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こども家庭ソーシャルワーカーとは? 資格の内容や取得方法等を解説【専門家監修】

2024.05.17

こども家庭ソーシャルワーカーとは?

こども家庭ソーシャルワーカーとは、「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)」(令和4年6月8日成立・令和6年4月1日施行)に基づき創設された「こども家庭福祉分野」の認定資格です。一般財団法人日本ソーシャルワークセンターが認定機関として、研修機関の認定や、試験の実施、資格者登録等を行います。

こども家庭ソーシャルワーカーが創設された背景

貧困や、社会的孤立、家庭内暴力、保護者自身の病気や障がい等、社会課題は多様化・深刻化しています。児童相談所の児童虐待相談対応件数は、毎年増加の一途を辿っており、令和2年度には20万件を超える等、こども、その保護者、家庭を取り巻く環境は厳しいものとなっています。
このような子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している状況等を踏まえ、こどもを真ん中に、こどもたちの権利を尊重し、こどもと家族を支え、すべてのこどもが将来にわたって、その人らしく、幸福な生活を送ることができる社会の実現をめざし、こども家庭ソーシャルワーカーが創設されました。

こども家庭ソーシャルワーカーの活躍場所は?

こども家庭ソーシャルワーカーは、こども家庭福祉の現場で幅広く活躍できる専門家です。児童相談所や市区町村のこども家庭センター、児童養護施設、保育園、学校等、様々な場での活躍が期待されています。児童相談所の児童福祉司や、こども家庭センターの統括支援員などになるための任用要件の1つとしても位置づけられます。

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格を取得するためには?

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格の取得ルートは以下の図の通りです。
こども家庭ソーシャルワーカー認定資格の取得ルート
研修受講を申し込む時点で、以下の第1号~第4号のいずれかの要件を満たすことが必要となります。
【第1号】社会福祉士・精神保健福祉士有資格者ルート
社会福祉士又は精神保健福祉士として、指定施設において 2 年以上主として児童の福祉に係る相談援助業務に従事した者  
【第2号】社会福祉士・精神保健福祉士有資格者ルート 
社会福祉士又は精神保健福祉士として、指定施設において2年以上児童の福祉に係る相談援助業務を含む業務に従事した者(第1号の者を除く) 
【第3号】相談援助実務経験者ルート
指定施設において4年以上主として児童の福祉に係る相談援助業務に従事した者
【第4号】保育所等保育士ルート
保育士として、保育所、幼保連携型認定こども園その他これらに準ずる施設において4年以上児童の福祉に係る相談援助業務を含む業務に従事した者 

指定施設の一例

児童相談所、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障害児通所支援事業を行う施設、障害児相談支援事業を行う施設、乳児院、児童自立生活援助事業を行っている施設、子育て短期支援事業を行っている施設、児童家庭支援センター、こども家庭総合支援拠点、子育て世代包括支援センター 等

こども家庭ソーシャルワーカー認定研修は、「指定研修」、「追加研修」、「ソーシャルワーカー研修」の3つ

研修は、「指定研修」、「追加研修」、「ソーシャルワーカー研修」の3つの種類があります。受講にあたっては、日本ソーシャルワークセンターが認定した研修を受講する必要があります。

指定研修

講義33時間、演習67.5時間の計100.5時間で構成される研修。科目は「こどもの権利擁護」や、「こども家庭福祉分野のソーシャルワーク専門職の役割」、「少年非行」等がある。第1号~第4号全ての受講者が受講しなければならない研修。

追加研修

講義9時間、演習9時間、実習6時間の計24時間で構成される研修。科目は「こどもの成長・発達と生育環境」や、「こども虐待対応」等がある。第2号の受講者が受講しなければならない研修。

ソーシャルワーク研修

講義78時間、演習78時間、実習9時間の計165時間で構成される研修。科目は「ソーシャルワークの理論と方法」や、「地域福祉と包括的支援体制」等がある。第3号及び第4号の受講者が受講しなければならない研修。第3号の受講者については、一部科目の免除が可能であり97.5時間分で終了することが可能。

こども家庭ソーシャルワーカー認定試験とは?

こども家庭ソーシャルワーカー認定試験は、日本ソーシャルワークセンターによって実施されます。2024年度の実施時期は2025年の2月から3月に予定されていますが、詳細については不明です。今後、日本ソーシャルワークセンターより出される情報を注視しておく必要があります。

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格 2024年度認定研修プログラムの情報はこちら

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格に係る認定研修について、日本福祉大学は「指定研修」「追加研修」「ソーシャルワーク研修」の3つ全てを開講予定です。研修に係る情報については以下バナー画像をクリックして、内容をご確認ください。

【アーカイブ配信】こども家庭ソーシャルワーカー認定創設記念 ~こども家庭ソーシャルワーカーに求められる専門性~

監修講師

野尻 紀恵
日本福祉大学 社会福祉学部 教授
茨木市教育委員会スクールソーシャルワーカー、同市教育委員会SSW事業SVを経て、2011年に
日本福祉大学へ赴任。専門分野はスクールソーシャルワーク、教育福祉、福祉教育。子どもの貧困
を支援するスクールソーシャルワークの介入プログラム構築とその評価、スクールソーシャルワー
カーとコミュニティソーシャルワーカーの連携などを研究している。

日本福祉大学 教員情報
日本福祉大学 社会福祉学部
河尻 恵
日本福祉大学 福祉経営学部 教授
厚生労働省(現:こども家庭庁)家庭福祉課社会的養護専門官、同課長補佐、国立きぬ川学院調査課長、国立武蔵野学院院長を経て本学へ。専門分野は、非行臨床と社会的養護。
児童自立支援施設での現場経験や子どもの出会いをもとに、子ども家庭ソーシャルワークの機能向上や現場職員の人材育成に取り組んでいる。