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2013年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「新美南吉のふる里・岩滑」

半田市立半田中学校 2年 榊原唯

みなさんは、新美南吉を知っていますか。そうです、「ごんぎつね」や「てぶくろを買いに」で知られる国民的童話作家です。その新美南吉は、私の町、半田市岩滑が生んだ大スターなのです。今年は新美南吉の生誕百年で町がわいています。

私の周りには、生まれた時から新美南吉がいました。近所に新美南吉ゆかりの場所がたくさんあるからです。生家、新美南吉の遊んだ神社や川・お寺、記念碑のある公園、新美南吉が愛した自然や風景。そこは私が小さい頃から友達と遊んだり、家族と散歩した場所です。なので、ずっと新美南吉を特別なものとは感じずにいました。それどころか、小学校に入ると、総合学習や生活発表会がすべて新美南吉だったので、少しあきていました。

しかし、ある日市外から来た“新美南吉ゆかりの地をめぐるウォークラリー”に参加されている人たちに会った時、
「おじょうさんはいいわね。周りにこんなにすてきな場所がたくさんあって。」
と、言われました。その時、私はとてもうれしくなりましたが、不思議にも思いました。
「ここはそんなにすてきな所なのかな。」
それは、あまりにも当たり前なことで、特別な事とは気づかずにいたのです。神社で行われる春祭りや盆踊り。季節ごとに変わる花畑。新美南吉の童話からウナギのつかみどりやろうそくを持っての行列。秋には矢勝川の土手や周辺が彼岸花で埋めつくされ、まるで真っ赤なじゅうたんをしきつめたように輝いています。

これは全然当たり前のことではないのです。ここには、地域の人たちのたくさんの努力や力が注がれています。そのおかげで私たちはすてきな所に住めているのです。あの真っ赤なじゅうたんも、ボランティアの人たちが丹精込めて育ててくれたから、あんなにも見事に輝いているのです。岩滑や新美南吉を愛する地域の人たちのおかげなのです。

新美南吉の卒業生へ宛てた手紙の中に、
「たとひ僕の肉体はほろびても君達少数の人がいくら少数にしろ僕のことをながく憶えてゐて、美しいものを愛する心を育てて行ってくれるなら、僕は君達のその心にいつまでも生きてゐるのです。」
と、あります。新美南吉が愛した岩滑の風景はだいぶ変わってしまったと思いますが、少しでも今残っている自然・風景・ゆかりの地・昔からの行事を残し、そして新美南吉を次の世代に伝えていくことが、私たちの大事な役割だと思います。

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