福祉、医療、地域、そして患者さんの家族
たくさんの人と一緒に、子どもの笑顔を守る仕事です

人それぞれの成長の尊さを知った大学時代

 印象に残っている講義は、ゼミで「障害者の発達保障」を学んだことです。知的障害者の施設での現場実習を通して、障害があってもなくても、その人なりの成長が必ずあるということを実感しました。成長のしかたは違っても、それぞれの人を尊重していくことが大事だと今も思います。
 私が学生の頃、実習させてもらった知的障害者の入所施設は大きな建物の中で、何十人もの方が生活するのが普通でした。でも、私は大学で学んだ経験から、就職活動の面接で「今の長野県の施設の規模は大きすぎる。個々に対応できる、もっと小規模の施設を作るべきだと思います!」と、学生ながら県職員の方を前に主張したこともありました(笑)。

全ての子どもが地域で育つことをめざして

 長野県立こども病院には、重い病気だったり、呼吸器を付けていたり、痰の吸引が必要であったりと、常に医療的なケアが必要な子どもたちも入院しています。また精神的に問題を抱える子どももいます。高齢者であれば、介護保険という制度が整備され、自宅で介護を受けることも珍しくありませんが、子どもに関してはまだ公的な支援が整っていないのが現状です。
 私は病院のソーシャルワーカーとして、地域の保育所や学校、病院、訪問看護ステーション、相談支援センター、病気の子どもを持つ家族の会などと協力し、病気の子どもたちも家で暮らせる仕組み作りに力を入れています。病院ではベッドの上でしか過ごせなかった子たちも、家での生活では様々な刺激を受けて、生き生きと発達するようになるのです。

子どもだけでなく、ご家族にもよりそう仕事です

 病気や障害のあるお子さんを持つご家族もまた、大きな悩みを抱えていらっしゃいます。私はそんな親御さんの気持ちに寄りそう存在でもありたいと思っています。不安な時は一緒に悲しみ、上手くいかないときは共に悔しがる。その上で、専門職として違う方法を提案し、希望を失わずにご家族が進んでいけるよう励ましたり、医師に言いづらいことを代わりに伝えたりと、多面的にサポートしていきます。
 私の所属している療育支援部には私たちのようなソーシャルワーカーのほかにも、「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」や「遺伝カウンセラー」、「ボランティアコーディネーター」や「事務員」など、たくさんの専門家がいます。こうしたスペシャリストがチームとなって、治療以外でも子どもやそのご家族を支えているのです。

日本福祉大学の「松本オフィス」に助けられています

 日福の特徴は何といっても、学生同士の結びつきの強さ。長野県で仕事をしていても、よく卒業生にお会いします。長野から進学する学生が多いことに加え「長野県人会」の活動も学生や卒業生どうしのつながりを強くしてくれているのでしょうね。
 また、愛知県のキャンパスだけでなく、松本市に地域オフィスがあることも心強いです。私の息子も現在、日本福祉大学で学んでいますが、長野県からオープンキャンパスに行くバスツアーがあったり、入学試験に関わる説明をしていただいたりと、松本オフィスのスタッフの方に相談にのっていただき、とても頼りになりました。

福祉の根本にある考え方を大切に

 大学時代にもっと勉強しておけばよかったと思うことは、福祉や社会保障制度の歴史について。当たり前だと思っている法律や福祉のサービスが、どのような考え方を基に始まり、変化してきたかを知ることがとても大切だと感じています。
 今ある仕組みの上で淡々と仕事をするのではなく、「この仕組みは『どのような考え方や目的』で作られたのか。そこから現在の仕組みに『変化してきた理由』には、どのような背景があったのか」を知ることで、仕事に対する視野が大きく広がります。目の前のことだけを追いかけるのではなく、基礎をきちんと学んでおくことが、専門職としてステップアップしていくことにつながると思いますよ。