愛知県には、1997年12月の調査では、約2万羽(19552羽)数えられた。現在、美浜には<鵜の山>ほか、坊之奥、菅苅、菅田の4コロニーがあい接して位置し(図2)、個体数は計約1万羽(9526羽)だった。
一時、トキと同様に絶滅が憂慮されたカワウが、危機を脱した原動力として、主役を演じたのは、まさに知多のカワウであろう。しかしながら個体数の増加は、一方において、木を枯らし景観を損じ、あるいは養殖魚や放流魚を襲う害鳥として、カワウは俄に苦情や非難の対象となった。
全国的にカワウが激減し、各地のコロニーが消滅した状況に耐え、なぜ知多では<鵜の山>が復活したのか。そこには、ウ糞の「肥料タル哉毎年請負者ニテ売却シ該金ヲ以テ本村小学校資金ニ充テ」(銃猟禁制区拝借願、明治21年)た、ヒトとカワウ社会が共栄した<鵜の山>百数十年の歴史があった。カワウは今もなお、懐かしき友なのである。
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