ホームレスの人って、どうして働かないんだろう。どうして家に帰らないんだろう。

その声に応える 日福の学び

ホームレスの人々を救えない社会福祉の機能不全を追って。

本学で学んだ学生時代、ゼミでホームレスの人々に直接話を聞いたり、その置かれている状況を間近に見るうちに、ホームレスの問題が、定住する住所がないという理由で、実は公的扶助の対象から漏れているケースがあることに気づきました。社会福祉の原点は歴史的に見ても、「貧困問題」にあると教えられてきました。しかし、現実はそうではない。「ホームレスの人々が救えなくて、いったい社会福祉ってなんなんだろう」との思いが強くなりました。そこに現代の社会福祉の機能不全があるように感じたのです。たとえば、「生活保護」の問題があります。生活保護の受給に関しては誤った情報や偏見も多く、こうしたなかで受給の当事者たちも萎縮し、社会的に孤立を余儀なくされています。2015年4月に施行された「生活困窮者自立支援法」は、日本の社会や経済が大きく変化してきたことに対応して、生活保護制度では救えない生活困窮者に対する支援を強化するものと期待されています。こうした制度が、きちんと機能するよう見守り、発信することが私たちの責務であると思っています。

社会福祉学部社会福祉学科行政専修山田 壮志郎 准教授

たとえ入居できる住まいがあっても、
“社会的孤立”をなくさなければ問題は解決しない。

住む家を持たないホームレスにとって、アパートを手に入れることは、ほんとうに幸せな結末なのだろうか? 現実は、アパートに一度は入居しながら、その後所在不明になってしまうケースが少なくないと言います。山田先生は、こうした問題を解き明かすため、ホームレスのアパート入居後の生活実態について、定期的な追跡調査を実施しました。
この調査から明らかになったのは、周囲との交流が極端に少ない、いざというときに手を差し伸べてくれるつながりがない、など。住まいを手に入れても、決して社会的な孤立状態が改善されるわけではない、ということなのです。ホームレスの社会的孤立を防ぐための社会の取り組みが求められているのです。

アパート生活をしている人の暮らしに関するアンケート(一部)

ホームレス経験のあるアパート生活者800名中、有効回答334名。2012年8月、包摂的支援研究会による。

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貧困問題を見つめる「まなざし」を育む。貧困問題を見つめる「まなざし」を育む。

あいりん地区でのゼミ活動

山田先生は、貧困問題に関して、生活保護支給減額、貧困ビジネスなどについての社会的発言も多い。またゼミでは、フィールドワークやボランティアを通じて、実際に大阪市西成区のあいりん地区を訪れるなど、ホームレスの人々が実際に生活する現実を目の当たりにする。学生は、その独特な街の雰囲気に触れて衝撃を受けるが、貧困の現場に立ち、当事者の立場に立って貧困問題を考えるための「まなざし」が育まれる。その「まなざし」こそが、たとえば今後、社会福祉士として、またソーシャルワーカーとして働くうえであなたの貴重な財産になる。

Profile

YAMADA,Soshiro
山田 壮志郎(ヤマダ ソウシロウ)
准教授
博士(社会福祉学:日本福祉大学)

日本福祉大学社会福祉学部卒業(1999)
日本福祉大学大学院社会福祉学研究科修了(2009)
岐阜経済大学経済学部専任講師(2004~2008)
岐阜経済大学経済学部准教授(2008~2010)
日本福祉大学赴任(2010)