たくさんの人を巻き込み、
ふるさとの魅力を世界に発信、
学生のチカラが、
大学と地域を動かします。

自分が作ったホームページを見た、海外の人からもメールが届く

 1年生の時、情報関係の講義でホームページを作るという課題が出ました。そこで、故郷の宮田村を紹介するページを作りました。今では想像できないかもしれませんが、当時はホームページを持っている自治体はほとんど無い時代。自分が作ったページを村の人や、村出身で村外に在住の人、なかには海外に住んでいる人も見てくれ、感想を書いたメールをいただいたこともありました。
 仲間を集めれば、もっといろいろな展開ができるのではということで、「地域づくりプロジェクト」を立ち上げました。宮田村で駒ヶ岳観光、商店街活性化、情報化などの調査・提言したり、宮田村の間伐材を利用したイベントを考えたり、宮田村の職員などを招いてまちづくりフォーラムを開催したり、仲間といろいろなことをやりました。たとえば、宮田村で毎年7月に行われる勇壮な「祇園祭」。これをたくさんの人に知ってもらうために、神社の前で生中継をしようと考えました。まだ、YouTubeはおろかインターネットで動画を配信できるような環境も十分ではなかった時代ですが、チャレンジしました。

多くの仲間や教職員、
そして宮田村の皆さんが
自分を育ててくれた

 祭りを中継しようと思ったものの、そのための技術が自分自身には足りないという事実に突き当たりました。そこで当時、学内に複数展開されていた学生プロジェクトに協力を依頼し、中継に必要な技術サポートをプロジェクトの一つである「インターネット放送局」に、リーフレットづくりなどを「アートプロジェクト」に依頼しました。
 村のご厚意で、空いていた村営住宅を学生のために無料で貸していただきました。地域の皆さんが、お米や飲み物を提供してくれたり、寄附金を頂戴したこともありました。村の商工会も祭のポスターに中継の実施を明記してもらえるなど、温かいご支援をいただきました。
 「地域づくりプロジェクト」の活動資金は、学内の支援制度や宮田村観光協会からの補助制度を活用した他、宮田村のリンゴや豆腐を大学祭で売ったりして調達しました。素晴らしい仲間、教職員、地域の皆さんの支えのおかげで、充実した活動ができたと思います。

村の人たちの「しあわせ」を考える村会議員に

 大学卒業後は愛知と東京の2つの大学院で学びました。シンクタンクに就職することも考えたのですが、これだけ愛着をもってプロジェクトを進めてきた宮田村を離れることができずに帰ってきました。
 村議会議員は、住民の「だんのらしのあわせ」を考えて、徹底的に議論し、よりよい選択を導き出す仕事です。村の課題は「福祉」に関するものだけではありません。環境問題も、観光も、都市計画も、商工業も農業も…。ですから、大学時代に幅広く学んだこと、プロジェクトでたくさんの人と話し合いながら物事を進めたことは、今の仕事にも役立っています。

学生が地域から学び、
また地域が大学から学ぶ必要性

 「地域づくりプロジェクト」の取り組みで学んだことは、自分たちの想いを企画書に起こして大学や地域でプレゼンテーションし、その実現に向けて調整を重ね、その企画を実現していく過程。規模は違いますが、今の仕事でも事業を進めていくための基本は同じことです。大学時代の実践的な活動を通じて、社会で働くための基本的な力が鍛えられました。
 私達の活動がきっかけで、日本福祉大学と宮田村の友好協力宣言の締結に繋がったことを大変うれしく思っています。地域の課題が複雑さを増す中で、地域が専門的な分野について、大学から知恵を借りることは有益なことだと思います。日本福祉大学の先生方を宮田村に招き、子育て支援講座を企画したり、学生の皆さんにインターンシップやリンゴの収穫体験などに来ていただいたりしていますが、今後も調査・研究・教育などの面で、学生が地域から学び、また地域が大学から学ぶ、そういう相互の利益につながるような、協力関係を深めていければと思います。