教材開発

  1. ホーム
  2. 教材開発
  3. 作文コンクール実施要項
  4. 2008年度作文コンクール入賞作品一覧
  5. 半田市長賞 「大好きな町、もっとあたたかい町に」

2008年度作文コンクール入賞作品一覧

半田市長賞 「大好きな町、もっとあたたかい町に」

半田市立青山中学校 3年 辻千尋

私たちの町である板山は、なにもないところである。駅やスーパーはもちろん、コンビニでさえ歩いていける距離にない。家のほかにあるものといえば、畑や田んぼ、林など。本当に不便でしかたがない。

でもそんな板山にも、胸を張って誇れることがある。それはお年寄りの心のあたたかさだ。

私の家のとなりに住んでいるおじいさんとおばあさんは、見かけると必ず「おはよう」とあいさつをしてくれる。それだけではなく、畑で育てた新鮮な野菜をおすそ分けしてくれることもある。とれたての野菜は、食べ物の好き嫌いがはげしい私でも食べられるほど、おいしい。

また近所のおじいさんは、二軒先まできこえるような大声で、「おはようございます!」「こんにちは!」とあいさつしてくれる。このおじいさんの声をきくと、一日を元気にスタートできる。

ほかにも、散歩をしているおばあさんや畑で作業するおじいさんなど、板山にはたくさんのお年寄りがいて、いつもあいさつをしてくれる。学校からの帰り道、全く知らないおばあさんに「おかえり」と言われることもよくある。

あいさつをかわすと、一時でもその人と自分の間に絆ができたような気がして、心があたたかくなる。そして、お年寄りはいつも私たちを見守ってくれているのだということを教えてくれる。

私たちは、このあたたかいお年寄りたちのために、何かすべきだと思う。例えば家から動けないお年寄りのために、スーパーから食料や衣料品を配達するシステムをつくったらどうだろう。また、介護サービスをより充実させて、お年寄りが安心して暮らせるようにすべきだ。そうすれば、お年寄りも喜んでくれるし、もっとあたたかい町になると思う。

私たちの町にはお年寄りのあたたかさがあふれている。しかしあくまで「お年寄りの」あたたかさだけである。私ぐらいの子供は、あまり積極的にあいさつをしようとしない。大人とすれちがっても何も言わず、うつむいて通りすぎていく姿をよく見かける。そして私も例外ではない。ときどき、「相手があいさつを返してくれなかったらどうしよう」と不安になって、無言で通りすぎてしまうことがある。きっとほかの子も同じように不安だからあいさつができないのだろう。そういう子供たちがちょっと勇気を出せば、板山は「お年寄りだけがあたたかい」町にはならないと思う。

私の大好きな町、板山。お年寄りのあたたかさをもらって、いつか町民全員が家族のように声をかけあえる日がきてほしいと思う。

ページの一番上へ

戻る