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2015年度作文コンクール入賞作品一覧

日本福祉大学学長賞 「今、強く思うこと」

半田市立亀崎中学校 3年 仙波 槙子

未曽有の被害をもたらした東日本大震災から早いもので四年の月日が経ちました。

ニュースでは一年に数回しか取り上げられなくなり、日々めまぐるしく伝えられる新しいニュースにおされ、あんなに恐ろしい災害や事故が忘れられつつある様に感じます。四年経った今も復興は思うように進まず、まだまだ辛い生活を送っている人にとっては長い月日に感じられるのではと思います。

仙台は、私の生まれ育った大切なふるさとです。美しい海や山がすぐそばにあり、自然を感じられる仙台の街が私は大好きです。休みにはよく家族で出かけました。

海でシャボン玉をしたり、紅葉を見に行き大きな滝の側まで歩いたり、元日には松島まで行き船の上から初日の出を拝んだこともありました。楽しい思い出には必ず美しい景色がよみがえります。次の夏休みには岩手県の浄土ケ浜へ行こうねと話していました。他にも行きたいところはたくさんありました。いつでも行けると思っていました。でもそれは叶わなくなりました。当たり前の毎日は突然当たり前じゃなくなってしまいました。もっと大切に過ごせば良かったと後悔しました。

震災によって起こった福島の原子力発電所の事故のために、突然大切なふるさとを離れることになったからです。最初は少しの避難のつもりでしたがそのまま引っ越すことになり、友だちやたくさんの大切な人達とちゃんとあいさつもできないままの別れになってしまったので余計に悲しくてたまりませんでした。今もまだ余震がありますが、そのニュース速報を見るたびに、自分だけ仙台を離れたことを心のどこかで申し訳なく思っていました。ありがとうも言えずに愛知に来てしまったことが私の中でとても引っかかっていたのです。仙台での事を思い出すとつい泣いていた私に、母はいつも「生きているんだからまた行ける、またみんなに会える」と言いました。そして「 Pay it Forward ペイ イット フォワード 」という言葉を教えてくれました。誰かから受けた親切を別の誰かに恩返しする、親切にするという意味でした。私はほんの少し、気持ちが軽くなりました。恥ずかしくてなかなか出来ませんが、少しでも実行出来たらと心がけています。

なかなか復興が進まないと言われる中、今年の五月には仙台から石巻までを結ぶ仙石線も全線運転再開したというニュースを聞き、よく利用した路線なのですごく嬉しかったです。少しずつですが復興は進んでいるのです。

私はまだ、震災後仙台へ行けていません。受験が終わったら必ず行きます。仙台の今の景色を自分の目で見、友だちやお世話になった人に会い、ボランティアにも参加することで感謝を伝えたいです。何事も当たり前と思わず、自分の気持ちを大切にし、後悔しないよう毎日を過ごしていきたいです。そして今私の周りにいてくれる人達に感謝し、私が今住んでいる半田市の良さももっと知り、仙台へ行ったときにみんなに伝えたいと思います。

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