平成22年3月をもって文部科学省『教育GP』採択プログラムとしての活動は終了いたしました。3年間の成果をまとめた報告サイトを作成しましたので、是非ともご覧ください。なお、サービスラーニング活動については、引き続き、社会福祉学部の独自プログラムとして実施していきます。活動状況については、社会福祉学部ホームページで掲載していきますのでよろしくお願いたします。

社会福祉学部のサービスラーニングプログラムの背景とねらい

 社会福祉学部のサービスラーニングプログラムは、社会福祉学部2年生が全員履修する「社会福祉基礎演習」クラスにおいて、学生と担当教員、NPO法人の3者が協働して実施するプログラムです。

  近年、社会福祉学部ではFD(授業改革のための組織的な取組)や教育改革の議論を重ねてきました。そこではフィールドにおける体験的な学習が、学生の学習意欲の向上やキャリア形成にとって有効であること、また導入教育から専門教育への橋渡し(教養教育や初年次教育を含む)になる「2年次教育」が重要であることが指摘されてきました。そこで本取組ではサービスラーニングという教育方法を採用し、大学教育上重要な2年次に体験学習を通して、「自己形成力」を育むことを重視した新しい教育課程とプログラム開発を試みることにしました。

 2年次の「社会福祉基礎演習」は、1年次の「総合演習」と3・4年次の「社会福祉専門演習T・U」をつなぐとても大切な演習です。「社会福祉基礎演習」では、1年次で身につけてきた幅広く物事をとらえ、読み、書き、表現するという力を、さらに深めて確実なものにしていきます。

 こうした2年生で育みたい力を「自己形成力」と表現してみました。「自己形成力」とは、学生自身が市民社会の主体者として生きていく基礎力(生きる力)であると同時に、社会福祉専門職としてキャリア形成していくための基本となる力です。
また本学は教育標語として「真実・慈悲・献身」を掲げています。これを具体的に「真実を探求する学ぶ力」・「慈悲を他者と共感できるコミュニケーション力」・「献身によって問題を解決していく力」と位置づけました。すなわち学生一人ひとりが、本学での学びを通して学習動機を高め、対人関係能力や問題解決能力をつけていくことを目標にしています。

 本学部でいう「自己形成力」とは、こうした教育標語をふまえて、「まなぶ意欲(力)」・「つながる力」・「やりとげる力」の3つを総称しています。

まなぶ意欲(力) 

→ 「学ぶ意欲」「学ぶ目的」「学ぶ内容」「学ぶ方法」を学生一人ひとりが自覚して、明確に表現できる。

つながる力(対人関係能力) 

→ 他者とのコミュニケーション(仲間同士、多世代の地域住
民、生活上の様々なニーズを持っている住民、多国籍の重
民など多様な人々)が円滑にできる。

やりとげる力(問題解決能力) 

→ 問題に気づく感性、問題を認識できる基礎学力、問題の要因を分析できる論理力、問題を解決するための企画力や実行力。

 こうした「自己形成力」を育むために、「社会福祉基礎演習」の一部のクラスでサービスラーニングという教育方法を用いた演習を実施します。

 サービスラーニングでは、「市民性を育(はぐく)む」ということが重視されます。一人の市民としての自覚を育み、市民として地域の問題解決に連帯して取り組んでいく力(Civic Engagement:シビック・エンゲージメント)を身につけていくことは、これから市民社会を形成していく際に、とても重要になってきます。そしてこのことは、先に述べてきた「自己形成力」と通底しています。

 市民性を育む、あるいは市民社会の担い手として自己形成力を高めていくこと。このことがこの教育プログラムのねらいであり、そのために「まなぶ意欲(力)」・「つながる力」・「やりとげる力」という3つの力を確実に身につけていくことが目標となります。