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2015年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「語り継ぐために今私ができること。」

半田市立半田中学校 3年 森優里奈

「戦後七十年、戦争のまっただ中を生きてきた人として『戦争をどう考えますか。』と聞かれれば『あの悲惨な地獄は絶対いけない。何としても止めねば。』と答えるよ。でも、『なぜ戦争をしたのか、どこが間違っていたのか。』を正しく知らないと、また同じことを繰り返すよ。」戦後七十年、戦争体験者の祖母の今の思いです。祖母は一九四五年八月七日に二十六分の爆撃で、壊滅的な被害を受けた豊川海軍工廠に、学徒動員で働きに行っていたそうです。偶然にも祖母は七月末に動員解除され、その日にいなかったことで、被害を受けなかったそうですが、先生や友達を数十人、亡くしたのだそうです。「お国のために行くのが当たり前、我慢するのが当たり前」と教えられていた時代、武器を作っているという自覚はなく、食べ物も着る物もなく、ひびや、しもやけができても我慢という辛い時代を体験をしたそうです。毎年、夏になると戦争の話を聞く機会が増えますが、今年はいつもの年に比べ、戦争の話を聞く機会が多いように思います。それは戦後七十年という節目の年を迎えたこともあるのでしょうが「安全保障関連法案」が衆議院で可決され参議院へ送られたからなのではないでしょうか。多くの反対意見があり、国民の理解が得られていないのに・・・私は「安全保障関連法案」には反対です。七十年前、戦争に負けた日本は「日本国憲法」を作り、永久に戦争を放棄したはずです。もしこのまま「安全保障関連法案」が参議院でも可決されてしまったとしたら、どうなるのでしょうか。確かに日本が戦争に巻き込まれたら、他の国が助けに来てくれるという利点もあるかもしれません。その反面、他の国が戦争をしているところに自衛隊が武力を使って、その国を助けに行かなければならなくなります。さらにエスカレートすれば、自衛隊以外の人も戦争に行くことになるでしょう。それでは七十年前の戦争と何の変わりもないことになるのではないでしょうか。

祖母は二度と戦争を起こさないためには、歴史を学び正しく知ることが大切だと言っています。そのための一つの方法として優れた文学作品を読むことを勧められました。感動的な物語の中には、なぜ戦争が起こったのか当時の時代的背景や人の生きざまが見事に描かれているそうです。毎年、祖母は八月七日に友達と慰霊碑にお参りに行きます。今までにも私は祖父母に何度か戦争の話を教えてもらったことがあります。これまでの私は「また、おばあちゃん難しいこと言ってる。」というように理解しようとしていませんでした。しかし今、戦争体験を直接、聞ける人が身近にいるということは、とても貴重になってきたと感じます。私はこの貴重な体験ができること、今の平和な時代に生きていることに感謝しながら、祖父母の思いを次の誰かに語り継いでいかなければならないと思います。そのためにはもっと歴史を学び、正しい知識と自分の意見がもてるようになりたいです。

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