社会福祉士科OB | 先輩インタビュー & メッセージ | 中央福祉専門学校スピンオフサイト（名古屋市鶴舞）

患者さまにとって初めてのケースは1/1。
その1ケースを大切に、向き合っていきます。

中央福祉専門学校社会福祉士科（夜間課程）を卒業し、豊田市にある三九朗病院で
医療ソーシャルワーカー（以下MSW:Medical Social Worker）として活躍する山田草平さんにご登場頂きました。

山田草平さん

中央福祉専門学校社会福祉士科 2016年3月卒業
医療法人三九会三九朗病院勤

Q初めに、山田さんが社会福祉士を目指した理由を教えてください。

数年前に母の病気で、患者家族としてMSWと関わる機会がありました。治療についてはもちろん、介護保険の認定や障害年金の申請等全てが初めての出来事。右も左も分からなかった私にとってその担当者の存在はとても心強く、また、その仕事は意義のあるものと思い、私自身も勉強してみたいと思ったのがキッカケですね。

Q本校を選んだ理由を教えてください。

アクセスの良い鶴舞にあるという「立地」、日本福祉大学の系列校という「安心感」、あとは他校と比べて「学費が安かった」ことで選びました。

Q本校を選んでよかったと感じることはありますか？

クラスメイトは、日々の学習、実習、国家試験、就職活動と全てにおいてモチベーションの高い学生が多く、お互い切磋琢磨出来たのはとてもよかったです。また、学校に出ている求人の数も多く、先生たちは求人先の事情などにも明るいので、様々な相談をすることが出来ました。

Q現在のお仕事内容を教えてください。

リハビリテーション病院のMSWとして、患者さんやご家族の方が病気や怪我で失った権利を回復し、再びその人らしい生活、人生を取り戻せるよう支援を行っております。
具体的には、支援制度の案内や取次ぎをはじめ、入院生活の相談、退院に向けて在宅支援の事業所等との連携、施設入所や転院の調整、復職支援、心理的支援など幅広い支援を行っています。

Q仕事現場で心がけていることはありますか？

MSWは福祉職ですが、病院内の他の職員、医師、看護師、療法士は医療職です。医療現場の価値観として疾患の治療や安心・安全な生活といったことがありますが、自分らしい生き方を考えた場合、必ずしも疾患の治療や安心・安全な生活が人生の第一目的であるとは限りません。医療機関に勤める者として実際にはやはり安心・安全が確保できないことは提案できませんが、福祉職としての視点は常に持っていたいと思っています。

Q具体的に行われていることはありますか？

主訴は何かということを考えるようにしています。例えばアルコール依存症の患者様が「お酒がのみたい」と言った場合に、それは本当にお酒がのみたいのか、或いは現状が辛いから逃れたいという気持ちが「お酒がのみたい」という言葉になって表れているのか、ということを考えるようにしています。

Qいろいろなケースがあるのですね。

患者様が多岐にわたるので、様々なケースに直面します。そして、これから現場を続けていくにつれて自分が担当したケースの分母はどんどん増えていきます。初めてのケースは1/1、次のケースは1/2、そして1/3…..1/100と、1つのケースが自分の中ではどんどん小さい値になっていきますが、患者様にとってはいつまでたっても1/1のケースであることに変わりありません。中でも入院という出来事は、その方の人生の中でも大きな出来事だと思います。日々の業務のうちの1ケースではなく、患者様にとって大切な1ケースとして大切に向き合っていきたいと思います。

Q社会福祉士になって良かったことはありますか？

考える機会を得たことですね。
これまでは福祉＝親切という先入観がありましたが、授業の中でエンパワメントという概念を学び、転んでいる人に安易に手を差し伸べることは、時にその人が自分自身の力で立ち上がる機会を奪っている、とも考えられることを知りました。この視点は私にとってパラダイムシフトであり、誰かの力になりたいと思った場合にどのような行為がその人にとって最も相応しいのか、ということを、状況を踏まえて考えるようになりました。