介護していたら、高齢者の方がものすごく、怒った。私、何か間違えてたのかなあ。

その声に応える 日福の学び

介護は“ロボット”にできる作業ではありません。相手の心を知ることが大切です。

多くの中学生や高校生がボランティアで「介護」を体験しています。そこで高齢者の方から「ありがとう」と言われることの嬉しさから、介護職をめざす人も多い。でも、お手伝いや助けてあげるだけなら、「ロボット」でもできますよね? 介護は、その人ができること、その人の生活を尊重しつつ必要最小限の支援を行うための技術です。この技術に大切なのは、「相手を知ること」です。介護を求めている相手が何を必要としているのかが理解できなければ、その技術はなんの役にも立ちません。「目に見えていること」「耳で聞こえていること」「触って感じること」。人間の五感をフルに活かして、その人の見えていない、表していない、「心」を把握していく。そこではじめて、「今、私はどのように声をかけ、何をお手伝いをすればよいか」を自然と導き出すことができます。「介護職は質より量だ」と言う人も少なくありません。そういう社会を変えていくのは、これから介護職をめざす人たちの責務だと私は思います。

健康科学部リハビリテーション学科介護学専攻武田 啓子 教授

“その人らしい生活”を支援する介護。その中核を担う、介護福祉士。

2025年、要介護者を支えるために必要な人材は、253万人といわれています。しかし、今のままでは2025年時の介護者は、215万人しか確保できません。その差37.7万人。この介護人材の需給のギャップを埋めることが求められています。まずは、介護職へのイメージ向上を図りながら、裾野を広げていくこと。かつ、高度な専門性と責任感を持ち合わせた介護人材を育てていくことが必要です。そこであらためて注目されるのが、より責任が伴い、高い能力が求められる分野で活躍する介護福祉士の育成です。実践が中心となりがちな介護に、知識やスキル、マネジメント力を修得できる学修の仕組みをつくるなど、より創造的な視点からのアプローチも求められています。

介護人材にかかる需給推計結果と「総合的な確保方策」(イメージ)

注1) 需要見込み(約253万人)については、市町村により第6期介護保険事業計画に位置付けられたサービス見込み量等に基づく推計

注2) 供給見込み(約215万人)については、現状推移シナリオ(近年の入職・離職等の動向に将来の生産年齢人口の減少等の人口動態を反映)による推計(平成27年度以降に追加的に取り組む新たな施策の効果は含んでいない)

注3) 「医療・介護に係る長期推計(平成24年3月)」における2025年の介護職員の需要数は237万人~249万人(社会保障・税一体改革におけるサービス提供体制改革を前提とした改革シナリオによる。現状をそのまま将来に当てはめた現状投影シナリオによると218万~229万人。推計値に幅があるのは、非常勤比率の変動を見込んでいることによるもの。同推計及び上記の推計結果のいずれの数値にも通所リハビリテーションの介護職員数は含んでいない。)

目指すべき姿

出典:「平成27年 2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」(厚生労働省)

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専門知識が求められる介護職にとっては、学習のプロセスが重要。専門知識が求められる介護職にとっては、学習のプロセスが重要。

介護技術の授業風景

武田先生の研究テーマは、「学習科学」。初心者である学生がどのように学べば、学んだことを現場でうまく応用できるようになるのか、という技術習得プロセスの解明に取り組む。たとえば、学生自身が考えて、学び取る方が、将来的には現場で使える技術が身につくのでは、と先生は考えている。自ら「なぜ?」と思うところから出発することで、記憶にも残りやすいという。職業としての介護は、家族でさえわからないことにも踏み込み、理解し、専門的な知識によって適切に対応していくことが求められる。そこに学習プロセスを研究する意義もあるはずだと先生は言う。

Profile

TAKEDA,Keiko
武田 啓子(タケダ ケイコ)
教授
博士(看護学:聖隷クリストファー大学)
修士(認知科学:中京大学)

中京大学大学院情報科学研究科修了(2009)
聖隷クリストファー大学大学院看護学研究科修了(2013)
愛知教育大学非常勤講師(2006~2010)
日本福祉大学赴任(2009)