大切なわが子なのに、うまく関われない。受け入れられない。なぜ、そんな哀しいことが起きるの?

その声に応える 日福の学び

人間関係のさまざまな困難と一つ一つ向き合い、そのサポートを考える。

「育児不安」という言葉があります。もう30年ほど前から言われるようになりました。しかし、その後もなお、「育児不安」にまつわる困難は、ほとんど改善されていません。親が子どもとうまく関わることができない、子どもを受け入れられない。私は臨床心理士として、そんな親子の例に接してきました。さまざまな親子が、それぞれに個別の問題を抱えています。この親子はどのような関係性なのか、どんなプロセスで今の関係性に至ったのか、それを改善するためには、どのような介入やサポートが必要なのか、それぞれのケースの理解を大切にしながら考えていく必要があります。また、健全と思われる親子のケースからも、関係性の困難さがうかがわれることがあります。一時的なものも含めると、だれもが「育児不安」を抱える可能性があります。微力ですが、こうした困難を抱える親子に対し、心理療法・カウンセリングなどの実践を通じて向き合い、そこから得られたこと、感じたことを、研究に持ち帰り、それをカタチにして、現代の親子が抱える問題の解決につながればいいなと思っています。

子ども発達学部 心理臨床学科心理臨床専修瀬地山 葉矢 准教授

子どもの健やかな成長を見守り育くむ地域づくりに向けて、
親たちをサポートする体制づくりが進んでいます。

先生のお話のなかで、「育児不安」という言葉が、もう30年ほど前から言われるようになっているにもかかわらず、その困難がほとんど改善されていないと指摘されています。
厚生労働省では、平成13年から「健やか親子21」(*)という取り組みをスタートさせ、母子の健康水準を向上させるための施策を推進しています。
このなかで、課題として「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」を掲げ、育児不安の親のグループ活動を支援する体制・環境整備についての目標があります。
平成25年度の時点で、育児不安の親のグループ活動を支援している保健所は、全市町村の内、28.9%に過ぎません。厚生労働省では平成35年にこの数字を100%にしたいと考えています。

*「健やか親子21」の調査では、「育児不安の親のグループ活動を支援している保健所の割合」は、第1回中間評価(平成18年3月公表):46.0%、第2回中間評価(平成22年3月公表):45.5%、最終評価(平成25年11月公表):33.1%と全体的に低く、育児不安の親への支援拡大が急がれます。

厚生労働省母子保健課 平成25年調査

「健やか親子21(第2次)」参考 資料集(厚生労働省)

~留意事項~
本参考資料は、平成26年4月現時点で監修した「健やか親子21(第2次)」報告書等をもとに、普及啓発用として作成、公表するものです。

report

心が変容することで、人は新しい世界を見ることができる。心が変容することで、人は新しい世界を見ることができる。

心理支援実習での面接体験

瀬地山先生が伝えたいと思っているのは、セラピストとクライエントの対話を通して、クライエントが変わっていくことの不思議さ、素晴らしさである。その変容のメカニズムは十分には明らかになっていないし、それぞれのケースで個別性がある。だが、人間は、心が変容することによって、自分が直面している困難な状況に、これまでとは異なる意味を見出し、乗り越えていくことができる。クライエントの劇的な心の変容に触れた時、また、人と人との対話を通して、心の変容を目の当たりにした時、臨床心理の実践の難しさとやりがいを先生は感じるという。

Profile

SECHIYAMA,Haya
瀬地山 葉矢(セチヤマ ハヤ)
准教授
修士(教育学:横浜国立大学)

慶應義塾大学文学部卒業(1995)
名古屋大学大学院教育学研究科単位取得満期退学(2002)
医療法人秋桜会吉田クリニック(1997~2009)
横浜国立大学教育人間科学部非常勤講師(2001)
東海女子短期大学専任講師(2003~2007)
中部大学非常勤講師(2005~2008)
日本福祉大学赴任(2007)
石井クリニック(2011~)