福祉に関わる公務員には幅広い知識が必要
大学で多くの分野を学んだことが
役立っています

高校の先生の勧めで日本福祉大学へ

 小中学生の頃に、児童会や生徒会の活動で高齢者や障害者の施設を訪れたことが、福祉の仕事を身近に感じた原点。高校1年生の時の進路相談で日本福祉大学を知り、3年生の時の担任の先生の勧めもあり入学しました。
 高校を卒業するまでずっと長野県で育ちましたので、県外で暮らすことはもちろん、一人暮らしも初めて。日本福祉大学には「指定アパート」があり、近所に住む大家さんは生活をサポートしてくれます。私が住んだアパートの大家さんはみかん農家の方で、優しくしていただいたことを懐かしく思い出します。

学生の自主性を尊重してくれる大学でした

 中学時代からずっと陸上に熱中していたので、大学でも陸上部に入りました。当時は全体で100名ほどの部員を抱える大所帯で、3年生の時は主将も経験しました。強豪と言われる他大学の陸上部には、大学のサークルであってもきちんとした規約があると聞き、それを見習い、自分たちで部の規約を作ったこともあります。競技だけでなく、部のマネジメント的なことからも学ぶことが多かったですね。
 また、社会福祉学部ではゼミを選択する時に、上級生がゼミを紹介する企画があったことも印象に残っています。一方的に授業を聞くだけでなく、学びたいという学生の自主性を尊重してくれる大学だったと思います。

行政の立場で福祉に関わる重要性を感じて

 大学2年の時に読んだ「『福祉』が人を殺すとき」という本に大きなショックを受けました。生活保護という法律や、生活の相談ができる福祉事務所があっても、そこで働く職員が適切な対応をしなければ、人の命を守れないという事実は衝撃的でした。同時に、行政という立場からも福祉に関われると知り、公務員を目指すきっかけになりました。
 卒業論文でも生活保護制度をテーマにしました。生活保護を担当する職員には、制度や法律の知識だけではなく、困っている人の思いを尊重する「相談援助の技術」が無ければいけないと結論づけたことを覚えています。
 自らが職員となって感じることは、市民の方一人ひとりに合わせた対応をしたいという思いと、行政に求められる平等性・公平性との間のジレンマです。難しい悩みですが、相談があった時に、自分の課のサービスの中だけで考えるのではなく、他の課の職員と相談しサービスをうまく組み合わせることで、市民の方の暮らしの幸せを実現する仕事をしていきたいですね。

専門家からの相談にも応えるのが公務員の仕事

 市民の方の生活の相談を受けたり、高齢者の虐待があった時の緊急対応マニュアルを作ったり。私が梓川村役場に勤務していた頃の話になりますが、「スペシャルオリンピックス」という知的障害者のスポーツ大会が長野で開催されたときには、地域の皆さんと一緒にポーランドからの選手団をお迎えしたこともありました。
 市民の方だけでなく、福祉施設の職員さんからも法律や制度について相談されることがあります。例えば、障害者施設の職員さんは障害関係の法律には詳しくても、介護保険や生活保護に関する制度などについては万能でないこともあるのです。
 公務員には定期的な異動もあり、色々な領域に精通しなければなりません。大学で、高齢者・障害者・児童・地域・生活保護…と、様々な分野を総合的に学べたことが、今の自分の力になっています。

ますます求められている福祉の学び

 松本市役所には現在9名の日福卒業生が勤務しており、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ職員は20名以上います。また、ここ数年は社会福祉の試験区分で毎年1~3名の新入職員を採用しています。福祉を学んだ職員の必要性が高まっているということの表れでしょうね。
 今年の4月から、同じ障害福祉課に日本福祉大学を卒業したばかりの吉田将太さんが職員として加わってくれました。仕事を始めてまだ数ヶ月ですが、積極的で物怖じせず、何でも学んでいこうという姿勢に頼もしさを感じます。
 市役所の中だけでなく、市内・県内で福祉関係の仕事をしている『日福卒業生』が多く、同窓生のつながりが仕事でも役立っています。

障害福祉課で働く本学卒業生の吉田将太さん(左)と