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トピックス

「ごんぎつねを誘う企業緑地」
生態系ネットワーク・フォーラムを開催しました

2012年1月27日

 日本福祉大学知多半島総合研究所は2012年1月17日、昨年1月に発足した知多半島生態系ネットワーク協議会との共催で、生態系ネットワーク・フォーラム「ごんぎつねを誘う企業緑地」を本学半田キャンパス101教室で開催し、自然活動に関心のある市民、同協議会の会員ら125人が参加しました。
 今回のフォーラムは、報告と討議の2部構成であり、第1部では「生態系ネットワーク形成の取組報告」と「キツネの生息調査中間報告」を、第2部では「生物多様性向上に貢献する企業緑地」と題してパネルディスカッションが行われました。

生態系ネットワーク形成の取組報告

 財団法人日本生態系協会研究第一部長の岩木晃三さんより、知多半島における生態系ネットワークのポテンシャルマップ(生息適地図)が紹介されました。生物が生息可能な環境として、知多半島には10カ所の大拠点が分布しており、生物が行き来できる拠点間のネットワーク化が課題であると報告しました。

財団法人日本生態系協会 岩木晃三さん

株式会社インターリスク総研 原口真さん

 株式会社インターリスク総研の原口真さんは、NPO法人日本エコロジスト支援協会が中心となり、生態系ネットワーク形成に貢献する企業緑地を学生がデザインしていく取り組みを紹介。学習会、企業緑地での野鳥観察、エコアップ緑地整備体験、生態系マップ・フリーペーパー制作などの活動を行い、大学生の意欲とポテンシャルの高さを再認識した取り組みであることが報告されました。

キツネの生息調査中間報告

 2013年に生誕100周年を迎える、愛知県半田市出身の児童文学者・新美南吉(にいみなんきち、1913-1943)の童話『ごんぎつね』の舞台と伝えられている権現山(ごんげんやま・同県阿久比町)で、本学健康科学部の福田秀志教授の研究室が、2011年9月に野生のキツネの姿を撮影することに成功したことが報告されました。
 福田研究室の山田裕樹さん(健康科学部福祉工学科4年)は、企業緑地から「ごんげん山」に至る6カ所で、カメラトラップによるキツネの生息調査を実施した結果を報告。今回撮影されたキツネは一時滞在の可能性が高いこと、知多市岡田地区と「ごんげん山」の2カ所だけでキツネが撮影されたことから、繁殖地である知多半島南部から移動してきた可能性が高いことが紹介されました。また、福田研究室の坂井研太さん(健康科学部福祉工学科4年)からは、知多半島北西部の企業緑地から「ごんげん山」までキツネが安全に移動するためには、大きな道路によって移動ルートが分断されている地点にコリドー(緑の回廊)を設ける必要があり、地形等を勘案するとブリッジ(橋)の設置が好ましいのではないかとの提案がありました。

日本福祉大学 福田教授

福田研究室の山田裕樹さん(左)、坂井研太さん(右)

パネルディスカッション 「生物多様性向上に貢献する企業緑地」

 第2部のコメンテータ-を務めた名古屋市立大学経済学部の香坂玲准教授(元・国連環境計画生物多様性条約事務局職員、生物多様性条約COP10支援実行委員会アドバイザー)が、「企業における生物多様性の意義」と題して登壇。香坂准教授は、生物多様性保全のために掲げられた愛知目標の概要、企業による製造品・材料の環境配慮、企業緑化などの様々な取り組みを紹介し、環境への負荷を把握・配慮し、その情報を発信するサイクルを継続的に実施していくことの重要性を述べました。
 続いて、事例紹介として、出光興産株式会社愛知製油所(愛知県知多市)の橋本良樹さん、知多自然観察会の降幡光宏さん、中部大学応用生物学部の南基泰教授が、それぞれの取り組みを報告した後、ゲストパネラーの株式会社IHI CSR推進部の沼口武さんを加えて、パネルディスカッションが始まりました。

出光興産株式会社 橋本良樹さん

中部大学 南教授

 総合討論の司会は、本学健康科学部の福田教授です。この日のテーマであった「生物多様性向上に貢献する企業緑地」について、パネラー、会場の参加者との議論が交わされました。
 課題のひとつとして、生物多様性に配慮した緑地整備といっても、その目標(到達点)がわかりにくいことが挙げられます。ごみ問題や二酸化炭素削減とは異なり、どのような緑地整備を行うことが生物多様性に配慮するのかは、その地域に生息する生き物や自然環境によって大きく左右されるためです。株式会社IHIや出光興産株式会社では、鬱蒼とした樹林を間引き、光や風の通り道を設けて、多くの生き物が集まる場所の整備を行ってきました。また、生育旺盛な外来種の樹木を地域の固有種に切り替えるなどの取り組みを進めています。そして、地域住民が生き物観察など自然とふれあう取り組みを通じて、企業緑地には環境負荷の緩衝機能以外にも地域貢献に資する新たな価値があることに気づきはじめたと述べました。

パネルディスカッションの様子

権現山で撮影されたキツネ

 生物多様性への配慮という意味では、遺伝学的な視点に配慮することも必要です。中部大学の南教授は、様々な樹木や生き物を定着させるだけではなく、それがどこからやってきたのかを遺伝学的にも留意しなければならないことの重要性を指摘しました。
 総合討論のまとめとして、名古屋市立大学の香坂准教授は、2020年に愛知目標の達成状況が評価されることから、大学・市民活動団体(NPO団体)・企業・自治体が協働する知多半島の取り組みの成果に期待が寄せられていることを述べました。また、特に2次産業を中心とする企業は、その製造品に対してリサイクルへの配慮等がみえにくいこともあり、地域住民に整備された企業緑地を活用してもらうことは、企業の目に見えるCSR活動のひとつとして非常に意義は高く、企業内のモチベーション向上につなげてほしいとの期待が寄せられました。

 知多半島総合研究所では、今後も知多半島における生態系ネットワーク形成のあり方、生きものが行き来する場所としての企業緑地の役割などを考えていきます。

知多半島生態系ネットワーク協議会

※2012年年1月10日現在で、36団体が参加。大学:日本福祉大学など3大学、企業:出光興産愛知製油所など15社、NPO団体:知多自然観察会など7団体、行政:愛知県と知多半島5市5町

関連新聞記事

関連リンク

新美南吉記念館 http://www.nankichi.gr.jp/
日本福祉大学知多半島総合研究所 http://handy.n-fukushi.ac.jp/chitaken/top.html
日本福祉大学健康科学部 http://www.n-fukushi.ac.jp/gakubu/kenko/