教材開発

  1. ホーム
  2. 教材開発
  3. 作文コンクール実施要項
  4. 2013年度作文コンクール入賞作品一覧
  5. 日本福祉大学学長賞 「弟のおやゆび」

2013年度作文コンクール入賞作品一覧

日本福祉大学学長賞 「弟のおやゆび」

ご本人の意向により学校名・氏名の掲載は控えております

わたしには十ケ月の弟がいます。よく食べて、わらって、あそんで元気いっぱいです。

弟が生まれてすぐにびょういんへ行ってだっこをしました。小さくてあたたかくてすごくかわいかったです。でも、お父さんに 「赤ちゃんはおなかの中で少しけがをして、左手のおやゆびが二本になって生まれてきたんだよ。」 と言われ、弟の手を見たら本当におやゆびが二本もありました。少しびっくりしたけれど、とてもかわいいし、みんなよりたくさんあってべんりそうでいいなと思いました。でも、お父さんとお母さんはびょういんの先生と話をして、一さいくらいで手じゅつをして、ゆびを一本へらす事にしたそうです。その事を聞いた時、ゆびはきちんと動いているしかっこいいのに、どうして五本にしないといけないのか、すごくふしぎでした。

わたしの友だちが弟の手を見ても
「かわいい手だね。手じゅつはいたいからかわいそうだね。」
と言ってくれました。でも、一人の男の子が
「なんだこれ。ゆびが六本もあるなんて気もちわるい!」
と言って、ずっと弟のゆびの事をわらっていました。わたしはその時、すごくかなしくてくやしかったけれど、何も言えませんでした。弟が大きくなって、こうやって言われたり、いじめられたりするといけないから、手じゅつをするのかなと少し分かりました。

六月に弟の手じゅつはおわって、元気にたいいんして来た弟のえ顔を見て、安心しました。でも、手じゅつは四時間半もかかったし、テープやそうぐをつけないといけないので、やっぱり手じゅつした事はかわいそうだったなと思いました。

校長先生が、手と足がない五体ふまん足のおとたけひろたださんの話をしてくれました。おとたけさんは手と足がない体でも、かくしたり手や足を作ったりしないで、そのままの体で生活しているそうです。家に帰ってお母さんと、弟は五体まん足なのか、ふまん足なのか考えてみました。
「かずなはみんなよりたくさんだから、五体大まん足だね。」
と話しました。五体ふまん足の人がそのままの体なのに、五体大まん足の弟が生まれた時のままでいられなかったのは、やっぱり少しかなしいなと思いました。お父さんたちは弟がいじめられる事を心ぱいしていたし、実さいにいやな思いもしたりしました。だから弟は手じゅつをしてみんなと同じにしたけれど、本当はみんなとちがう所があっても、わらったりいじめたりする事がない様になるといいなと思いました。

弟のゆびは五本になってしまったけれど、わたしはかわいかった弟の六本ゆびをわすれないでいたいです。弟のえ顔はすごくかわいくて一しょにあそぶととても楽しいので、これからも弟のせい長が楽しみです。

ページの一番上へ

戻る