教材開発

  1. ホーム
  2. 教材開発
  3. 作文コンクール実施要項
  4. 2008年度作文コンクール入賞作品一覧
  5. 日本福祉大学学長賞 「臓器提供」

2008年度作文コンクール入賞作品一覧

日本福祉大学学長賞 「臓器提供」

半田市立亀崎中学校 3年 長井佑有里

私には、一人のおばさんがいました。おばさんは一年前に肺ガンを患いました。「余命二ヶ月」と先生に言われていましたが、おばさんはあきらめず病気と闘いました。お見舞いに行くといつも笑顔で迎えてくれたおばさんの顔が忘れられません。しかし、おばさんの努力や私達の願いも届かず、平成二十年六月十日に亡くなってしまいました。新聞やテレビのニュースで人が亡くなった話題に心を痛める事はあるものの、身近な人がいなくなるのがこんなに辛いものかとは知りませんでした。改めて、事件や事故で亡くなった人はもちろん、親族の人の悲しみが少し分かった気がしました。しばらく私はショックから立ち直れず、何も身が入らない日々を送っていました。しかし、母から聞いた一言で私の心は救われました。それは、おばさんが臓器提供をしていた事です。みなさんは、臓器提供について知っていますか。臓器提供とは、病気で自分の体を新しいものにしないと助からない人々に、臓器を提供してあげる事です。そのために「ドナー登録」というもので、自分の意思を表明し、カードを作ります。そうすると死後誰かのために役に立ってもらえるのです。おばさんは、「自分の体で誰か助かるのなら」と前から登録していたそうです。ガンで臓器がやられてしまったので、角膜を移植しました。私は、移植によって誰かのためにおばさんの角膜がその人の目として生き続けているというのを知ってとてもうれしかったです。今、この時間も二人の方の目として生きているおばさんと一緒に居ることができて幸せです。

しかし、日本は他の国に比べて臓器移植についてあまり積極的ではない国だそうです。なぜかというと、移植に対して偏見をもっている人や、知識のない人が多いからです。病気や事故で臓器の機能低下や臓器不全に苦しんでいる人がたくさんいます。しかし、今の状況ではなかなか提供者がいません。なので、生体移植を行ったり、海外へ手術をしに行く人も多いそうです。私は、もっと多くの人々が臓器移植について正しい知識をもって、一人でもたくさんの人のドナーが増えてほしいと思いました。

どうしても臓器が手に入らないからと、臓器売買が行われる事もあるそうです。特に生活に苦しい人は、「たくさんのお金が手に入る」という理由で自分の臓器を売ってしまう人もいます。私はその事実を知ってとても悲しくなりました。たくさんの命に支えられている、健康な臓器は決してお金には変えられないと思ったからです。

私は臓器移植とはいのちといのちを結ぶものだと思います。なので、将来私も自分だけではなく、誰かのために生きる一つとしてドナー登録をしようと思います。

だからこれからも、限りある命を大切に、せいいっぱい生きていこうと思います。

ページの一番上へ

戻る