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2010年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「たくさんの虫たちがいてくれること」

東海市立三ツ池小学校 5年 妹尾康平

「ぼくもホタルが光るところをみたいなぁ。」

「お母さんが子どものころには、この家の周りにもホタルはいたんだよ…。」

一度もホタルを見たことのないぼくが、たまたまテレビでやっていたホタルを見ながら何気なくつぶやいたときのお母さんの意外な言葉に、ぼくはとてもおどろいた。

お母さんの話によると、三十年くらい前、ぼくの家は田んぼに囲まれていて、夜お母さんがねるときには、カエルの鳴き声がうるさいくらいひびいていたそうです。そのころには、夏になるとホタルはまだ飛んでいたのです。でも、田んぼがうめ立てられ、広い道路が出来てたくさんのお店が建つと、ホタルのすがたは全く見られなくなってしまったんだそうです。

ホタルは、きれいな水の流れる川や水田、そしてエサとなるカワニナなどの貝類がいるところでないと育たないと聞きました。また、農薬や洗ざいの使用で水が汚くなってしまったり、開発により山や田んぼが造成されてしまうなどの理由でホタルが育つ場所が少なくなっていることも調べてわかりました。道路やお店が出来ることは、人間には便利なことだけどホタルたちには、住む場所を失うという大変な問題なのです。ぼくは人間の便利さが、ホタルやたくさんの生き物のぎせいの上に成り立っていることを知って、とても悲しく感じました。

以前新聞にヒメボタルの生息地である名古屋の相生山緑地に『道路を作るのか、ホタルを守るのか。』という記事がのっていました。ぼくはこの記事を読んだとき、人が便利になることも大切だけど、ホタルの命を守ることはもっともっと大切だと思いました。地球は人間だけのものではなく、生き物みんなのものだと思ったからです。ぼくの家の周りのようにホタルを見れなくなってしまうなんてことが二度と絶対あってほしくないとも思ったからです。

ぼくは虫が大好きです。今でもぼくの家の周りには、チョウ、カブトムシ、バッタ、カマキリなどたくさんの虫がいます。ぼくは虫をつかまえて育てたり、育てた虫が産んだ卵をかえしたりすることを一番の楽しみとしています。ぼくの家の周りでは、もうホタルは見られません。今回のことで、ぼくは近くにたくさんの虫たちがいてくれることはあたりまえではなく、大切にするべきことだと強く思いました。そしてこのかんきょうを守る努力をしていきたいとも思いました。ぼくが大きくなったとき、

「ぼくが子どものころには、この家の周りにもたくさんの虫たちがいたんだよ…。」

そんなさみしい会話を絶対にしたくはないからです。

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