経済学部
2025.10.03
半田市で生まれ育ったが、近場ゆえに知多半島にある日間賀島・篠島・佐久島を訪れたことがなかった石丸さん。ゼミ活動の一環でこれらの離島における20代向け観光政策について調査し、同窓会の経済学部懸賞論文を2回受賞されました。今回は、研究の動機や成果などについて、お話しいただきました。
原田学長 石丸さんは、なぜ経済学部に進学されたのでしょうか。
石丸さん 「自宅から通学しやすく、これまで生まれ育った知多半島に貢献できるような仕事に就きたい」と漠然と考えていました。日本福祉大学を選択したのは、地域に根ざした教育や活動を展開しているからです。その中で経済学部にしたのは、高校の先生から「経済学部は数学的な思考や統計を活かせる学問領域なので、理系科目が得意なら向いているのではないか」とアドバイスをいただいたことが理由です。入学前は「『ふくし』の大学の経済学部でどうやって地域貢献を学ぶのか」疑問を感じていました。しかし、入学してみると、福祉・医療・高齢社会など、幅広い講義が用意されており、視野が広がったように感じました。
原田学長 高校生のときから地域貢献に興味を持たれていたのですね。経済学部でこれまで学んだことやフィールドワークの中で印象に残ったエピソードを教えてください。
石丸さん 2年次に受講した「地域研究」という講義が特に印象に残っています。この講義では、「知多半島における観光の意識・動向調査」をテーマに、地域観光を推進する上での調査・分析を実施。私は5人グループで日間賀島の観光施設に関する調査を行いました。当時は新型コロナウイルスの影響もあったため、学内の学生を対象としたアンケート調査を実施し、「若年層(特に20代)観光客を増やすためにはどのような施策を行うべきか」を考察しました。また、この調査のため、これまで近場にありすぎて特別感のなかった日間賀島に初めて訪れました。
原田学長 確かに、家から近くにある観光スポットは特別感がないのかもしれませんね。実際に初めて島に上陸して、感じたことや調査でわかったことを教えてください。
石丸さん タコやフグなどの食べ物やイルカウォッチングなど、観光資源が豊富であるにもかかわらず観光客数が伸び悩んでいること。観光客の約4割が日帰りという滞在時間の短さに課題を抱えていることを知りました。選ばれる観光地にするため、地の利を活かした水上スキーなどの体験型アクティビティやフォトスポットの充実を施策としてまとめ、同窓会の主催する「経済学部懸賞論文」に応募したところ、同窓会長賞を受賞しました。
表彰式で「他の離島の観光についての論文も読んでみたい」という言葉をいただき、3年生では篠島を対象に研究を行い、再び同賞を受賞しました。現在は卒業論文として、佐久島も調査し、「日間賀島・篠島・佐久島」の3島に対する若年層観光客の誘致の可能性について研究を進めています。現時点では、島の知名度向上や、「離島観光」のイメージをしてもらえるようなPRが大きな課題であると感じています。
原田学長 調査中の佐久島を含め、3島すべてを比較しているとのことですが、現在わかっている特徴はどんなところでしょうか。
石丸さん 3島を比較した特徴としては、日間賀島は宿泊率が約6割である一方、篠島と佐久島では日帰り率が約8割以上であり、特にこの2島では日帰り観光に依存している特徴があると考えています。
原田学長 石丸さんが3つの離島の中で最もおすすめの島とその理由、これからの課題があれば教えてください。
石丸さん どこもおすすめですが、個人的に好きなのは日間賀島です。ここは遊覧・温泉・海鮮料理が充実しており、宿泊率が6割となっています。一方で、大人向けのアクティビティが不足しており、海上アスレチックの常設化や宿泊施設のデイユース促進など、環境整備に余地が残っていると考えています。
原田学長 4年生ということですが、卒業後の進路を教えてください。
石丸さん 元々地域貢献を学びたいと思って入学し、これまでの学びを通して、物事の背景や状況を捉え、課題や改善点を深く考える力を培うことができました。強みを活かしつつ、地域貢献できる企業を探し、縁あって地元の金融機関に就職が決まりました。
原田学長 おめでとうございます。石丸さんの考えにマッチする企業と巡り会えてよかったですね。どんなとこころに魅力を感じたのですか。
石丸さん お客様一人ひとりのニーズや状況を丁寧に汲み取りながら、くらしに寄り添った商品やサービスを提供できることが魅力だと感じました。今までの経験を活かし、地域の人々や課題についての理解を深め、少しでも恩返しができたらと思っています。そして、私のように「地元のためになにかしたい」と思う人が1人でも増えていったら嬉しいです。
原田学長 石丸さんのお話は、元々興味をもっていた地域貢献を大学で深め、社会に活かそうとする経済学部のロールモデルの1つだと感じました。ぜひ人に寄り添う姿勢を忘れず、金融業界で活躍していただきたいと思います。