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民生委員・児童委員とは? ~地域を支える身近な相談役~

2025.05.26

はじめに

地域で暮らす人々の悩みや課題に寄り添い、支援する「民生委員・児童委員」。その存在は知っていても、「実際にはどんな仕事をしているの?」「報酬はあるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、民生委員・児童委員の役割や任期、具体的な相談事例、活動のメリット、そして障害児支援の取り組みまでを含め、より詳しくご紹介します。

民生委員・児童委員とは?

民生委員・児童委員は、厚生労働大臣から委嘱を受けた非常勤の地方公務員です。ただし、給与や報酬は支給されず、「無報酬」で地域福祉活動に取り組んでいます。これは「奉仕の精神」に基づいた制度ですが、活動にかかる交通費や通信費などは一定額の補助があります。

民生委員はすべて「児童委員」を兼ねており、子どもに関する相談も受け付けています。高齢者の見守りから子どもの発達や福祉に関する相談まで、幅広い対象に対応しています。地域住民の誰もが気軽に相談できる「身近な福祉の相談役」として、地域福祉の要となる存在です。

任期と主な仕事

民生委員・児童委員の任期は3年で、再任も可能です。多くの方が長年にわたって地域に貢献し、継続的な支援を行っています。

主な活動内容は以下の通りです:

  • 高齢者の見守りや安否確認
  • 生活困窮者への支援や相談対応
  • 妊産婦への見守りや相談支援
  • 子育て世代への相談支援
  • 生活保護に関する相談・アドバイス
  • 地域イベントや福祉活動への参加
  • 障害のある子どもや家庭への支援

たとえば、「最近あまり姿を見かけない高齢者の様子を見に行く」「生活が苦しいという相談を受け、行政の支援制度を紹介する」など、日常生活に密着した支援が行われています。障害児支援の場面では、保育園や学校と連携しながら、家庭の不安や困りごとに寄り添い、必要に応じて専門機関へつなぐ役割も担います。

地域における役割とその重要性

民生委員・児童委員は単なる相談窓口ではなく、地域社会をつなぐハブとしての重要な役割を果たしています。行政と住民の中間に立ち、情報を的確に伝えたり、制度の「隙間」を埋めたりする役割は、制度が複雑化する現代においてますます価値が高まっています。
また、地域住民との継続的な関係を築くことで、課題の早期発見・早期対応につなげることができます。「誰かが見ていてくれる」という安心感を生み出すことで、孤立や虐待、貧困の連鎖を防ぐ効果も期待されます。
特に、妊産婦への支援、子育てや障害児支援の分野では、行政だけではカバーしきれないきめ細やかな支援が必要とされており、地域のなかで顔が見える関係性をもつ民生委員・児童委員の存在は、社会的にも非常に意義深いものです。

【相談事例】こんなときに民生委員・児童委員

  • 一人暮らしの高齢者が体調不良を訴えた際に、医療機関への受診を勧めた
  • 若年妊婦に出産手続きの説明を丁寧に行い、子育て教室参加を勧めた
  • シングルマザーが子育てと仕事の両立に悩み、保育サービスの利用方法を案内した
  • 生活に困窮している家庭からの相談に応じ、生活保護制度の申請手続きについてサポートした
  • 障害のある子どもを育てる家庭からの不安に対応し、地域の療育支援機関への橋渡しを行った
  • 近隣トラブルに悩む高齢者に、地域包括支援センターと連携して解決の糸口を探った
  • 引きこもりがちな若者の家庭からの相談に対し、学校や支援団体との連携を図った
  • DV(家庭内暴力)に悩む女性の相談を受け、専門の相談機関につないだ

民生委員・児童委員は、行政の窓口では拾いきれない「ちょっとした困りごと」にも対応し、生活に密着した支援を行うことで、地域のセーフティネットを支えています。

民生委員・児童委員になるメリット

民生委員・児童委員は無報酬ではありますが、その活動から得られるものは非常に大きいです。
  • 地域社会に直接貢献できる充実感:日々の活動を通して「ありがとう」と感謝される場面が多く、地域に貢献している実感が得られます。
  • 人脈が広がり、多様な価値観に触れられる:他の委員や地域住民、行政職員、福祉関係者などとの交流を通じて、視野が広がります。
  • 福祉や地域支援に関する知識やスキルが身につく:制度や支援機関の仕組み、相談対応力など、実践的な知識が自然と身につきます。
  • 次世代育成や地域課題の解決に主体的に関われる:子どもや若者、高齢者など多世代に関わる中で、自分の行動が地域の未来づくりにつながる実感が得られます。

特に、障害児支援など専門的な知識を求められる場面では、学びの機会も多く、自身の成長にもつながります。また、地域の中で信頼を築いていくことは、キャリアや社会貢献としても大きな価値があります。

民生委員・児童委員として活躍しよう!

少子高齢化や地域課題の複雑化が進む現代において、民生委員・児童委員の存在はますます重要になっています。生活保護や子育て支援、障害児支援といった多様なテーマに対応するためには、地域の中で丁寧なつながりを作り上げることが求められます。
これから地域福祉に貢献したいと考えている方は、ぜひその一歩を踏み出してみてください。民生委員・児童委員としての活動は、きっとあなた自身の人生にも大きな「プラス」をもたらしてくれるはずです。
以下のコンテンツは民生委員・児童委員として活躍するための学びのひとつとしてご活用いただけます。
「民生委員・児童委員研修用教材 つながりを育む民生委員・児童委員活動」
孤独・孤立対策の担い手として、だれも取り残さない地域づくりに向けた民生・児童委員活動のあり方を考えます。

「障害児スペシャリスト養成プログラム(基礎編)」
日本福祉大学が社会福祉法人名古屋キリスト教社会館と協働し、障害児を支援をする上で、根
本となる考え方や様々な知識・支援について学び、障害児支援のスペシャリストとなるためのプログラム
を提供します!

「日本福祉大学の「関わり」からひも解くシン・ファミリー学級」
子育ては決して出産してから始まるものではなく、妊娠時期、もっと極端に言えば妊娠前から始まります。そして様々な人や事象との「関わり」によって、子供は発達し、親や家族も育っていきます。このプログラムでは、日本福祉大学の様々な専門家の知恵を集約し、今までにない数年先までの子どもの成長・家族のカタチを考えることができる ”新” しいファミリー(両親)学級として学びを提供します。

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