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2013年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「誰でも住みやすい町に」

美浜町立河和中学校 1年 久野峻平

僕の兄は生まれつき自閉症という障がいをもっています。簡単な単語しか話せません。僕は、兄が障がいを持っていることで、今までいろいろ不便なことがあったり、嫌な思いをしてきました。

兄はこだわりが強く、どんなに暑くても家中の窓やドアを閉めないと気が済まなかったり、僕がトイレに入っているのに外から電気を消してしまったりします。買い物に行くと好きなように動き回るので、僕は見たいものも見ることが出来ず、家族とはぐれないように付いていかないといけませんでした。人前でも突然大きな声を出すので、周りの人をびっくりさせます。こういうとき、一緒にいる僕はとても恥ずかしいです。また、時々パニックを起こして騒ぎ出します。小さいころはよく咬まれました。僕は兄が嫌でたまりませんでした。

兄は、町内にある「チャレンジド」というヘルパーステーションのヘルパーさんと散歩をしたり、電車などに乗って出かけたりして余暇を過ごしています。ヘルパーさんやチャレンジドのお手伝いをしている日本福祉大学の学生さんの中には、僕と同じで兄弟が障がいを持っている人がいます。

そのヘルパーさんたちが、兄弟の会を作ってくれました。「ぽこぺこ」という名前です。一緒に食事を作って食べたり、活動の計画を立てたりします。兄と同じようにチャレンジドを利用している人の兄弟の子も参加しています。この会で僕と同じ立場の人と知り合うことができ、交流をもつことが出来ました。苦しい思いをしているのは僕だけではないんだということが分かりました。悩みを少しずつ話すようにもなってきました。この会に参加すると、気持ちが楽になります。

兄は去年まで半田市の養護学校に十二年間通っていました。僕も学校祭や運動会といった養護学校の行事は見に行っていました。その時に様々な障がいを持っている人がたくさんいることを知りました。

今の社会は障がい者やその家族に対して住みやすいものではありません。周りの人たちの理解も少ないです。でも、兄はいろいろな人に支えられ、少しでも暮らしやすくなるよう生活上の様々なことを工夫してもらってきました。例えば時間の見通しがもちにくい兄は絵カードで表示されたスケジュール表を持ち歩いています。両親の努力を横で見ながら、兄の抱える生活していく中での困難さもだんだん理解できるようになってきて、以前ほどは兄が嫌ではなくなってきました。

兄が障がいをもっていることでいろいろな人と出会うことができ、福祉について考えるようになりました。障がいがあっても、周りの理解と努力でその不便さを少なくすることはできると思います。身内に障がい者がいる僕だからこそ理解し、できることもあると思います。どんな障がいがある人でも暮らしやすい社会にしていきたいと思います。

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