修士課程 福祉社会開発研究科

福祉社会開発研究科について

児玉 善郎 (日本福祉大学 学長・大学院委員長)

日本福祉大学大学院博士課程福祉社会開発研究科は、社会福祉学専攻、福祉経営専攻、国際社会開発専攻(通信教育)の3専攻を有し、それぞれの専攻において、博士(社会福祉学)、博士(福祉経営)、博士(開発学)と、所属する専攻にふさわしい学位を授与する仕組みを維持しながら、新たな学際的な福祉社会開発学の構築を目指す、全国的にも類をみないユニークな総合大学院です。

福祉社会開発研究科として統合された契機は、社会福祉学研究科を実施母体とした研究プロジェクト「福祉社会開発の政策科学形成へのアジア拠点」が、2003年度に文部科学省「21世紀COEプログラム(社会科学分野)」(2003~2007)に、福祉系大学としては全国で唯一採択されたことにさかのぼります。このCOE研究プロジェクトは、社会福祉学研究科が推進してきた先進国の高齢者ケアを中心とする福祉分野の政策科学・評価研究と国際社会開発研究科(通信教育)と情報・経営開発研究科の国際開発領域が蓄積してきた発展途上国の貧困地帯の参加型社会開発研究とを融合・統合して、「福祉社会開発学」という新しい学問領域を構築し、本学大学院が中心となってその「アジア拠点」の形成を目指しました。その結果、2007年度に3つの専攻を福祉社会開発研究科として統合しました。

現在は、その研究拠点として「アジア福祉社会開発研究センター」が名古屋キャンパスに設置され、活発に研究活動を展開しています。また、博士課程の裾野教育を充実させるために、これまでの修士課程に加えて、高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラムとして、「地域再生のための『福祉開発マネジャー』養成プログラム」(文部科学省委託事業2014-2016)という通信・通学融合型の履修証明プログラムを実施し、委託事業終了後の2017年度以降も継続しています。

福祉社会開発研究科では、学位取得のために次の3点を特徴とした充実した教育プログラムを用意しています。第1は、学位論文執筆にむけての段階的な研究指導、研究発表、論文審査体制が整備されていることです。その仕組みの1つは、2年次の後期以降に執筆資格審査を1つのハードルとして用意し、前半期の論文執筆の到達目標を明確にしていることです。また、研究成果の発表として、大学院発行の学術研究誌『福祉社会開発研究』において査読付き論文の投稿機会を確保しています。第2は、主指導教員に加え当初から副指導教員を配置し、複数指導体制の制度化による多面的な指導体制を確保している点です。第3は、フィールドワークや調査研究プロジェクトを積極的に提供し、それへの参加を通して研究をバックアップしています。

これらの特徴が系統的に組み合わされ、効果的で効率的な教育プログラムを実施し、入学者に対して責任ある研究・論文指導を確保しています。