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2008年度作文コンクール入賞作品一覧

特別賞 「輝く笑顔を咲かせるために」

常滑市立鬼崎中学校 3年 吉田みずほ

それは梅雨に入った六月の、名駅近く。雨がシトシトと降っていました。雨はまだまだ降りはじめたばかりで、雨粒も小さかった。私はそのなかを、傘をささずに歩いていました。友達と話していたこともあって、特に雨に濡れることも気にせずに、ただただ歩いていました。

すると突然、私の頭上に傘が差し伸べられました。急のことにビックリしていると
「濡れますよ?」
と、高校の制服を着た、私とそうも歳の離れていない女の子が顔を覗かせてきました。ようやくのことながら、私は状況を理解することができました。ですが、朝の早い時間だったのでその子も学校に行くんだろうと思ったし、何より気持ちだけで十分だった私は
「大丈夫です。ありがとうございます。」
と、笑顔でこたえました。するとその女の子は、微笑み駅構内へと歩いていきました。その後ろ姿を私はぼんやりと、でもしっかりと見つづけていました。

そのときふいに、なんだかとても嬉しく、同時に心の中になにか温かいものが流れてくるような感覚を覚えました。正直、はじめはビックリしました。でも、その女の子がわざわざ私のために傘をさしのべてくれている状況を把握した途端に、本当にしっかりとそれを感じ取ることができました。その子のことを何ひとつ知らなかったですが、心から優しい人なんだということにはすぐに気付くことができました。

このような経験をし、このような感覚を身をもって感じることができること自体がしあわせであり、大切なんだと私は思います。ですが何より、知らない人に対しても何も言わず行動としてすぐに動けるというのは、とても大切であり、素晴らしいと思います。このような人にお礼を言えたことを私は嬉しく思います。

今、世の中では自分世代の子による事件が相次いでいます。それを聞くとなんだかとてもさびしい気持ちになるし、正直恐ろしくも思えます。ですが、そういう人たちもいれば今回のような人もいる。この事実にも変わりはありません。

その人は笑顔で私に声をかけてくれて、私はそれに笑顔でこたえた。これはとてもよい笑顔の連鎖だと思います。人が笑って、人が笑い返す。このとてもよい連鎖を人から人へ、人から人へとつなげていくことができれば、私をふくめみんなが最高の笑顔を輝かせることができるでしょう。

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