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2007年度作文コンクール入賞作品一覧

生涯学習推進協議会賞 「形の無い宝物」

美浜町立野間中学校 3年 野田尚真

僕の宝物は人からもらった言葉です。

人からもらう言葉はさまざまです。感謝の言葉、お礼の言葉、励ましの言葉、注意の言葉、いろいろな言葉があるけれど、僕はどれもすばらしい宝物だと思います。

宝物と聞くと宝石や財宝などのものを思い浮かべる人もいるかもしれません。僕も前まではそう思っていました。でも、僕は形の無い宝物もあることに気付きました。

生まれてからたくさんの言葉に出会いました。今までを通して僕が大切にしたいもの、それは一つ一つの言葉に含まれる言葉の力です。
「いってらっしゃい!」
この一言から僕の一日が始まります。僕の母は、どこにいても何をしていても、大きな声で僕を送り出してくれます。負けないように僕も、「いってきます。」と大きく返して家を出ます。今日も一日頑張ろうという前向きな気持ちが生まれて「言葉ってすごいなぁ」と思いました。母の一言には、元気になれる力と僕の背中を押す力が含まれているのだと気付きました。

もう一つ、僕が言葉の力を実感した出来事があります。それは、中学校の体育の授業の時間にハードルでこけてしまい肩の骨があっけなく折れてしまいました。片手しか使えなくなり、とてもショックを受けていると友達や塾の先生などからメールが届きました。その中の一通のメールの最後の行にあった一言を僕は忘れることができません。
『明日から少しずつ頑張ればいいよ 大丈夫だから』などと身近な人が励ましの言葉をくれました。この一言で気持ちが軽くなり、希望が生まれました。画面に並んだ言葉から、友達の優しさがひしひしと伝わってきました。言葉を通してもらった力に、僕は助けられたのでした。

同じように、文字から伝えられる力を強く感じたことがありました。相田みつをさんの言葉が書かれたカレンダーの中からです。ある日、こんな言葉がありました。『やれなかった やらなかった どっちかな』僕はハッとしました。二つの言葉は、似ていても大きく違うことに気付きました。そして、今まで自分は「やれなかった」と言い訳ばかりして、いろいろなことから逃げていたのだとわかりました。初めからあきらめていては何もできない    。これに気付かされた僕は、様々なことに挑戦し、努力するようになりました。一言で、僕の生き方が大きく変わりました。温かい文字には、人をたくさんの方向へ導く力がありました。

今まで出会った言葉たちは、僕の心に染み、僕を大きく成長させてくれました。人の人生に影響するほどの力を、全ての言葉が持っているのだと僕は知りました。それ故に、注意しなければならないこともあります。言葉は時に、人の心を傷つけるものになるということです。例えば命に関係する言葉やコンプレックスに関わる言葉。相手の気持ちを考え、慎重に言葉を使ってほしいと思います。言葉の力を大切にするということは、周りの人を大切にするということだから――。

多くの人から力をもらったように、これからが僕が、たくさんの力をあげようと思います。一つの言葉に込められた、大きな力を。思いを伝えられる喜びを抱きしめて、大好きな人たちに輝いた言葉を贈りたいです。

みなさんもこれからの人生で言葉というすばらしい力を形の無い宝物として実感してみてはいかがでしょうか。

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