2013年度作文コンクール入賞作品一覧
特別賞 「情報社会に残る活字」
知多市立東部中学校 2年 片岡拓巳
『調べ学習コーナー』
僕は、この言葉を職場体験をした図書館の一角で目にした。辺りには、老若男女様々な世代の人が、各自水を打ったように静かに真剣に調べ学習をしていた。
そんなとき、不意に一つの疑問が生じた。 「インターネットで簡単に調べられる時代に、わざわざ図書館で調べて何かメリットがあるのか。」 そう思った僕は、それぞれの媒体を用いて実際に調べてみることにした。
今回は、最近世界遺産に登録されて話題の富士山について調べてみた。まずはインターネット。「富士山」と入力して、検索。すぐにあった。静岡と山梨の県境の、標高三七七六メートルの活火山。起動時間を含めても、検索結果が出るまで三十秒程度だった。
では、図書資料ではどうだろうか。まずは、関連する本を探し、次に集めた本を読む。そして、その中から目的のことについて書かれた内容を見つけ出す訳だが、本当に欲しい情報を得るためには相当な時間を要してしまう。さらに、図書館へ出向かなければ図書資料で調べられないという問題もある。では、図書資料の利点はどのようなことなのだろうか。
僕は、「多くの知識に出会えること」だと思う。僕が図書資料で調べているとき、他の山のことについても多くの情報があった。インターネットでもリンク等はあるものの、図書資料は一目で見比べられるという利点がある。目的のことについて調べると同時に、他の知識も得ることができるのだ。
僕は、図書資料の利点についてさらに調べたいと思った。そこで、母に聞いてみると、
「そういえば、昔は家に百科事典があって、それでいろいろ調べていたんだよ。」
と、懐かしそうな顔で答えてくれた。僕は、それらが祖父の家にあることを思い出し、実際に百科事典を使って調べてみることにした。
百科事典は、祖父の家の本棚にあった。分厚くて年気を感じさせるその本には、大量の情報が記載されていた。しかし、場所を取り、時間もかかって調べるのも一苦労だった。昔は調べることがこんなに大変だったのかと衝撃を受けた。しかし、利点もあった。「富士山」の近くに多くの言葉があり、関心が生まれ、世界が広がったような気がした。
インターネットと図書資料。二つの媒体を比較してみて、強く思ったことがある。それは、今の時代急速にインターネットが普及しているが、図書資料は僕たちに多くの知識との出会いをもたらしてくれるということだ。よって、急いで調べるときはインターネットを使い、じっくりと深めたいときは自ら進んで図書資料で調べるなど、臨機応変に使い分けることが大事だと思う。
近年は情報社会。インターネットは確かに便利だが、前述の通り活字の良さもある。僕も含め、世界中の人がずっと活字の良さを忘れないでいてほしい。