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2015年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「命」

半田市立乙川中学校 1年 榊原南帆

私が小学校六年生の時、隣のクラスのK君が特発性拡張型心筋症という、心臓の動きが悪くなり、血液がうまく循環できなくなる難病にかかりました。生きるためには心臓を移植しなければなりません。国内ではドナーが少ないため海外で手術を行わなければなりません。そのためには、一億八千万円が必要でした。このことを聞いたとき、そんな大金集まるのかなと思いました。だけど、生きたいと思っている人がいるのに、私達が協力しなくてどうするんだと思い、一億八千万円を集める募金活動に参加することにしました。

長時間立ち続けたり、寒かったり、風が強かったりと、思っていた以上に募金活動は大変でした。だけど、
「がんばってね。」
「応援しているよ。」
と声をかけてくれる方々がいて、もっとがんばろうと思えました。一円や十円の重み・温かみが分かった気がしました。

遠い病院で、人工心臓をつけて懸命に生きているK君の書いた作文は学校やインターネットで紹介されました。私はその作文を読んで初めてK君の思いを知りました。そして私も命について考えるようになりました。

K君が日本で入院している時、同じ病院に入院していた人が亡くなりました。ニュースでこのことを知った私は大きな衝撃を受けました。募金が集まらなかったらK君は死んでしまうかもしれないということに気づき、とても怖くなりました。そして、一生懸命に生きようとしているK君のためにもっとがんばらないといけないと感じました。

他の支援団体が無事に目標額を達成し、余ったお金を寄付してくれたことや、テレビや新聞で募金の呼びかけをしてくれたことで、数か月で一億八千万円が集まり、K君は渡米しました。外国での生活は長いと思っていたけれどすぐにドナーが見つかり、移植手術が行われました。ですがリハビリなどがあり、まだ学校には通えません。

私は、小さい頃、少しだけ入院したことがあります。だれかがお見舞いに来てくれたときは、とても嬉しかったです。その頃は勉強をしていなかったので、遊ぶことしか考えていませんでした。だけどK君は遠い病院で、学校で何が起こっているか、どんな授業を受けているかを知らずに、苦痛にたえていたのです。友達に会えなくて悲しいはずなのに、インターネットに上げられた写真は笑っているものばかりでした。私だったら、たえられないと思います。体調が少しでも変わったら気にし続けることに疲れてしまうかもしれません。いつ死ぬか分からない、自分の心臓と別れなければならない、そんな悲しみと戦かったK君は強いと思いました。

命について考えること、一生懸命生きること、この思いを、私はいつまでも大切にしていきたいです

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