサー)からの紹介を受け、原田学長が登壇されました。今回のセミナーは本学同窓生などの関係者だけではなく、一般の方も多く参加されていることもあり、「創立者である鈴木修学先生が掲げられた『万人の福祉』のために、人材養成と研究を積み重ねてきた大学である」と、本学の紹介がされました。
 そして、「70周年の節目となる今回のメインテーマ『しあわせのカタチ』について、参加者の方とともに考える素敵な時間にしたい。」と、メッセージが送られました。

オープニングアクト:特定非営利活動法人AVA「ドレミファダンスメンバー」によるダンス

 会場に流れる「愛のしるし」の音楽とともに総勢25名の「ドレミファダンスメンバー」が登場されました。2曲目の「パイナップルプリンセス」ではメンバーの軽やかなダンスが披露され、3曲目の「狙いうち」では、メンバーと参加者全員がリズムに乗ってハンカチを振り、会場全体が一体となって楽しい雰囲気に包まれました。


 素晴らしいパフォーマンスの後、NPO法人AVA代表の松浦辰吉理事長から「障害者や健常者で区別することなく、誰もが参加でき楽しめる音楽とダンスを使った活動を続けてきました。」といった法人設立に至った経緯や活動への想いが述べられました。

特定非営利活動法人AVA
障害のある方とそのご家族も一緒にダンスや音楽を楽しむイベント「ドレミファダンスコンサート」主宰。
2012年に第1回を開催後、年に2回、厚生労働省や法務省、東京都等の後援を受けオールボランティアで開催。近年はコンサート会場に秋篠宮佳子内親王殿下もご臨席。2023年は7月17日(月祝)東京体育館メインアリーナにて、 12月9日(土)J:COMホール八王子にて「ドレミファダンスコンサート」を開催。

スペシャル対談:角野栄子先生(作家・日本福祉大学客員教授) 阿川佐和子さん(作家・エッセイスト)

テーマ:しあわせのカタチ ~子どものしあわせ、大人のしあわせ~

 対談では、『魔女の宅急便』の誕生秘話や、子どもの頃の思い出や家族の話、お2人を繋ぐ児童文学作家の石井桃子氏の思い出話など、角野先生と阿川さんの軽快なトークが縦横無尽に繰り広げられました。

※以下、対談内容を一部抜粋。

『魔女の宅急便』誕生秘話と幼少期の思い出

阿川さん
「魔女の物語を書こうと思ったきっかけは何ですか。」

角野先生
「当日12歳だった娘が魔女の絵を描いたことがあった。それを見て魔女の物語を書こうと思い、空飛ぶ魔女の物語は世界中にどこにもいないだろうなと考えたのがきっかけ。主人公は当時の娘と同年代の女の子にしようと思ったの。」

阿川さん
「今日は『魔女の宅急便』の主人公である「キキ」のような黒い服装を選んできました。でも箒は持ってきませんでした(笑)」

 席を立って服装を紹介する阿川さんの姿に、会場参加者から拍手とほっこりとした笑いがこぼれました。
 その後、お2人の幼少期の話題に…

阿川さん
「子どもの頃に散歩をしていると、この石は動くんじゃないか…。この先には道があるんじゃないか…。などと空想にふけることがあったが、あの時間が今の私を支えているんだなと実感することがある。」

角野先生
「私は、昔から“いたずら書き”や“いたずら散歩”が好きだった。行ってみて、触れてみて、それが何なのかを想像していました。例えば、この虫はどんな虫なのか? いい虫なのか? わるい虫なのか?を考える。これはもはや物語だと思うの。だから、今のあなたを支えているのは、子ども時代のあなたなのよ。」

この他にも、物語や空想の世界に浸って想像力を膨らますことの大切さについてお話しされました。

“物語を書く”ということ

阿川さん
「角野さんはどのような思いで物語を書いているんですか。」

角野先生
「書いていると楽しい。子どものためや、教育のために書くのではない。申し訳ないけど、私が楽しいから書いている。自分自身が楽しんでいる感じは読者に伝わっていくと思っている。“何かのために”と思った時点で偉そうな表現になってしまう。私はそれが嫌なの。」

角野先生
「今度、江戸川区にできる「魔法の文学館(角野栄子児童文学館※」には、物語を中心とした約1万冊にもなる本があるんだけど、特に力を入れたのは本のセレクション。自分で本を読めるくらいになった年代の子を対象にしたんだけど、手に取ったときに“自分が見つけた本”として感じてもらいたい。だからあえて系列順ではなく、アットランダムに並べることにこだわったの。この考え方は、児童文学作家である石井桃子先生の影響を受けたからだと思う。」

阿川さん
「かしこまった話でも物語にすることで人の心にぐっと入り込んでくることがあるんです。」

角野先生
「私は、物語には隙間がある気がする。素敵だと思った場面にはふっと立ち止まる瞬間があってもいいと思う。今の子どもたちは、通学路が決まっていたり、分刻みのスケジュールで塾に行ったりと忙しいじゃない。寄り道をして違う世界に浸る時間も大切だと思う。」

阿川さん
「以前、児童文学作家の松岡享子氏にインタビューさせていただいた際、『今の子どもと昔の子どもを比べて、本を読むことに違いはありますか。』と伺ったんです。そのとき、松岡先生は、『今の子どもは、昔と比べて本を読み終わった後の時間にゆとりがないように感じる』と仰いました。そのお話を聞いて、(今は情報過多の社会であるから、脳内で“処理”することに留まってしまい、その先の想像を膨らます力が養われていないのではないか、これは子どもだけの問題ではないのではないか…。)そんなことを考えたのを覚えています。」

『しあわせのカタチ』とは…

 最後に、阿川さんから角野先生に、今回のテーマである“しあわせのカタチ”について問われました。

角野先生
「心を動かしながら、自由にいろんな暮らしや生き方をする。そうする中で、自然に“しあわせ”が生まれてくると思う。」

阿川さん
「コロナ禍の折、果物の種を庭に埋めていった。芽が出てくると“しあわせ”を感じたことがあった。やはり時間にゆとりがあると、ふとしたところに“しあわせ”を感じることがある。」

そして、一番の共感ポイントとなった“しあわせ”を感じる瞬間は、“月を見たとき”だそうです。

角野先生
「きれいな月を見ると誰かに伝えたくなるのよね。」

阿川さん
「月を見上げてちょっとでも“しあわせ”を感じたとき、今日の話を思い出してくれると嬉しいですね。」

参加者に向けた阿川さんの粋な語りを最後に、笑顔と拍手でスペシャル対談は締めくくられました。

閉会式

 セミナー実行委員長であり、東京地域同窓会の杉田会長より閉会の挨拶が述べられました。学園創立70周年と東京地域同窓会設立40周年の節目の年に開催することができ大変光栄であると伝えられました。
 そして、静岡県地域同窓会の増田会長と次期実行委員長の藤元様が登壇され、次回の第36回開催地は静岡県であることが発表されました。増田会長、藤元実行委員長から、来年度の秋の開催に向けた意気込みが語られ、東京地域同窓会から静岡県地域同窓会へバトンが繋がれました。
 こうして、『学園創立70周年記念事業 第35回 日本福祉大学 社会福祉セミナーin東京』は参加者による盛大な拍手とともに盛会のうちに幕を下ろしました。

この度、本セミナーにご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。