学術フロンティア(私立大学学術研究高度化推進事業) 日本福祉大学プロジェクト
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介護保険制度の政策評価

政策主体である保険者への政策評価の支援

 政策評価の分野では、“Assess globally, evaluate locally”が重要であると指摘されています。これは「Assess(査定)は客観的にできるがevaluate(価値判断を含む評価)は当事者でなければできない」ことを意味しています。例えば、在宅維持率が高いことは一般的には好ましい結果と見なされますが、それが地域の施設不足の反映だとすれば、決して好ましいものではありません。簡易・詳細ベンチマークによっては把握できない地域の事情はいくらでもあり、それらを踏まえなければ、適切な政策評価にはならないことを意味しています。
 そこで、地域ケア研究推進センターとしての介護費用適正化事業としての政策評価事業では、政策マネジメントサイクルを回す支援のための政策評価(次図)と位置づけ、地域ケア研究推進センターは政策評価の支援者に徹しました。



 まず、日本福祉大学地域ケア研究推進センターでは、簡易ベンチマークや詳細ベンチマークで、多数の自治体間で指標群を比較し、上位と下位のそれぞれ30%タイルに入る指標を、その保険者の特徴として抽出しフィードバックした。ここまでが第三者でも可能なアセスメントである。
 次の段階では、各保険者の担当者に、客観的なベンチマーク指標によるアセスメント結果を踏まえ、他の地域状況を加味して価値判断(evaluate)することを求めました。その時、用いたのが次に示すサマリーシートです。



 サマリーシートには、簡易および詳細ベンチマークセットで他自治体と異なる特徴的な指標として抽出されたアセスメント結果を記入します。各保険者の担当者がそれらをふまえ、「現状分析」、「克服すべき課題」、「適正化にむけた取り組み」の3点について、文章化したものを裏面に記入し。そのポイントを要約したものを表面上段の3ヶ所に記入して完成させるものです。

 このシート作成過程を通じて、保険者が自らの置かれている状況を、他の保険者との相対的な位置として客観的に把握し、その上で地元情報(ローカルノリッジ、local knowledge)に基づく価値判断を加えて、主体的に現状評価や課題の設定などが可能となります。さらに、介護費用適正化事業ではこれらのプロセスを支援するためのワークショップも開催しました。そこでは、保険者主体型の政策評価の重要性や、それを支援する簡易ベンチマークセット・詳細ベンチマークセットについての説明と見方、そのデータをもとにしたサマリーシートの作成の仕方、出来上がったサマリーシートに基づき課題や克服するための計画などの交流を追及しました。

 


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