学術フロンティア(私立大学学術研究高度化推進事業) 日本福祉大学プロジェクト
地域ケアの政策・臨床評価とその活用システム構築に関する研究 TOP
研究プロジェクトリーダー挨拶 プログラム概要 研究成果報告 介護保険事業実績分析 介護保険制度の政策評価 関連情報
プログラム概要

目的

 本プロジェクト研究の目的は、分権化のなかで地域ケアの政策主体となる市町村における政策・臨床評価の方法を開発するとともに、政策主体者への普及(流通)を可能とするためのデータベース化と活用システムを構築することにあります。
 本学術フロンティア研究拠点整備の助成による「地域ケア研究推進センター」という本格的な独立センターとして研究拠点を確立することにより、介護保険分野においてこれまで以上に系統的に科学的な政策評価結果を産出することができると判断されます。さらにそれらを政策主体である市町村にフィードバック(流通)させるためのシステム化を実現することによって、日本における政策評価研究・実践の水準を大幅に引き上げることができる意義をもつシステム構築を目指します。そしてそれらを通して介護保険分野でのこうしたシステム開発の実績を障害分野さらには地域福祉分野に拡充することによって、国レベルでの制度改革や新たな制度導入に際して、実証的な政策評価の蓄積を提供することも可能となることも期待できます。

研究方向性

本プロジェクトの推進に関わって、2つの方向性を持っています。

1) 地域ケアをめぐる評価の対象領域の臨床レベルにおける焦点化と地域福祉へ応用していく方向
2) 市町村等へのデータベースの配信を含む活用システムの構築の方向

1) の評価対象については、介護保険の対象を中心にしながら、ターミナルケアと痴呆ケアへの焦点化を図ることと、障害者ケアおよび地域福祉をカバーできるための対象の拡充を図ることです。
2) の活用システム構築の課題では、(1)政策実績の全国データベース化とそのためのツールの開発、(2)科学的尺度による政策評価結果の産出、(3)評価主体(市町村)への流通ツールの開発等を図ることを目指します。なお、活用システムについては、その構築における実績をもつイギリスのマンチェスター大学とスウェーデンのストックホルム大学との共同研究を推進させる計画を有しています。

研究領域

プロジェクトの2つの課題を総合的に達成するために、4つの研究領域を設定し推進を図ります。
4つの研究領域とは、
1) 政策評価システムの国際比較研究
2) 介護保険事業の政策・臨床評価(アウトカム評価を含む)
3) ターミナルケアと痴呆ケア(ケアマネジメント)の政策・臨床評価
4) 障害分野を含む地域福祉の評価研究
です。それらを図式化して示すと次のようになります。

4領域ごとの内容及び研究遂行計画は以下通りです。

第1領域 政策評価システムの国際比較研究

 第1の領域の政策評価システムの国際比較研究については、政策評価のデータベース化のシステム構築等で先行実績を持ち、高齢者のコミュニティケアにおけるケアマネジメント研究の第一人者D。チャリス教授が所属するイギリス・マンチェスター大学PSSRUとの共同研究の形成を先行させ、共同研究・シンポジウムの開催等を計画的に進めます。
 高齢者ケアのデータセット「SWEOLD」が開発されているスウェーデン・ストックホルム大学社会福祉学部との比較研究は、研究期間後半に取り組む計画となります。

第2領域 介護保険事業の政策・臨床評価

 第2の領域である日本における介護保険分野における政策評価については、メゾレベル・ミクロレベルにおいて、日本福祉大学地域ケア研究推進センター独自の評価体系を確立することを目指します。
 ここでは、一つには2001年度に本学福祉社会開発研究所が開発し厚生労働省を通して全国の保険者に配信された「介護保険給付分析ソフト」を中核にし、さらに「事業者分析ソフト」や「2時点間比較分析ソフト」の開発・活用を通した介護保険事業の政策評価の取り組みと、その全国的規模のデータベースの構築とその配信のためのシステム形成を目指します。二つには、詳細ベンチマークの開発を通したアウトカム指標を含む多次元評価を介護保険事業の政策評価に持ち込むことです。これらを通した日本福祉大学地域ケア研究推進センター独自の評価体系の確立を推進していきます。
 また、「サービス評価」の領域での研究課題が高まっていることを鑑み、新たなサービス評価システムを提案しうるための実験的な研究事業に取り組みます。現在の政策改革動向が、小規模ケアへと移行するなかで小規模ケアの評価のあり方を模索する研究を追加して実施しています。

第3領域 ターミナルケアと痴呆ケア(ケアマネジメント)の政策・臨床評価

 第3の領域のターミナルケアと痴呆ケアにおける臨床評価については、ターミナルケア研究会を定期的に開催するなかで、訪問看護ステーションを対象とした全国的規模での調査分析を踏まえて、実証的な政策評価の研究を推進します。さらに施設やグループホームでの看取りの把握も行う予定です。痴呆ケアに実態把握研究は研究期間後半に推進する予定です。

第4領域 障害分野を含む地域福祉の評価研究

 第4の領域の障害・地域福祉分野については、地域福祉関連の施策を対象とした都道府県における単独事業の全国調査を実施し、その分析を進めるとともに、介護保険の政策評価において活用した方法(介護保険都道府県支援研究会)である「都道府県担当者」との研究交流を実施していきます。障害分野については、もっとも重度といわれている「重症心身障害者」を対象とした利用実績の調査研究に着手し、介護保険と支援費との統合が政策的に論議されていることへの実証的なデータ提供を試みると共に、障害者における特有の費用形成の把握方法の開発を進めます。プロジェクト終了時点までには、この分野においてもデータの配信の実験を試みる予定です。

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