子どもを支えることの難しさも喜びも
多くの人と分かち合いながら
進んでいきたい

仲間と励まし合って挑んだ公務員試験

 大学時代に所属していた軟式野球部の先輩が「法務教官」を目指していたことで、初めて少年院や少年鑑別所で子どもと関わる職業があると知りました。10代で罪を犯してしまっても、その後の人生のほうがずっと長い。自分も彼らの未来を一緒に考える仕事がしたいと思ったことが、公務員を志したきっかけです。
 試験勉強は辛かったですね。図書館にこもって勉強するうちに、同じ公務員を目指す友達ができ、励ましあったことで最後まであきらめずやり抜くことができました。その結果、法務教官と長野県職員(福祉職)の両方に合格。悩みましたが、全国転勤のある法務教官でなく、地元に根ざして働ける長野県職員を選びました。長野県に貢献したいという気持ちも後押ししました。公務員試験に合格してから臨んだ社会福祉士国家試験にも合格しました。

地域の人に支えられたひとり暮らし

 ひとり暮らしを通じて、親やお金のありがたみを感じられたことが良かったです。慣れないうちは不安もありましたが、大家さんがとても良くしてくれました。美浜町は「学生の町」という印象。地域の人が学生を温かく迎えてくれる雰囲気がうれしかったですね。友達も近くに住んでいるので、風邪を引いたら食べ物を持ってきてくれたりと、学生同士でもお互いに助け合いました。
 アルバイトもたくさんしましたね。厳しく接してくれた社員さんに「お客様から見ればアルバイトも社員も同じ一人の店員だ」と、働く上での心構えを教えてもらったことには感謝しています。夏休みには、三河湾に浮かぶ篠島の旅館に泊まり込みで働いたことも。働きながら島の自然も満喫できて、楽しかったです。

公務員は、たくさんの人と関わる仕事

 公務員はデスクワークのイメージがあると思いますが、長野県職員になって最初の職場は知的障害児の入所施設。子どもたちの生活支援を担当しました。次は「長野県立総合リハビリテーションセンター」で、主に身体障害者の方の生活相談を担当。例えば事故で車いすの生活になった方は、職場復帰はどうするか、入浴の介助は、住宅改修のお金は…と多くの悩みを抱えます。それに対して職場の人と話し合う機会を設けたり、使える国や県などの社会制度やサービスを提案し、ご本人が望む生活を実現するお手伝いをします。その次の職場が現在の児童相談所です。
 公務員の仕事は幅広く、関わる人も様々。でも「目の前の、相談に来られた方を尊重する」という姿勢はどの職場でも同じ。人と接する際の基本的な心構えは、大学時代の授業でも多く学ばせてもらったと思います。

一人ではなく、チームの力で子どもを支える

 児童相談所では、様々な背景を持った子どもたちと出会います。子ども自身や、親に障害がある子、経済的に不安定な家庭で育った子…。親御さんと粘り強く話し合いを重ねていきますが、問題は複雑で決して簡単に解決するものではありません。
 大切なのは自分一人で抱え込まず、上司や同僚に相談すること。そして市町村や学校、医療機関など職場の外の人たちとも協力して、子どもと家族を支えていくことだと思います。
 大学の同級生が福祉関係の仕事をしていることも心強いですね。仕事上の悩みを相談することもありますし、県外に住んでいる仲間とも年に一回くらい集まっています。そのたびに自分も頑張ろうという気持ちをもらいます。実は妻も大学の同級生で、病院のソーシャルワーカーとして働いているんですよ。

学生時代から積極的に現場へ

 日本福祉大学には、アルバイトやボランティアで福祉施設などの現場で活動している学生がたくさんいますよね。授業で教わったこと、本を読んで知ったことが実際はどうなのか、現場に行かないと分からないことがたくさんあります。私自身は実習で高齢者の方と接することで「人の話を聞く」ことの大切さと難しさ、そして楽しさを実感することができました。早くから福祉の現場を知ることは、本当に大切で貴重な経験。どんな学生さんにもおすすめしたいです。
 大学の外で活動することには不安もあると思いますが、その分行動力もつきますし、自分のやりたいことも見えてきます。失敗を恐れずにチャレンジしてほしいですね。