FUKU+TOPICS

ホーム FUKU+TOPICS これからBCP(業務継続計画)を策定する介護事業者必見~BCP策定のポイント~【専門家監修】

これからBCP(業務継続計画)を策定する介護事業者必見~BCP策定のポイント~【専門家監修】

2023.12.05

BCP(業務継続計画)とは?

BCPとは Business Continuity Plan の略称で、業務継続計画などと訳されます。新型コロナウイルス等感染症や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施することが困難になります。業務を中断させないように準備するとともに、業務を中断せざるを得なくなった場合でも業務を早期に再開するために、あらかじめ検討した方針、体制、手順等を示した計画のことを指します。

BCP策定の必要性

介護サービスの利用者の多くは、日常生活においてさまざまな支援を必要としています。感染症や災害などの緊急事態により業務の継続ができず、介護サービスの提供が途絶えてしまうと、利用者の生活において安心・安全が脅かされ、生命にも支障をきたす恐れがあります。また、利用者だけでなく、家族にも不安や介護の負担がかかります。介護事業所は、感染症や災害などの被害を最小限にとどめ、利用者の命や家族を守ることを継続して支援しなければなりません。感染症や災害などに見舞われてもサービスをできる限り早く再開することが求められます。
また、災害の場合は介護事業所の職員やその家族も同時に被災します。職員は帰宅が困難になることも考えられます。勤務の負担だけでなく、精神的なダメージを受けることが予測されます。こういったことから、メンタルヘルスへの対応、安全の確保に合わせて職員の生活復旧にも注意を払う必要があります。
さらに、介護事業所の施設は地域の防災拠点になることも考えられます。施設がもつ機能を活かして災害などの発生時に地域に貢献することも求められることからも、介護事業者はBCPを策定し、業務継続のために備えておく必要があります。

BCPの策定方法について

BCPの策定方法については、厚生労働省のホームページに例示入りのひな形があります。介護施設・事業所におけるBCPの策定を支援するための研修動画及びガイドライン等が、新型コロナウイルス感染症編と自然災害編に分かれて掲載されています。
このホームページから基本的な施設の状況などを記入し、策定することは可能です。しかし、介護施設の立地条件、市町村の防災体制などによって実際に災害などが起こった際の対応は変わってきます。それらに対応するためには、ハザードマップや地域の防災情報を把握しておく必要があります。

策定のために必要な情報収集

①新型コロナウイルス関連情報

WAM NETで掲載している新型コロナウイルス感染症の特設サイトです。「クラスターの発生・対策事例関連情報」では、介護施設等で発生したクラスターや、その対応策についてまとめています。

②ハザードマップポータルサイト

地図の指定した場所の洪水・土砂災害・津波のリスク情報や、道路防災情報等を地図や写真に重ねて表示することができる「重ねるハザードマップ」と、各市町村が作製した地域のハザードマップを閲覧できます。

③防災情報 事業継続

内閣府が発信する防災、事業継続に関するページです。ページ内の「知る・計画する」の最近の項目から「事業継続ガイドライン」を閲覧できます。

2024年4月からの義務化に向けて知っておくべきこと

BCPの策定は、実際に感染症がクラスター化した場合や大規模災害によって甚大な被害があった場合に対応できるよう準備しておくこととして大切なことになります。また、BCPを策定していない場合、入居者や職員が感染症や災害で死亡したときには、介護報酬の減算や安全配慮義務違反として処分される可能性もあり得るということからも策定は必須になります。
2024年4月からは、単にBCPが策定されているというだけでなく、職員への研修や訓練(シミュレーション)の実施及びその記録も義務づけられています。

BCPの策定による助成金や補助金

BCP対策については、適切に策定・実施することで、介護事業者は助成金や補助金の支援を受けることができる可能性があります。これにより、BCPの策定や適切な研修・訓練の実施にかかる経済的な負担を軽減できます。例えば、公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する「BCP実践促進助成金」は、東京都内の中小企業や小規模事業者がBCPを実践的に策定し、研修や訓練の実施するための経費を一部補助してくれます。また、地域の安心・安全な介護サービスの確保を目的として、各地方自治体がBCPに関連する助成金や補助金制度を設けている場合があります。自治体ごとに異なる制度や要件があるため、詳細は各自治体のホームページや関連機関を確認しましょう。
また、BCPの策定により、ワクチン優先接種などの特典が得られることもメリットの一つです。「新型インフルエンザ等対策特別措置法」では、BCPを策定している登録事業者がワクチン優先摂取の対象となっています。  2024年度中にBCPの策定を行い、利用者や家族、皆様の施設で働かれている職員、そして地域の安心・安全のために、BCPを適切に策定しましょう。 

介護現場での研修をアシスト!

介護現場の研修に最適で、法定研修も充実の「オンデマンド講座見放題サービス」では、今回のBCPに関連する講座も含め、30講座60時間分の講座がお申し込みから1年間見放題でサービスを提供中です。BCPと同様に2024年4月から義務化される虐待防止などの法定研修にも対応しています。また、管理職やリーダー向けの研修も充実しており、日本福祉大学教員と最前線で活躍する講師が登壇する研修で、業務に直結する内容をポイントを押さえて提供しています!
 詳しくは下記ボタンのリンク先のホームページから。

監修・講座講師

寺西 貞昭(てらにし さだあき)
介護福祉士、介護支援専門員、防災士
平成23年、社会福祉施設のBCP策定を支援するNPO法人高齢者住まいる研究会を設立。「福祉施設を巨大地震が襲う!」という想定で、災害想定ゲームKIZUKIを開発。KIZUKIによるバーチャルな演習に、熊本地震で被災したグリーンヒルみふねの施設長のリアルな講演を加えた新しい形の研修を各地で実施。平成31年4月より熊本県へ移住。コロナ禍での社会福祉施設へのBCP等資料を提供。令和2年7月豪雨では、現地の人吉市や球磨郡の社会福祉施設や被災した職員宅等の災害支援を行う。