防災パンフレット

付録 地震の予備知識

@大学近隣の活断層

大学近隣の活断層地図

今、何故、東海地震が心配されるのか

 日本列島の太平洋岸では、プレートの沈み込みによる地震が、かなり正確な周期で繰り返し起こっている。フィリピン海プレートが沈み込む地域では、100 年〜150 年の周期で、ほぼ同じ場所で、ほぼ同じ規模の地震が繰り返し起こっている。
 東海地震、東南海地震、南海地震は、ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込む、いわばプレートの境で起きる3 つ子のような地震である。 1854 年の安政東海地震の後、東海地方より西側では 1944 年( 昭和19 年)の東南海地震や 1946 年( 昭和 21 年)の南海地震が発生し、この時点で地震のエネルギーは放出されたものと考えられている。しかし、駿河湾から御前崎沖では、 1854年の安政東海地震以来大きな地震はなく、地震のエネルギーは蓄積されたままになっていると考えられており、地震活動の空白域と呼ばれ、近い将来、巨大地震の発生が予想されているのである。仮に東海地震が発生しないで、このまま推移した場合、東南海、南海地震との連鎖的な発生が危惧されているのも、この地震エネルギーの蓄積に基づいている。東南海・南海地震特別措置法が平成 14 7 月に成立し、大きな被害が予想される市町村を重点的に防災対策を進める「推進地域」に指定し、避難計画等の作成を義務付けている。東南海地震については、 30 年以内に起きる可能性は、約50 % と考えられている。

A大規模地震対策特別措置法の仕組み

大規模地震対策特別措置法

 第1 条 この法律は、大規模な地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

強化地域

 国は、大規模地震対策特別措置法に基づき、東海地震で著しく被害を受ける恐れがあり、地震防災対策を強化する必要がある地域を地震防災対策強化地域として指定している。
 従来は、神奈川、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知( 新城市のみ)の6 県1 6 7 市町村が指定されていたが、新たに研究観測データをふまえ、2001 年に従来より西側に、また面積も若干広くなった震源域が想定し直された。この結果、強化地域は名古屋市を含む8 県2 63 市町村に拡大され、名古屋市内の一部では震度6 弱が想定されることになった。なお、強化地域として指定された市町村(美浜町)には、震度6 弱以上が想定される地域の他に、30 m 以上の津波が30 分以内に到達すると予想される地域及び軟弱地盤で液状化が心配される地域が含まれている。

B警戒宣言の発令

 東海地震の観測データの異常が、一定のレベルを超えた場合、地震防災対策強化地域判定会が招集され、地震発生の前兆に結びつくかどうか急いで判定される。その結果、「地震発生の可能性が高い」場合は、気象庁長官が内閣総理大臣に報告し、内閣総理大臣は、これに基づき閣議を開き、「警戒宣言」を発令することになる。
 
警戒宣言の内容は次の通りである。

. 地震予知情報を受け緊急の必要があると認めたので、警戒宣言を発令すること。
. 国、県、市町村、公共機関、特定の事業所は、応急対策を取るべきこと。
. 住民及びその他の事業所も警戒態勢を取るべきこと。なお、その後の観測データの変化に応じ、地震発生の恐れがないと判明したときは、警戒宣言は解除される。

2003年7月28日中央防災会議は防災基本計画を見直し、地震の予兆を捉えた場合、発生の切迫性に応じて「観測情報」「注意情報」「予知情報」という3段階の地震情報を公表することを決め、2004年1月から実施する。警戒宣言までの流れは下図のようになる。

警戒宣言までの流れ図

平成15年5月に決定された「東海地震対策大綱」に基づき、中央防災会議は地震防災基本計画を見直した。
東海地方に設置された地殻の伸び縮みを検出する「ひずみ計」19ヶ所のうち、一ヶ所で東海地震の予兆の可能性のある異常を観測した場合「観測情報」を、二ヶ所に増えた段階で「注意情報」、三ヶ所以上になった時点で「判定会」を開催し、判定会で「発生の可能性がある」と判定した段階で「予知情報」を発信し、首相が警戒宣言を発令する。
 「観測情報」では、自治体などの防災機関は情報収集や連絡体制を強化する。「注意情報」で学校の児童の帰宅や旅行自粛の呼びかけ、救急や消防、医療関係者らの派遣準備や物資の点検などを始める。
これまでは、地震発生の可能性が高くなった段階で、防災機関の職員を緊急に呼び出すなどする「判定会招集連絡報」があったが、交通規制などを行う「警戒宣言〉発令するまでは、住民の避難などの防災活動を始める仕組みになっていなかった。気象庁によると、技術的に「注意報」は最も早い場合で地震発生の半日前に出せるが、発生直前の場合もある。情報を出せるのは地震発生直前にプレート境界のすべり現象が観測網で捉えられた場合に限るので、突発的に地震が発生することも考えられる。

資料防災システム研究所 http://www.bo-sai.co.jp/toukaijisin.htm 

〈 警戒宣言の伝達 〉
警戒宣言が発令されると、広報車両による広報、テレビ、ラジオの放送などを通して、その内容が伝達される。

C警戒宣言発令時に必要な一般的対策

 警戒宣言が発令された場合には、被害を軽くするための対策を取る必要があるが、そのためには予め計画を立てておく必要がある。対策の内容としては、一般的に次のようなことが挙げられる。

1 ) 地震予知情報等を収集し、職場内に伝達すること。

2 ) 地震発生前の応急対策に必要な人員、資器材を確保すること。

3 ) 設備類、ロッカー、窓ガラス等の転倒、破損防止のための応急措置をとること。

4 ) 工事中の箇所は、工事を一次中断すること。

5 ) 火気の使用制限及び火気使用設備の点検をすること。 

6 ) 危険物の貯蔵、取扱を行う施設では、作業を停止し、転倒、落下を防止する応急措置をとること。

7 ) 消防用設備等を点検し、作動するか確かめること。

8 ) 自衛消防組織は、出動態勢をとること。

9 ) 隣接する事業所等と協力体制をとること。

10) 営業を自主規制するか否か決めておくこと。

11) 非常持ち出し品( 重要書類、有価証券など) を区分し、いつでも持ち出せるようにしておくこと。

12) 不特定多数の人が出入りする施設では、安全に退避させる方法を考えておくこと。

D警戒宣言発令時に予想される混乱

 警戒宣言が発令されると、不安感が増長されてパニック状態となり、次のような混乱の発生が予想される。これを防止するためには、平素の防災教育の徹底、正しい情報の収集・伝達と誘導が必要である。

1 ) デマの氾濫による情報パニック

2 ) 帰宅ラッシュに伴う駅周辺及び公共交通機関の混乱

3 ) 道路各所に於ける交通麻痺及び事故の発生

4 ) 自宅等への電話連絡ラッシュに伴う電話回線のパンク

5 ) 預貯金の引き出しに伴う銀行等での混乱

6 ) 食料・日用品の買いだめラッシュ

E警戒宣言発令時の主な施設の対応

 阪神・淡路大震災の教訓から、大規模災害時の医療体制の確立が検討され、災害時における初期救急医療体制の充実強化という見地から、平成1 4 年4月1 日現在、4 7 都道府県で、5 3 1 病院が災害拠点病院として指定されている。愛知県では、1 4 病院が災害拠点病院として指定されており、平成1 4 年度中には、新たに2病院が追加指定される予定である。この他に、災害時に利用できる病院として、救命救急センター指定病院がある。大規模災害時には、多数の負傷者がこれらの病院に搬送されることが考えられ、限られた医療スタッフで出来る限り多くの人命を救うために、これらの病院ではトリアージ(選別)が行われる。すなわち、病院へ搬送された段階で、治療の緊急度に応じて4 段階に分別され、色分けされたタッグ( トリアージ・タッグ)が添付される。従って、地震災害の特徴として、外傷は大したことがなくても、物の下敷きになっていた場合など体内で致命的に損傷を受けている場合があるので、救助した状況を的確に説明できる体制を取っておく必要がある。
 また、これらの災害拠点病院では、ヘリコプターによる重傷者の強化地域外への搬送等も検討されている。

本学近隣災害拠点病院

病院名 住所 電話
半田市立半田病院 半田市東洋町2−29 0569−22−9981
藤田保健衛生大学病院 豊明市沓掛町田楽ヶ窪1−98 0562−93−2000

F電話の利用・ナウキャスト地震情報について

災害時の電話の利用について

 警戒宣言が発令されると、通話が多くなって電話回線がパンクしないようにNTT が回線を規制するため、電話がかかりにくくなる。必要のない電話は、極力控える必要がある。
 緊急の用件がある場合には、緑色やグレーの公衆電話は比較的かかりやすくなっている。これらの電話は、停電するとテレホンカードが使えない。1 0円玉や100 円硬貨を用意しておくとよい。伝言ダイヤルを利用すると、災害時でも伝言を残せる。伝言ダイヤル番号1 7 1 をダイヤルし、利用ガイダンスに従って伝言の録音(1 を押す) ・再生( 2 を押す) をする。

ナウキャスト地震情報

 気象庁は、地震の強い揺れが到達する前に、地震の規模を割り出して速報する「ナウキャスト地震情報」の開発を進めている。ナウキャスト地震情報は、小さな縦揺れの初期微動(P 波)と、大きな被害をもたらす横揺れ( S 波)の到達時間の時間差を利用して地震の規模や位置を計算し、速報するシステムである。駿河湾沖の海底地震計を含め、全国にある18 0 の地震計のうち、1 つの地震計がP 波を観測した時点で作動する。平成1 5 年1 0 月から、実用化に向けた実験が開始される。このシステムが実用化されると、仮に東海地震が駿河湾沖を震源地として発生した場合、名古屋では地面が大きく揺れ出す20 〜 3 0 秒前に、岐阜や津では3 0 秒前に、揺れの程度が把握できることになる。また、紀伊半島南端を震源地として東南海地震が発生した場合、4 0 〜 50 秒前、南海地震が四国沖を震源地として発生した場合、1 0 0 秒前に、名古屋で揺れの程度が把握できると試算されている。このシステムが軌道に乗れば、大きな揺れが到達するまでの時間差を利用して火の始末をしたり、安全な場所へ避難することが出来るほか、津波による被害が想定される地域では、いち早く高台などに避難することが出来るると期待されている。  

津波予報・津波情報

津波予報

 津波の発生のおそれがある場合に、地震が発生してから約3分を目標に津波警報(大津波、津波)または津波注意報(津波注意)を発表
 津波の到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報各津波予報区の津波の到達予想時刻や予想される津波の高さをメートル単位で発表各地の満潮時刻・津波の到達予想時刻に関する情報主な地点の満潮時刻・津波の到達予想時刻を発表、津波観測に関する情報実際にに津波を観測した場合に、その時刻や高さを発表 

大津波

高いところで3m以上の津波が予想されますので、厳重に警戒してください。
3m、4m、6m、8m、10m以上津波警報 

津 波

高いところで2m程度の津波が予想されますので、警戒してください。
1m、2m津波警報 

津波注意

高いところで0.5m程度の津波が予想されますので、注意してください。
0.  
5m津波注意報


参考資料

1.愛知県HP・防災局防災課HP

2.内閣府防災担当HP

3.防災システム研究所HP

. 名古屋大学「地震防災計画」

5.名古屋地方気象台HP 

 
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