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舌と口の仕組みと働き

舌と口

舌や口の仕組み

(1)歯

歯には前歯=切歯せっし、糸切り歯=犬歯けんし、奥歯=臼歯きゅうしの3種類があります。食べ物は前歯で噛み切られ、糸切り歯で切り裂かれ、奥歯ですりつぶされて、消化に適した細かい状態となります。
歯は生後6か月ごろに前歯から生え始め、2歳で20本の乳歯が生えそろいます。乳歯の下には永久歯が待機しており、6歳ごろから徐々に乳歯が抜け落ちて永久歯が生えてきます。一番大きな奥歯(第一大臼歯)が最初に生え、12歳頃までに28本の永久歯が生えそろいます。20歳前後で一番奥の奥歯である親知らずが上あご下あご2本ずつの生えて全部で32本となります。
歯は虫歯や歯周病の他、折れたりしても抜けてしまいます。一番大きな第一大臼歯は虫歯になりやすく、50歳頃には25%の第一大臼歯が抜けてしまうといわれています。

(2)舌

舌の働き

舌は食べ物の味を感じるだけでなく、ことばを話す(構音こうおん)、食べ物を噛み砕く(咀嚼そしゃく)、ものを飲み込む(嚥下えんげ)にとって重要な働きをしています。

舌乳頭

舌体の表面はざらざら、でこぼこしている細かい無数の突起である舌乳頭で覆われています、白く短い毛のような突起が糸状しじょう乳頭、市場乳頭の間にぽつぽつと赤く見えるものを茸状じじょう乳頭、舌先で頬の真ん中をなめるくらい思いっきり突き出すとしたの一番奥の側面にヒダ状になっているのが葉状ようじょう乳頭で、口を思いっきり開けて舌を前に思いっきり突き出したときに一番奥にぶつぶつした数㎜の突起有郭ゆうかく乳頭と呼びます。

味蕾

茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭の表面には0.05㎜の玉ねぎの形をした味蕾が約7000個埋められていて、この味蕾で味を感じています。
子どもでは舌の上面全体に加え頬の内側の粘膜や上あごにも味蕾があり全体では1万個ありますが、大人になると上あごや舌の中央部の味蕾は減少します。歳をとるとさらに味蕾は減少し、60歳代では3000個程度となってしまいます。
ひとつの味蕾は50~150個の味蕾細胞でできています。味蕾細胞は常に更新され続けており、1個の味蕾細胞の寿命は約10日です。

(3)口腔底

口腔底は舌先を下方に伸ばすと触れる部分で、骨はなく、筋肉もまばらに存在するのみで、隙間が多く密度の小さな柔らかい構造をしています。

(4)唾液腺

唾は耳の下にある耳下腺、あごの下にある顎下腺、舌の下にある舌下腺の3つの大きな塊である大唾液腺の他に、口唇の内側の粘膜下に米粒大の症唾液腺がいくつも散らばっています。
耳下腺は下顎後方に張り出したエラの部分の周囲にあります。顎下腺は下顎の前端とエラの中間のあたりに触れます。舌下腺は舌を下外側にのばして触れると舌の付け根周辺にあります。舌先を口唇の内側に強く押し付けるとでこぼこした小さなぼつぼつがあるのが分かりますが、それが小唾液腺です。

舌、口腔の働きは次のようなものがあります。

①味を感知する

味覚には甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5種類があるとされてきましたが、最近では脂肪を感じる味覚=油味もあることが分かってきました。以前には舌の上に「味覚地図」があり、甘味は舌先で、苦味は奥で、塩味と苦味は舌の外側で感じるといわれていましたが、最近ではひとつひとつの味蕾がすべての種類の味覚を感じていることが明らかにされています。

②食物を噛み砕く

あごを動かし食物を噛み砕くことは、健康のために重要です。よく噛むことで食物は細かくなり、唾もたくさん分泌されるため消化がよくなります。咀嚼は脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑制することで、糖尿病の発症リスクを顕現します。噛むことで歯が丈夫になり、虫歯や歯槽周囲炎が起こりにくくなります。

③唾液を作り、口の中を潤す

唾液の99.5%は水分で、それ以外にミネラル、消化酵素、免疫物質、ムチンなどが含まれます。ミネラルはナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなどが、消化酵素ではアミラーゼ、リパーゼなど、免疫物質ではIgA、IgG、IgM、リゾチーム、ラクトフェリン、ペルオキシダーゼなどがあります。ムチンは糖とタンパクが結合した多糖体と呼ばれる物質で、納豆やオクラの粘り気の成分です。
唾液には消化作用、抗菌作用、粘膜保護作用、歯の再石灰化作用、粘膜修復作用などがあります。

④ことばを生み出す働き

声帯で生み出された声は、強さと高さが違う「音」であり、ことばとしての意味はまだありません。
舌や口で声に響きを付けて、はじめて声は意味をもった言葉に変換されます。声を同じように出しながら口のや唇の形を様々に変えると「あ」「い」「う」「え」「お」に変化します。さらに息を上あごにぶつけるようにはきながら「あいうえお」というと「かきくけこ」になります。さらに閉じた唇を急に開けながら「あいうえお」をいうと「まみむめも」と聞こえます。
このようにことばで自分の考えを伝えるために舌や口は大きな役割を果たしています。

のど

のどは咽頭と喉頭の2つの部分に分けられます。

①咽頭 鼻腔の後端から食道の上端までをさします。

口を開けるとのどの突き当りに見える部分が咽頭になります。上方は口蓋弓というのどのひだで隠されていて、下方は舌の付け根の下奥に続いていて口の中からは見えません。口を開けて見える部分を中咽頭、その上方を上咽頭、下方を下咽頭と呼びます。
上咽頭の両サイドには鼓膜の奥にある空洞である鼓室から前下方にのびる耳管が開いており、鼓室と上咽頭の間で空気の入れ替えをしています。また子どもでは上咽頭の真ん中の上方に扁桃組織のひとつであるアデノイド(咽頭扁桃)があります。
中咽頭は口を大きく開けることでほぼ全体を観察することができます。上方と両側方は粘膜の柔らかいヒダでできており、上方のヒダを軟口蓋、両側方のひだを口蓋弓と呼びます。口蓋弓は前と後ろの2枚に分かれ、その間に挟まれるようにして口蓋扁桃があります。扁桃とはクルミのことで、表面がでこぼこした球形の形が似ています。軟口蓋の真ん中にはつららのように釣り下がった口蓋垂(いわゆるのどちんこ)があります。のどの突き当りの壁の両側(後口蓋弓の内側)に上下に連なるわずかな堤防上の隆起があり、咽頭側索と呼ばれます。突き当りの壁の真ん中に小さなぽつぽつした粒々がいくつもついていますがリンパ濾胞という正常組織で、あっても全く心配ありません。
中咽頭の下には下咽頭が広がっています。下咽頭の両側は下向きの円錐状に広がる梨状陥凹と呼ばれるくぼみがあります。西洋梨の丸い方を水平に切り落としとがった方の果実を全部くりぬいて、残った皮だけが下咽頭の両側にぶら下がっているイメージです。下咽頭の中央は中咽頭と上下につながる空間になっていて、その前方は喉頭がでんと構えています。

①喉頭 咽頭の前側にあり、喉頭蓋から気管の上端までを指します。

下咽頭の前で控え席に座る力士のように存在する臓器が喉頭です。喉頭は一番上にしゃもじの丸くなった部分のような形をした喉頭蓋がついています。しゃもじの両脇下から後方下にのびる高い襟状のヒダ(披裂喉頭蓋ひだ)がついていて、その両側に下咽頭の梨状陥凹が左右対称的にひとつずつぶら下がっています。
喉頭蓋と披裂喉頭蓋ひだを喉頭の後ろからみると、ちょうどウツボカズラの上部と似ています。そのウツボカズラの穴(喉頭蓋と両側の喉頭蓋披裂ひだ)で囲まれた空間のすぐ奥に声帯があります。声帯は上から見ると後ろに広がったV字型をした白い2枚の粘膜ひだです。後方では左右1つずつフタコブラクダの背中のような形をした出っ張りがあり、その外側は披裂喉頭蓋ひだにつながっています。
両側の披裂部は真ん中でつながっていて、両側の披裂部の前に声帯の白いひだがくっついています。息をはくとき左右の披裂部は外側に動いて声帯を左右に広げます。その時声帯の間に空間が生じて、その間を息が通り抜けます。声を出すときには披裂部が真ん中によってきて2本の声帯が接触し、声帯の間の隙間が閉じます。その時に左右の声帯の間に息を吹き込むと空気が声帯の間をすり抜けて、その際に両側の声帯が細かく振動して音が生まれます。これが「声」なのです。
披裂部は声帯を前後方向にも引っ張ります。声を出しているときに披裂声帯が前後にのばされ薄くと、声が高くなります。逆に声帯を緩めると低い声が出ます。この動きによって美しい歌声が生まれます。声帯の下は三角フラスコのような下に開いた空洞になっていて、その下端で肺から息を送り出すホースの役目をしている気管に接続してます。

咽頭の働きには次の5つのものが挙げられます。

①息の通り道としての働き

鼻で吸い込まれた空気は中咽頭から喉頭に流れて、気管に送られます。舌や扁桃の肥大したり、幼児期におけるあごの発悪かったためにのどの空洞が狭い場合には睡眠時無呼吸が起こりやすくなります。

②ものをのみ込む働き

口から下の奥を経て、食べ物が下咽頭に送られます。下咽頭の下端は食道とつながっていますが、その部分は普段は周囲の筋肉の作用でしっかりと閉じていてます。食物が下咽頭まで落ちてくると、脳から指令が送られほんの一瞬だけ筋肉の力がゆるみ、下咽頭と食道の結合部分が開放されます。この絶妙なタイミングがずれると、食物や水分が気管に誤って流れ落ちてひどくむせ込むようになります。

③声をことばに変える働き

声帯で生まれた声はまだ「音」に過ぎません。それがのどや鼻で響き合って初めて意味のある言葉に生まれ変わります。軟口蓋を筋肉が上の方に引っ張り上げながら「あいうえお」というと、「がぎぐげご」になります。また軟口蓋と下の奥をくっついけると「あいうえお」から「なにぬねの」が紡ぎだされます。このように舌や咽頭が共同して、声をことばに変換し意思疎通が可能となります。

④嘔吐の引き金としての働き

歯磨きの時に「オェッ」となってしまうことはありませんか。舌の奥やのどを刺激すると嘔吐を引き起こす反射が起こります。これは害のある食べ物や異物を体の中に入れないように防護する働きによるものです。しかしのどが敏感すぎると普段のちょっとしたことで吐きそうになってしまうのは困ります。

⑤免疫防御の働き

血液やリンパ液の中を流れるリンパ球という細胞は、ウイルスや細菌などの病原体から免疫の仕組みを通じて体を守てくれています。扁桃やアデノイドはリンパ球が集まってできている臓器で、口や鼻から侵入する病原体を見張って捕らえる関所の役割をしています。

喉頭には次のような働きがあります。

①声を生み出す働き

左右の声帯が真ん中に寄って左右の声帯の隙間が閉じたときに、胸から空気を送り出すと閉じた声帯の間を空気が少しずつすり抜けて、その空気によって声帯が細かく振動すると「声」がでます。
声帯の振動はとても細かく成人の男性では1秒間に200回、女性では400回にもなります。声帯は体の他の部分に比べとても柔らかくできていて、細かい振動がしやすいような構造をしています。
声を出すときに空気をそっと送ると小さな声が、勢いよく空気をはこうとすると大きな声になります。声帯を前後に引っ張ったり緩めたりすることで声の高さも調節されます。

②呼吸の通り道としての働き

鼻から吸い込まれた空気は咽頭から喉頭に達し、開いた左右の声帯の間をすり抜け声門下から気管に送り込まれます。声帯は息の通り道のなかでも最も狭くなっている部分で、声帯やその周囲がはれると息が吸いづらくなります。

③ものの飲むみ込むを補助する働き

のどの前に指をあててつばを飲み込むと、一瞬のどが上の方にぴくっと動くのが分かります。食べ物が舌の奥から下咽頭に流れ落ちてくる瞬間に喉頭は筋肉の力で上に引っ張り上げられます。すると喉頭の一番上についているしゃもじの丸い部分の形をした喉頭蓋が舌の奥におしつけられて後ろに倒れ、声帯の上にふたをします。この動きによって食べ物が気管に誤って入り込むことが防止され、下咽頭から食道への食べ物の送り込みがスムーズに行われています。
また飲み込む瞬間には声を出す時ど同じように左右の声帯は真ん中によって、声帯の間の隙間をピタッと閉じます。これによっても食事の時にむせることが防止されています。

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