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2012年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「命の選択」

東浦町立西部中学校 3年 大岩佑衣

あなたは誰かに家族の臓器をさしだす勇気がありますか?

私はこの間、「臓器提供意思登録カード」という、自分がもし脳死及び心臓が停止した時、誰かに臓器を提供してもいいという意思を表示する、というものに登録をしました。

臓器提供のことを知ったきっかけは、今年の六月にあった六歳未満の男の子のニュースです。一昨年から十五歳未満の人でも家族の承諾があれば、脳死後臓器提供が認められる法律になりました。しかし、六歳未満の子の臓器提供は今まで日本で行われた事がありませんでした。そんな中、この男の子は日本初の六歳未満の臓器提供となりました。決断されたご家族は「息子が誰かの身体の一部となって生きてくれるのではないか。このような事を成し遂げる息子を誇りに思う。」と、コメントされました。

私はその行動を知り、
 「自分ももしもの時、誰かの役に立って死ねるのは名誉のある、幸せな事だ。」と思い、ご家族の行動に感動しました。そして、臓器提供について関心をもち、このカードの事を知りました。

しかし、両親にカードの登録をしたいと相談した時、少し反対をされました。なぜ?と思いきいてみると、
 「脳死は脳が死んだだけで、心臓が止まったわけではない。まだ体は温かく、心臓の動いている家族を死んでいると認め、臓器をさしだす事はできないかもしれない。」との事でした。

私だったらどうするだろう、たとえば自分の家族が病院のベッドで横たわっていて、手を握るとまだ温かい。それでも勝手に息をとめさせ、家族の臓器提供を承諾できるだろうか?と思いました。自分のだったら快く提供できるかもしれないけど、家族だとなると、すごく嫌な気持ちが大きいです。でも、病院にはたくさんの人が生きたいと願い、提供を待っている。考えれば考える程、すごく難しい問題だと思いました。六歳の子のご家族はすごく大きな決断をされたんだとつくづく感じられました。

今、日本では「脳死は人の死」とされ脳死と判定された人は「死亡」した事になります。また、その判決をどう受けとめ、どうするかを決めるのも本人と家族の意思によって変わります。もし自分がそうなった時のために、今こそ家族と話し合うべきだと思います。そして、この現代には「臓器提供意思登録カード」とは逆の「ノン・ドナーカード」という臓器提供をしないという意思表示をするカードもあります。もしもの時のために自分と家族の一番望んだ結果となるよう意思表示をする人が増えていく事を願います。私も、これから先も「命の選択」について、真剣に考えていきたいと思います。

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