今の子どもたちを色にたとえると、何色?赤?オレンジ?それともグレー?

その声に応える 日福の学び

子どもたちは変わることができる、そこに子どもと関わる仕事のやりがいがある。

入学したばかりの学生に問うと、子どもたちのイメージは明るい色だといいます。しかし、学びが進んでいくにつれて、さまざまな現実に向き合い、子どもたちへのイメージが変わっていき、「やっぱりグレーかなあ」などと言い出します。私はかつて児童福祉司として勤務し、さらに全国でも希な非行専門のソーシャルワーカーとしても勤務し、非行に走るさまざまな子どもたちと接してきました。その頃、ある少女に、私は乳児院でのボランティアを体験してもらいました。その体験をきっかけに彼女は自分の育ちや親の苦労、親との関わりを感じて、やがて更生していきました。結婚式にも私を呼んでくれました。あまり例のないことなので、嬉しいやら、照れくさいやら。このような体験を通じて、私が知ったのは、援助者や教師の働きかけで、問題を抱えた子どもたちも変わっていく可能性を持っている、という事実です。この子らのために何かできることがあるはずだ、という強い思いで、私は子どもたちを取り巻く状況を少しでも変えていきたいと考えています。また、子どもや親から「学ぶ」といった謙虚な姿勢を持ち続けていきたいと思っています。

社会福祉学部 社会福祉学科 子ども専修 渡邊 忍 教授

「格差社会の広がり」で「相対的貧困」と「子どもの貧困」が
増えてきていることを私たちは見過ごしていないだろうか?

新聞等では「景気が良くなっている」と報道されている一方、「格差社会の広がり」で「相対的貧困(相対的貧困ライン以下の層)」と「子どもの貧困」が増えています。下の表は、厚生労働省が調査した国民生活の実態です。「子どもの貧困」でいえば、子どもの6人に1人が「貧困」の状態にあることがわかります。また、「一人親家庭」の55%近くが「貧困」な状態にあるといった事実があります。こういった実態から、「子どもの虐待」「子どもの非行」「子育ての困難さ」などの背景が見えてきます。こういった現状を見つめながら、子どもたちの支援に何が必要であるのかを考える必要がありそうです。

注:

  • 1) 平成6年の数値は、兵庫県を除いたものである。
  • 2) 貧困率は、OECDの作成基準に基づいて算出している。
  • 3) 大人とは18歳以上の者、子どもとは17歳以下の者をいい、現役世帯とは世帯主が18歳以上65歳未満の世帯をいう。
  • 4) 等価可処分所得金額不詳の世帯員は除く。
  • 5) 名目値とはその年の等価可処分所得をいい、実質値とはそれを昭和60年(1985年)を基準とした消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合指数(平成22年基準))で調整したものである。

※出典:「平成25年 国民生活基礎調査」(厚生労働省)

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リアリティの強さ。先生の体験を通じて学生たちは目覚めていく。

学生が参加するオレンジリボン(子ども虐待防止)運動

渡邊先生は、子どもと向き合う児童相談所の「現場」をあえて離れようとしなかった。そこに、子どもたちにとって解決すべき不幸な現実があったからだ。のちに、先生は心理判定員(現在は児童心理司と呼ばれる)となり、臨床心理士の資格もとった。そのことで子どもの心を見つめ、子どもを取り巻く社会を見つめ、さまざまな視点で子どもを捉えることができるようになった、という。
先生の授業は、現場での長年の体験とさまざまな視点から、子どもたちの実態をリアルに伝える。また、ボランティア活動や現場を訪問する授業も多い。そのリアリティを通じて、学生たちは、いまの子どもたちが置かれた現実に目覚めていく。

Profile

WATANABE,Shinobu
渡邊 忍(ワタナベ シノブ)
教授 心理臨床修士(日本福祉大学)
臨床心理士
社会福祉士

日本福祉大学社会福祉学部卒業(1976)
日本福祉大学大学院社会福祉学研究科修了(2006)
名古屋市若葉寮児童指導員(1976~1980)
名古屋市南区社会福祉事務所保護係生活保護地区担当員
(1980~1984)
名古屋市児童福祉センター相談課児童福祉司
心理判定員、非行専任児童福祉司など(1984~2010)
日本福祉大学社会福祉学部非常勤講師(1988~1995)
名古屋市西部児童相談所児童福祉司(2010~2012)
愛知県公立中学校スクールカウンセラー(2012~)
日本福祉大学赴任(2012)