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あなたのまわりにもいませんか? DV・虐待・性暴力の被害に遭われた方に必要なトラウマケアとは?【専門家監修】

2023.09.14
「暴力」という言葉を聞いて、みなさんはなにを思い浮かべますか?
殴る・蹴るなど力による暴力はもちろん言葉の暴力や性暴力、経済的暴力やデジタル暴力など多様な「暴力」が存在します。
身体的な暴力のように目に見えるものもあれば、精神的暴力のように表に現れづらい暴力は周囲も気づきにくく、ひとりで抱え込んでいる人も少なくありません。
このページでは「暴力」とはどういったものなのか?また暴力を受けた人にはその後どのような支援が必要なのかについて解説していきます。

性暴力は「魂の殺人」と言われています

様々な暴力のなかでも、性暴力は「魂の殺人」と言われるほど本人に強烈な傷を負わせ、トラウマとなり生涯にわたり苦しみ続けます。
また、強姦神話により被害者が自分を責めたり、周りの何気ない言葉によるセカンドレイプの被害に遭うこともあります。

強姦神話(レイプ神話)とは

強姦の加害者や被害者、性暴力に対して持たれる偏見や間違った信念のこと。
  • 「露出度の高い服を着ているから被害に遭う」
  • 「本当に嫌なら抵抗できたはず」
  • 「被害者は女性で、加害者は男性」
  • 「男性は被害に遭わない、力があるから抵抗できる」
これらはすべて間違った認識です。歪んだイメージを払拭することが適切なケアにつながります。

トラウマとは?

過去の出来事がもたらす身体と脳の反応のこと。
性暴力の被害者のうち約54%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症します。
これは被災者の10倍以上と言われており、それほど心身に大きな影響を与えます。
PTSD症状としては、フラッシュバックやパニック障害、不眠、集中力の低下などがあり、いつも落ち着かなかったり、イライラしたりと日常生活を送ることが難しくなります。
その結果、仕事を辞めることになったり再被害のリスクも高まります。

トラウマを抱えた人のサポートには正しい知識が必要です!

被害者が健やかな生活に戻るためには周囲が協力してサポート体制を整える必要があります。
また、トラウマケアは、暴力の構造やトラウマの症状について正しく理解し、一緒にサポートしてくれる機関や専門家の存在を知ることが大切です。
地域によって社会資源も様々ですので、一度調べてみるとよいでしょう。
それが自分や大切な人を守ることにもつながります。

あなたのまわりにサポートを必要している人はいませんか?

DVや虐待・性暴力などの被害というと、自分とは違う世界のことのように感じるかもしれません。
しかし、先に述べたとおり被害に遭うのに大人・子どもは関係ありません。性別も問いません。
そういった先入観や偏見を捨てて目の前の人を見たときに、あなたが相手のSOSに気づくことができればその瞬間からケアをはじめることができます。

お仕事の例

教育機関、行政の相談窓口、児童福祉施設、病院やクリニック、救急隊の職員の方など

DV・虐待・性暴力を理解し、トラウマケアについて学んでみよう!

以下の講座では、背後にあるトラウマに気づき、対応に必要な知識(心理・医療・法律)について学ぶことができます。
「話してくれてありがとう」「あなたは悪くないよ」「あなたはひとりではないから」
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詳しくは下記ボタンのリンク先のホームページから。

監修・講座講師

長江 美代子
日本福祉大学 福祉社会開発研究所 研究フェロー
一般社団法人日本フォレンジックヒューマンケアセンター 副会長
名古屋市立大学看護短期大学部看護学科卒業(1991年)後、名古屋第二赤十字病院で1996年12月まで看護師として勤務。1997年8月からThe University of Illinois at Chicago, College of Nursingで看護学修士および博士(Ph.D)を取得した。2005年帰国後は大学で精神看護学を担当する。そのかたわら、女性と子どものヘルプラインMIEとともに、DV被害女性とその子どもの支援にかかわってきた。暴力被害者のPTSD回復に取り組むにつれて性暴力被害の深刻さを知り、2016年1月、名古屋第二赤十字病院(2023年4月現在/日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院に名称変更)との協働により「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」を立ち上げ、2023年3月までその運営にも関わってきた。現在は一般社団法人日本フォレンジックヒューマンケアセンターの副会長として支援活動を継続している。

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