言語聴覚士科OBOG対談集

Q在学中に受けた授業や指導で印象に残ったことは？

佐藤：先生からは言語聴覚士の仕事は、大変なことや辛いことが多いが、感謝してくれる患者さんや待っていてくれる患者さんがいるから頑張れと言われましたね。

石川：私は、社会人経験はあるんですが、こんなに人と接する仕事は初めてで、今まで人の目を気にしていなかったんですよね。それで、患者さんに対する自分の接し方や言葉使いなどの所作を指摘されました。細かいところだけど、とても大切な部分だと思います。
あと、先生方は臨床経験も長く、現場目線でアドバイスをくださるので、とても頼りになります。演習は先生と接する時間が多くなって、距離が近くなるんです。個性的で熱心な先生ばかりという印象です。

Q国家試験の対策ではどんなことをやっていましたか？

石川：『門外不出の問題集』というのがあって、それをやって出来ないところをメモを取って調べて、先生が国試対策の授業をがっつりやる…みたいな感じでした。また『伝達講習会』っていうのがあって、クラス内で「この人はこれが得意」とか「私はここが苦手」といった具合で、出来る人が教えるみたいな感じで、互いに教え合っていました。

佐藤：教科書だけ見て闇雲にやってもダメだから、要点をまとめたレジュメを作ったりしていました。傾向と対策を考えて、皆で教え合うところは良い伝統だと思います。

• 

  松下 友紀さん

  中央福祉専門学校 言語聴覚士科
  2014年3月卒業
  名城大学理工学部 出身
  独立行政法人国立病院機構
  豊橋医療センター 勤務

• 

  藤村 公枝さん

  中央福祉専門学校 言語聴覚士科
  2012年3月卒業
  日本女子大学大学院修士課程 出身
  名古屋記念病院 勤務

Q臨床実習はたいへんだったと思いますが、振り返ってどうでしょうか？

松下：実際に患者さんを相手にすると、実習での経験が大きかったと思いますね。演習の様子をビデオで撮られることもあるので、緊張に慣れたという面もあるかと思います。

藤村：学校では、たくさん失敗することも大切ですね。現場でスタートラインに立った時に、患者さんごとの対応力のストックが出来ますから。自分のミスも、他の方のミスも自分の中のデータとして残るので、なんでも失敗を恐れずにチャレンジするといいと思います。

松下：同感ですね。学生の時は、ミスしまくったほうがいいくらい（笑）。かっこ良くやろうとしては、かえってダメだと思います。現場では1年目からプロとして活躍しなければならないので、できるだけ知識と経験を積んだ方が良いです。

Q現場では、うれしいことも辛いこともいろいろありますか？

松下：やはり、患者さんに『あなたのお陰でよくなったよ』と声をかけていただけることが一番うれしいですね。頑張った甲斐があったと感じる瞬間です。辛かったことは、自分の知識不足を痛感してへこんだこと。教科書や資料に書いてあるとおりには行かない事がよくあります。知識と現実を結びつけることに苦心しますね。また、訓練すれば良くなるのに、ご本人さんがあまりやる気にならないと、自分の指導が至らないのかと、とても悔しい気持ちになります。

藤村：言語聴覚士は患者さんから出てくるものを見ながら、すこしずつ改善していく職業なので、焦らずにじっくり向き合うことが大切だと思います。

松下：脳梗塞や脳血管症は、突然発症するので、心の準備ができていないご家族へのメンタル的なケアも必要ですね。