火災時の逃げ道って、障害者や高齢者にも、やさしく考えられているんだろうか?

その声に応える 日福の学び

ソフトとハードを融合させた、避難安全のバリアフリーをめざして。

建物を造るために最も重要な法律「建築基準法」では、建物の用途によっては、火災時に安全に避難できるよう2つ以上の階段を設けること、とされています。ひとつがダメなら、もうひとつへ、というわけですが、階段までの距離は30~60m以内。この距離を、障害者や高齢者が、炎や煙が迫ってくる中で安全にたどり着くことができるでしょうか?このため、とくに福祉施設などでは、火災に強い安全な「ハード」をつくり、さらに入居している人の避難方法、万一の際の職員の動き方など、人に関わる「ソフト」を充実させ、「ハードとソフトを積極的にリンクさせて安全を実現すること」が大切だと思います。私は、とくにソフト面での充実とハードをうまく使いこなすことをめざして、福祉施設を回り、火災安全のために何に気をつけるべきか、どう改善すればよいかなどを指導したり、ディスカッションしたりしています。本来、人を感動させる「建築」が、災害時には凶器にもなって人を襲う、という事態を私たちはさまざまな災害を通じて見てきました。人を感動させ、人の生命を支える建築であるために、私の研究が生かされればと思います。

健康科学部福祉工学科建築バリアフリー専修村井 裕樹 准教授

建物火災における死者に占める高齢者の割合は、7割。
建築は、この数字をどれだけ減らせるのだろうか?

高齢者や障害者、乳幼児を抱いたり小さな子どもを連れたりしている親などが、どんどん街に出るようになっています。このような状況に合わせて、建築や都市のバリアフリー化も進んでいますが、万一、火災などが発生した際、避難に時間を要する方の安全は十分に確保されているといえるでしょうか?
消防庁の発表によれば、平成25年の全国の建物火災における死者の内、65歳以上が69.4%を占めています。また、逃げ遅れによる死者は全体の51.1%にも達しています。
まだまだ不十分な避難時の安全確保、どのような人々も安心して、自由に街に出ていける環境づくりを、私たちは実現していく必要があると思います。

※出典 消防庁防災情報室「平成25年(1月~12月)における火災の概要(概数)」

report

人を幸せにする「建築」を学ぶなら、ここしかない。人を幸せにする「建築」を学ぶなら、ここしかない。

福祉環境設計の授業

村井先生の専門は、建築防災計画。とくに現在は「エレベータを利用した避難計画」をテーマに取り組んでいる。まだまだこれから多くのハードルをクリアする必要があるが、まだ手がける研究者の少ない分野だからこそ、先生はやりがいを感じている。街の建築物が誰にでも安心して出入りできるものであれば、それだけ高齢者や障害者の活動範囲は広がる。これからのあらゆる建築物は、住む人や利用する人をしあわせにするものでなければならない、そのことを学べる日本福祉大学の建築バリアフリー専修は、まさに次代が求める先進的な建築を学ぶことができる、新しい「建築学科」なのである。

Profile

MURAI,Hiroki
村井 裕樹(ムライ ヒロキ)
准教授
博士(工学:日本大学)

日本大学理工学部卒業(1995)
日本大学大学院理工学研究科修了(1999)
日本大学大学院理工学研究科修了(2002)
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所・非常勤研究員(2007~2009)
日本福祉大学・非常勤講師(2007~2014)
広島工業大学環境学部環境デザイン学科(2009~2014)
日本福祉大学赴任(2014)