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2013年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「自分の意志で」

半田市立乙川中学校 2年 諏訪下知紗

「私、美術部に決めた。」

一年生の六月、私は父と母に言った。

正直なところ、反対されると思っていた。中学・高校のときには、父は野球部、母はバスケットボール部に所属していたそうだ。二人共、私が運動部に入ると思っていたに違いない。実際、小学校の頃には週に一回行われるバスケットボール部に入っていた。私は運動が好きだ。水泳も得意だ。でも、私はそれよりも絵を描くことが大好きだ。自分の気持ちを絵で表すことはとても楽しい。

部活動見学のとき、先輩がふくろうの狩りの様子を描いていた。私はその絵に見入ってしまった。なぜなら、そのふくろうの羽と森の木の葉を一枚一枚ていねいに塗っていたからである。それに、奥行きがあり、ふくろうとねらわれた獲物の動きがリアルに描かれていた。私は思った。
「私も、先輩のようなすてきな絵を描いてみたい。」

母に美術部に入りたいと伝えると、こんなことを言った。
「仲良しの友達と一緒の部にしたの。」
私は答えた。
「違うよ。友達は吹奏楽部に入ったよ。」
「自分で考えて決めたんだね。そこが知紗のいいところだよ。」

日頃、ほめられることのない私は母の言葉に驚いた。そして母は続けた。 「前から思っていたんだよ。知紗は人に流されないで自分の意志で決められる。自分の意志で決めることは、とても大切なことだよ。自分で決めたことなら続けられるよ。頑張ってね。」

今まで自分に良いところなんてないと思っていたけれど、母の言葉を聞いて、少し自信がついた気がした。

実際、部活で絵を描いていると、今の自分の気持ちが絵に写し出されることが分かった。テストで思わしくない結果のときは、思うように絵が描けなかった。逆に気分が良いときは、生き生きとした絵をかくことができた。絵は不思議だ。自分の気持ちが表れてくる。それが絵の魅力でもある。

二年生に進級し、しばらくすると先輩達が引退する時期になった。優しかった先輩達が引退することに寂しさを感じたが、一年生の後輩が入ってきて、いよいよ自分達が美術部を引っぱっていくんだという気持ちにもなった。そして、役員決めで私は副部長になった。母に伝えると、一緒になって喜んでくれた。

これから、部長と力を合わせて大好きな美術部を支えていこうと思う。人と人が心を合わせて協力することが大切だと思うし、そのことを後輩達にも伝えていきたい。そして、何事に対しても自分の意志をしっかりともち、生きていきたいと思う。

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